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超短編小説《カーテン》

或日の朝のこと、カーテンの隙間からこぼれる朝日を顔に浴びて、Kは目を覚ました。
キッチンからはパンが焼ける薫りとコーヒーを注ぐ音がしている。旅先であっても朝のキッチンからのこのような便りは朝を透明なものにする。透明に染められた朝が純黒の珈琲に溶け込んでいくにつれて、透明な紙に書かれた黒いインクの文字のように昨晩の記憶の断片が浮かび上がる。
「昨日までの私は今日の私とはまるで違う。」
それがKが感じた一番最初のことだ。
「何もかもが嘘だったらいいのに。」
そんなことを考えるまで長くは要さなかった。
Kはベットに戻り、夢の続きを見ることにした。
そして、翌朝、カーテンの隙間からこぼれる朝日を顔に浴びて、Kは目を覚ますのであった。

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