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次へのステップ(35)

父と母は、予想していたようで用意してあるような感じの答えを父が語ってきた。
 看護師も立派な仕事だけど、今行っている大学で学ぶのも大事なことだ。マヤも気付いたと思うが、佐竹さんと青山さんの働いていた「国境を超えた医師団」では、医療職とは別に後方支援、ロジスティクスの仕事もある。それにはいろいろな言語が話せることが強みになる。マヤの大学は留学生も多いし、言語と社会人経験も備えて、医療職の人々を支える仕事もあるんだよ。一度団体の説明会に行って相談してみるといいと言われた。お母さんも今のマヤのままでできることはあるはずよと言った。
 佐竹さんや青山さんのような、医療職のことばかり考えていたけど、確かにお父さんの言うことには、一理あった。ポルポルの難民キャンプでは運営している仕事の人もいた。どちらにしても社会経験を積んだほうがいいのかなとも思わされた。看護の道をと強く思ったけれど、今の自分の学校でできることも多いのかもしれなかった。あずま屋であれだけ、強く思った道だったが、父や母の言葉を聞くと急に方向転換するより、今の学校で勉強することも人として成長することも大事なような気がしてきた。語学も3種類ぐらいできるようになるには、相当な鍛錬が必要だ。そういえば、佐竹さんはドイツ語とフランス語も堪能だと聞いた。アフリカはその時代の流れのなかで、いろいろなヨーロッパの国々に属していたから、英語以外の言語も多く話されている地域も多い。ポルポルもフランス語が通じて第二外国語でフランス語を学んでいたので、片言の会話はできた。複数の言語を習得できたらそれは強みになる、日本か紛争地じゃない海外で経験を積むことも必要かもしれないと思えた。

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