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おもてなし 南北アメリカ自転車縦断 コロンビア(4)

3月31日、朝起きると久々に下痢だった。それに一昨日ティエラデントロ遺跡の山中を駆け上がったら昨日は太ももが筋肉痛だったのだが、まだ痛い。今日は休憩日にしてポパヤンにもう1泊することにする。

しかしこれだけ自転車に乗っているのに、山を駆け上がると大変な筋肉痛になってしまう。使う筋肉が違うのだろうか。

宿で溜まっていた日記を書いていると、何とコロンビア人の女性が私を訪ねて来た。

実は前日スーパーで買い物をしているときに話しかけてくれたのが彼女だった。彼女は夫が日本人だそうで、それで声を掛けてくれたとのこと。そのときは少しだけ立ち話をしただけだし、宿も「あっちのほうです」くらいしか教えていなかったのに、よくここが分かったものだ。(まあ、外国人バックパッカーが泊るのは限られた安宿だから、案外見つけるのは造作ないことなのかもしれないけれど。)

少し話をして、メールアドレスを交換して彼女は帰って行った。(その後一緒に昼食でも、となるかと思ったがそうはならず。やっぱり、なぜ彼女がわざわざ訪ねてくれたのかはよく分からなかった。)

一つだけ確かなのは、ポパヤンのコロンビア人は外国人に対してとにかくフレンドリーである、ということだ。

パン屋でパンを買う。このパン屋を利用するのは2回目なのだが、可愛い店員さんに名前を聞かれる。まあ、今日名前を教えても明日にはポパヤンを出発してしまうのだけど。

パン屋の外に出るときに、振り返るとちゃんとこちらを見て満面の微笑みを見せてくれる。焼き立てパンとスマイルでこちらも元気になる。

宿のおばさんもいつもニコニコしているし、犬もなついてくれたし、ポパヤン、何て素敵な町なんだ。

しかし明日は出発である。旅は続く。

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翌日。

夜中に下痢、そして朝も下痢。しかも普通の下痢なら出た後は腹がスッキリするのに、その感覚がない。これはおかしいと思い、もう1泊することにする。

午前中トイレに行くとまたひどい下痢。

出発が伸びたため、この先の町であるパストまで現金が持たない可能性が出てきた。この日は金曜日だったので、明日明後日は銀行が閉まってしまう。なんとしても今日中に両替をしないといけない。体はベットに横になりたがっていたが、気力を振り絞って外に出る。熱もあるようで歩くとだるい。関節の節々が痛い。

銀行に着いて、パスポートを宿に置いてきたことに気づく。これでは両替できず、最初からやり直し。注意力も散漫になっている。もう自分に腹を立てる気力もなかった。

宿まで往復して、なんとか両替を済ませて、フラフラになりながらも宿に戻る。そして自分のベッドに倒れ込んだ。

結局、次の日も熱は下がったが出発できず。

※※※※※

4月3日、朝はまだ下痢だったが、それでもだいぶ固まってきたので出発することにする。次の町パストまでは240㎞。病み上がりということもあり、無理せずに1日80㎞ずつ走って、2日後にパストに着いた。

ポパヤンの標高は1,700mだがパストは2,500m。しかしもちろんただ800m登るだけでなく、途中は強烈なアップダウンの繰り返し。下りはスピードが出る分早く終わってしまうので、1日の大半は登っていることになる。

特にいよいよパストに着くという最終日は凄まじかった。目指すパストは標高が2,500mもあるのに、なぜかダウンヒルが15㎞も続く。そして奥深い谷底にかかる橋を渡ると今度は登りが40km。

大変な分、景色は素晴らしく、山々が幾重にも重なる中を進む。さすがアンデスの一部を成すだけある。

ヘロヘロになりながらもようやく峠に着いて、そこからは5kmの下り。せっかく登ったのに、、、。

前方右手にガレラス火山が大きく見える。標高4276m。コロンビアを代表する活火山だが、頂上は雲に覆われていて、噴煙が上がっているかどうかは確認できなかったのがちょっと残念。コロンビアは今は雨期なので、毎日雲は多い。

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パストで1日休憩を挟んで、4月7日に国境の町イピアレスに向かう。パストからは80kmほどだが、これまで同様に強烈なアップダウンが続く。(マゾっ気のある方へ:コロンビアのサイクリングお勧めです(笑)。)

パストがすでに標高2500mもあるのに、パストを出るとずっと登り。この登りは15kmほど続いた。景色は素晴らしいが山々が雲に隠れてしまっているのが本当に残念。そこからは30㎞ほどのダウンヒル。そしてその後はまたひたすら登る。

登り坂の途中にあった店で休憩。店員の女の子がめちゃくちゃカワイイ。さらにパックのジュースを買ったら炭酸飲料500mlをおまけにくれた。おまけの方が値段が高いのに。

とにかくコロンビアではこのような親切はほぼ毎日のようにあった。日本人よりもコロンビア人の方がより「おもてなし」の精神を持っているのは間違いなさそう。

イピアレスの町に入る直前の10㎞ほどはかなり辛かった。町に着いて知ったが、イピアレスは標高2900mもあった。

宿にチェックインして、遅めの昼食を街の食堂で食べてから、乗り合いタクシーでラス・ラハスへ行く。15分で到着。片道1,500ペソだった(2,000ペソ≒100円)。

ラス・ラハスの集落の近くの谷間にラス・ラハス教会がある。この教会は渓谷を渡す橋の上に建っているのだが、「橋の上に建っている」というよりもむしろ「橋とドッキング」した感じ。周りは崖に近い斜面で、よくまあこれだけ立派な教会をこんな場所に建てたものだと感心するしかない。橋を渡って対岸の歩道から教会、橋、そして渓谷が全部見えて良かった。

ミサをやっていたので途中から参加してみる。周りのステンドグラスがカラフルで綺麗。正面にマリア像が掲げられた祭壇があるがその上はむき出しの岩だった。自然を建物に取り入れているのが面白かった。

イピアレスに戻って、夕食プラス買い物で手持ちのコロンビアペソはほぼ無くなった。楽しかったコロンビアもこれで終わり。明日からはいよいよエクアドルになる。



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