【カップ焼きそばの作り方】北海道民の腹に納まる青春の軌跡|エッセイ
もうすでに、私の手の内にあったのだ。
無添加や、オーガニックなどの言葉を気にしていないわけではない。ビタミンもとるし、コンブチャも嗜む。
しかし支配的で、強引なそれは、私を引き寄せて放さない。
……
北海道民の私にとって、カップ焼きそばといえば「やきそば弁当」通称“やき弁”である。
道民が好きな甘めのソースとたっぷり入った具、もちもちの麺は、見つけると食べたくなる、ソウルフードである。
やき弁はインスタント焼きそばの例に漏れず、湯を注いで捨て、ソースを混ぜるだけでできる簡単なものだ。
しかしやき弁ラバーだった昔の彼氏が編み出した製法は、やき弁を十二分に楽しもうとする彼の心意気にあふれており、私は今も頑なにその製法を守っている。
麺と具のバランスは、食感やビジュアル、コストなど、やき弁開発者が昼夜考え、編み出された絶妙な加減である。
「1つの具も失ってはならない。」
これがやき弁を作るものに課せられた任務である。
しかし、ふやかした麺の湯切りをする時に、湯切りの穴から具が落ちてしまうのだ。
そこで開発されたのが「麺の下に具を入れる」という製法だ。麺に阻まれた具は、湯切り穴まで到達できず、その場で留まるしかない。
さっと捨てた後は、さらに最後の1滴まで執拗に湯を切る。
湯の残り具合でソースが薄まり、味が変わってしまうからだ。
そうしてやっとソースを入れることができる。
やき弁の大きな特徴といえば、スープがついていることである。
何もない場所を一から開拓した道民達は今ある物を大切にしてきた。
麺をふやかした後のお湯さえも捨てることはしなかったのである。
マグカップにスープの素となる粉を入れ、お湯を注ぐ。
この時全ての湯を注いではならない。
すこしづつ味見をしながら好みの濃度にととのえていくのだ。
残りの戻し湯は捨ててよい。
不要なものは切り捨てる。
これも極寒の地で生き抜くために必要な知恵だったのだろう。
さいごにふりかけをかける。
ふりかけは、これは茹で麺じゃない、焼きそばだ!という雰囲気を添えてくれる。
こうしてこだわりを詰め込んだやきそば弁当とスープがが完成した。
まずはそのまま頂く。
さらにラー油をたらす。
縮れた麺に絡みつくソースと、開発者の意図を無視してかけたラー油が混ざりあって旨い。
失ったと思っていた青春は、すでに私の手の中にあったのだ。
【あとがき】
突然書き出した、カップ焼きそばの作り方の元ネタ?はこちらです。
酒のみエピソードにコメントを入れたら沢山お返事いただいてうれしかったです💗(告白)
こちらのエッセイをつまみに酒が飲めるくらい、ほぼカップ焼きそばです。
最初にご提案された方はこちら!
勝手に書かせていただきました!
最初は私も、くすくす笑えるおもしろおかしい感じで書いていたのですが、狙いすぎてるのが見えすぎで難しさを痛感しました。
面白くしてやろうとするとほんと鼻につくかんじになる。
しょうがないので、青春を引っ張り出す手段をとりました。
実は昨日書いていたのですが、実はこれやき弁食べないで書いたもので、食べてから書きたいと思っていたけど今日も食べれなかったので、一度出します。
あと最近のやき弁は野菜が落ちないよう穴が工夫されて、野菜は普通にいれても大丈夫です。
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