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オランダの住宅市場は加熱しすぎているが家を買う価値があるのかどうかについて

オランダで家を買いたいと思ってから家についての記事ばかりを読んでいる。家を買った今でも家についての記事ばかり読んでいる。

記事を読み過ぎて知識が増えてきたのでここで共有したい。


オランダの家の価格とは

現在オランダの住宅市場は加熱しまくっており、2021年7月現在、家の平均価格は41万ユーロとなっている。41万ユーロを本日のレートで日本円に換算すると、5200万円である。

平均が5200万円ってすごくないか。オランダは日本と違って地方都市だから安いということもない。地方都市でも家は高い。

首都アムステルダムだけではなく地方都市も含めて平均価格5200万円はすごい。

家の価格はここ20年で一番の値上がりである。


上乗せ価格という手強い敵

オランダの家の値段は決まっていない。売主が「この価格以上で売りたいです」という言い値をvanaf prijsといい、それが家の価格として住宅市場で表示されている。

しかし実際は「この家を買いたいです」という人たちがオークションのように「私は●●ユーロ出せます」とvanaf prijsよりも高い上乗せ価格で手を挙げる。そして、一番高い値段を出した人がその家を買えるのである。

この上乗せ価格の平均は現在5万ユーロ以上かかっている。

つまり、たとえ35万ユーロの家を見つけても上乗せ価格が5万ユーロかかるので実際の家の値段は40万ユーロとなるのだ。

この上乗せ価格は30万ユーロから40万ユーロの住宅価格に対して、4万ユーロから5万ユーロかかっているが、住宅価格が高いと上乗せ価格も高くなっている。

家の価格が50万ユーロから75万ユーロの場合、上乗せ金額は5万ユーロから7万5千ユーロになる。


オランダで家を買うべきか?賃貸か?

そこまでお金を出せるオランダに住む人々はすごい。多くの人が「無理をしてでも家がほしい」と躍起になっている。躍起になれない人は賃貸のまま様子を見ている。

私個人としては賃貸も悪くないかなと思う。コロナのおかげで外国人労働者がオランダから離れ、賃貸は余っている。しかもいつもより安い値段で。

今からオランダに移住してくる人にとっては朗報だと思う。普通なかなか見つからない家が割とスムーズに見つかるだろう。

ただ、様子を見ているうちに価格が上がっていってしまう恐怖はある。私たちはそれが嫌で高いと思いながらも2021年3月に家を買ったが、それが正しかったのかどうかは正直わからない。


オランダの家は全てインターネット上に公開されている

家を買ってから家に対する興味が湧いたので、暇さえあれば散歩している私たちは売りに出ている家を見るとすぐにインターネットでその家がいくらで売られているのかを確認している。

オランダの住宅情報はすべてfundaという住宅サイトで公開されている。家の外観だけでなく家の中も事細かに写真が掲載されている。

そうするとうちの近所の家たちも軒並み住宅価格が上がっている。私たちが購入したときよりも少し高い値段でvanaf prijsが表示されているからわかる。

こんな何もない街の家でも買い手はわんさかいるようで、売りに出たと思ったらすぐに売れましたの表示に変わる。すごいスピードである。


メンテナンスという敵

家の価格に加え、リノベーションというものが必要になる場合もある。古い家を買った場合は特にリノベーションが必要でその価格も計算しておかなければいけない。

また、家を買ったあともメンテナンスにお金がかかる。


私たちは築20年の比較的新しい家を買ったおかげでメンテナンスにお金があまりかからない(と信じている)。

これは私たちにとっては重要だった。以前は築100年くらいの古いアパートに住んでいて、あちこちに問題があり賃貸であったら大家に直してもらったり、業者さんが全然こなかったり、来ても全然直ってなかったりして一年しか住んでいないのに結構大変だった。


住宅市場の加熱を収めるための解決法は?

現在オランダではお屋敷のような大きい家を分割してアパートにする案が出ている。大体古い大きい家に住んでいるのは65歳以上のお年寄りで、一階で生活することが多く上階は使われていないからだ。

現在はお屋敷のような広い家よりも小さな家を希望する人が多いのでその案が出ている。ただ各都市や村によって規定が違うしまだまだメジャーではない。

また新築も続々と増やしているがすでに30万もの住宅不足に対し新築が全然進んでいない。

新築の物件がどんどん出てきているのは目に見えてわかるし、新築の入居者を募集かけると完成がたとえ4年先であっても即完売である。

4年もダブルで支払いができる人がそんなに大勢いるのかと思うとすごい。新築の完成が4年後だとしたら、4年間は現在の家の家賃もしくは住宅ローンを払いつつ、新しい家の住宅ローンも払うダブル支出になるのである。


私個人的に今オランダで買うべき家とは

断然アムステルダムである。アムステルダムはこれだけ住宅市場が加熱し、家の価格が上がっている中上がり幅が少ない。

アムステルダムに住んでいる人は某ウイルスのおかげで地方都市に引っ越している。アムステルダムの家を売りたい人がたくさんいるし、売れればいいので上乗せ価格も少なくて住むだろう。

アムステルダムは首都でありビジネスの中心部でもあるので、数年経てば必ずまた外国人労働者が増えて賃貸の需要が上がる。

今狭いアパートであってもアムステルダムで買っておけば将来は貸し出して不労所得を得られることは間違いないだろう。

地方都市の一軒家だと売買にはいいが賃貸ではそこまで需要はない。

ただ家を賃貸で貸してしまったら自分が住む家がなくなるし、また自分が住む家のために家を買ったり入居者と同居することに嫌気がさすかもしれないし、すべていいことばかりではないだろう。


オランダで家を買った=幸せ?

オランダで家を買えて嬉しいけど問題もある。引っ越してしばらく経ったが実は隣の家が相当うるさい家族だということがわかった。

いつもゲストをたくさん呼んでいるし、庭で大声で話しているのもしばしば。家のDIYも大好きでしょっちゅうドリルの音が聞こえる。しかもDIYを夜23時までもやっているので22時に就寝する私たちには迷惑極まりない。

しかし隣人だし上手く付き合っていかなければいけないので苦情をつけられない。そこは我慢である。毎日ではないし。

アパートに住んでいたときは上の階の人の足音などが気になったし、共有部分でも人付き合いに疲れて一軒家を買ったが、それはそれで問題があるのである。

家を買ったからといってすべて天国ではないし、常に家の改装をしているので土日はあっという間に過ぎていく。

家具もこだわっているので家具代にもお金が飛んでいく。賃貸のときはIKEAに囲まれていても問題なかったが、自分の家になればIKEAでも買い物するが大半のものはいいものを買いたいと思ってしまうのだ。


オランダで家を買うこと=幸せではない。ただいい経験にはなるのでトライしてみる価値はある。ものすごく疲れるので心を強く保つことと、お金だけはたくさん用意しておいたほうがいい。


アムステルダムから地方都市に引っ越してきて感じたのは「スペースがある」ということ。広い家はやはりのびのびと暮らせて気持ちがいい。

アムステルダムの中心部の建物は家の中が丸見えで常にたくさんの人に気を配らなければならなかった。


私の住んでいたアパートは昔ながらの建物でかわいらしく、時には若い人が家の前で写真撮影をしていたほどだった。

しかしその度に家の前に置いてあったベンチに知らない人が腰をかけていたり、家の前にゴミを捨てていく人も多く迷惑だった。

また常に家の中をきれいにして、小さな庭もきれいに手入れしておく必要があった。人様のため、景観のために。


人に気を使い見栄のために都心部に住んでいたときより、地方都市で自分たちの家だけを見て自分のことだけを考えて暮らしているほうが精神的にはリラックスできていい。

自然もたくさんあって人もそこまで多くないので疲れることが減った。個人的には問題はあれど家を買って良かったと思う。


しかしだからといって他人に家を買ったほうがいいよとお勧めまではできない。今がベストなタイミングだとは言えないからだ。


この先も住宅価格が上がり続けることを見越して家を買ったが、このままいくとどんどん家の価格が高くなっていって一般人が買えなくなってしまう。

逆にバブルがはじけて住宅価格が下がる可能性もある。先のことは誰にもわからないが基本的にはオランダの住宅価格が右肩上がりなので買う人が多い。


ただ先のことを考え過ぎて焦って家を買うよりも、自分がどういう場所でどのような生活をしたいかを固め、しっかりとお金を稼げるようになり、準備を整えた上で時間をかけて買うことをおすすめする。

今の住宅市場の加熱は人々を焦らせ、競争させ、疲れさせ、人々の頭をおかしくさせている。

冷静にプランを思い描き、身の丈にあった生活をすること、これが大事。賃貸も悪い選択肢ではないので焦らず自分に合った家を見つけよう。








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