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雨上がる 雨ごもり

朝から雨が降っていた。酷い夜勤の明けの帰り道。くたびれてクタクタ…家に辿り着いて、脱ぎ散らかした服が床でつぶれている。私の抜け殻でさえ、くたびれているように見えるけど、拾う気持ちにもなれずに、そのままソファになだれ込む…

こんな時の雨が好き。

雨を理由に色々なことに諦めが付くから。あれもしなきゃ、これもしなきゃと思う気持ちを手放して、「まっ、いいっか。雨だから。」と、自分を納得させるのに十分な気持ちになれるから。

ホントはね、帰りに夕飯の材料を買ってかえりたかったけど、濡れたくないから早く帰ろう…。ホントはね、お洗濯したいけど、明日でいいや…。ホントはね、原稿描きたいと思ってたけど、眠いからまた明日…。ホントはね、スタミナ料理作りたかったけど、ありあわせで何か作ろう…。ホントはね…。

雨が世間から私を隔離して、部屋でゆっくりとお昼寝することを許してくれているようだ。

雨の音も好き。何にぶつかった音なのか?色々と複雑な音がして心地いい。

ソファに横たわって、雨音を聞いているとリラックスしてきて別世界にいる気分。雨音って癒される。

『雨』と言えば、『雨上がる』と言う映画が浮かんできた。小泉堯史監督 、山本周五郎原作 、黒沢明映画脚本。

大雨で足止めされた旅人たちが集まる宿場。色々な事情を抱える人々が一つ屋根の下で、雨の上がるのをただ待つ風景。なかなか止まない雨にイライラしながら、仕方ないと諦めながら、周りの方々と笑いあいながら…

この情景が子供の頃、裏山に遊びに行って、帰りに夕立になり、近くの民家の軒下で、雨上がりを待っていた時の様子と妙に重なる。

軒下から空をみては雲の動きをみて、まだかまだかと雨の切れ間を探していた。

激しい雨は地面で跳ね返り、足は泥だらけ。一緒に出かけた友達も突然降り出した雨のせいでじっとりと濡れている。それでも頭から雨が流れる程、びしょびしょで帰りたくはなかった。母の大騒ぎする声が聴こえてきそうだと思った。


映画ではお人好しの主人公が皆を喜ばせる為に、折角、手に入れたお金をみんなの為に使う。最初、怒っていた妻もみんなが喜ぶ姿をみて、遂には夫の行いに呆れながら、笑いあう。主人公の人柄の良さエピソードが並ぶ。

ともかく、雨が上がったら、みんな活動開始。それぞれの旅に晴れ晴れと出発する。

軒下の子供の私たちも、それぞれの家に帰った。雨上がりの夕方の景色は澄んでいて、空には虹が掛かっていた。友達とのバイバイも楽しい。また、明日ね!

この雨が上がったら、また気分転換出来ている私がいるに違いない。

雨あがる。よどんだ景色、よどんだ心、よどんだ身体を雨が綺麗に浄化してくれているみたいだ。

雨音に載せられた素敵な詩に出会いました。


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