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日日是好日 ここからが始まり
シャクシャクシャクシャクシャクシャク…茶センの立てる音に耳をすまし、母がお茶を立ててくれるのを正座して待っていた。あれは多分、私が5歳位の頃。器をさし出されたらお辞儀をして、手を添えて器を持ち上げて、2回半回して、お茶を頂く。母が教えてくれた作法をちょっと大人になった気分で喜ぶ私に、母は度々お茶を立ててくれた。雪見障子からはいつも外の風景が見えていた。田舎暮らしだったあの頃。
そんなことを思い出した映画『日日是好日』。にちにちこれこうじつ。2018年公開日本映画。大森立嗣 監督脚本。森下典子さん自伝エッセイ『日日是好日 お茶が教えてくれた15のしあわせ』原作。黒木華さん主演。樹木希林さん共演。
茶道教室に通い始めた主人公が、茶道やお茶の先生を通じて、人生についての気付きを書いた作品。
一緒に習い始めたいとこは、就職し結婚し子育てし、その間、主人公は、独身のフリーライター。就職に失敗、彼氏との別れ、独立、父の死など、人生のひきこもごもを体験する。その間もずっと習い続けていた茶道。
茶室から見える季節の移り変わり。
節を告げる、夏の釜、冬の炉、茶事、掛け軸、器。
雨の音。水を注ぐ音。お湯を注ぐ音。ひと雫の音を聴く。耳に心地の良い音、音、音。
大学生だった主人公は中年となり、教室の先生と皆さんとまた新年を迎える。「人生にはすぐに分かるものと、すぐに分からないものがある。長い時間を掛けて少しづつ分かってくることもある…」色々な経験した今、
「ここからが、本当の始まりなのかも…」との最後のセリフで締め括られている。
主人公の様に、いつもお茶がそばにあったわけではないけれど…若い頃、同級生が海外で活躍したり、就職したりしている時、私もフリーターだった。絵を描いてコンペに出したり、バイトして、海外旅行していた私。それでも、自分は何をしているのかと焦りを感じていた。
絵を断念して、結婚して子育てをしていても、キャリアを積む人が羨ましかった。
離婚した。最愛で親友でもあった人や、母を亡くした。失って初めてそこにあった優しさや愛情に、ありがたみを感じた。不甲斐ない自分。
あるときには分からなかったものが、時と共に分かってきて、今がある。
私も半世紀生きた。昔なら人生50年。終わりを迎える歳。だけど、今は100年時代。ここからが本当の始まりだと思っている。
「ここからが本当の始まりなのかも…」
始まりに違いないと思っている。
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