人のセックスを笑うな 心情と演技について

お勧めされなければ絶対に見ていなかっただろう映画ですが、

登場人物の心の動きが描かれていてとても面白かったです。

というわけで、今回は心の動きと体の動き(演技)について書いていきます。

当たり前だろうということも含みますが、

それを意識することで日常の見え方が変わると思うので、

そういったことも含めて書いていきます。


まず、誰が誰にどういう感情を持っているか、

前半の時点でわかるようになっていました。

主人公の男性(みるめくん)は、

ライターをくれた女性(ユリちゃん)のことを追いかけるようにし、

彼女がいないかな?と探すように動いています。

主人公の同級生(?)の女性(えんちゃん)は、

みるめくんが友達と二人でこそこそ祝われているところを見て、

授業に集中せずにそちらばかりを見ています。

「目は口ほどに物を言う」とは言いますが、

まさに目線がその人の欲しているものを言っていると感じました。

世の中の人たちは何を見て生きているのか?を考えれば、

その人の好きな物を知るきっかけになるのではないかと思いました。


ユリちゃんはえんちゃんと喋っている時、

みるめくんに触ってみたい?と問います。

ただ、えんちゃんはどうしようもないと言っていました。

その後、みるめくんがユリちゃんと会えなくなり、

引きこもっていることを知ったえんちゃんは、

彼のことを「弱弱だな」と言っていました。

そして、みるめくんに、

「会いたかったら自分から会いにいけば?」

と言っていました。

この二つのセリフは、弱い自分を隠すために言っているように思いました。

ユリちゃんと話していた「どうしようもない」というのが本心で、

でも友達やみるめくんの前だと強がってしまう

そんな心の動きを感じました。


ここからは、みるめくんが酔っ払って、

えんちゃんが仕方なくホテルに連れて行ったシーンについてです。

個人的には一番好きなシーンでした。

酔っ払ってベットに横たわるみるめくん。

その周りでみるめくんを起こすように飛び跳ねるえんちゃん。

ジャンプする音がうるさいところから、

えんちゃんがかがみ込んで寝ているみるめくんに顔を近づけたとき、

一気に静かになりました。

しかし、みるめくんが寝言で「ユリ」と言うから、

えんちゃんは再びジャンプして大きな音を出していたと言うシーンです。

えんちゃんの心情の流れの描写が最高でした…。

まず、前述の通り本心を隠していると思います。

だからベットで大きな音を立てて遊んで、まるで気がないように振る舞っていた。

そこからみるめくんが寝ていることをいいことに本心を出したが、

みるめくんの一言でどうしようもなくなって、

自分の心を隠すように、

自分自身でも忘れられるように、

再びベットで大きな音を立てていたんだと思います。

結局、えんちゃんは別の男とくっついて、

みるめくんのことを忘れたように見えました。

一方のみるめくんは屋上で一人ユリちゃんのことを考えていました。

ユリちゃんの面影をつかなくなったライターに見ながら…。

(男女の恋愛観の違いにも見えます。男の方が引きずるイメージがあります。)


ライターを何度もつけようとし、

なんとかついたとき、

少し嬉しさの混じった驚きの声が出ていました。

もうどうしようもなくなった時、

人は占いに助けを求めるように、

ライターがついたことに希望を見たように思いました。


最後のセリフ「会えなければ終わるなんてそんなもんじゃないだろう」はどう言う意味だったのかいまいちわかっていません。

みるめくんから見て、諦めきれていないようにも見えます。

「人のセックスを笑うな」というタイトルも、みるめくんからみて、こんな僕の恋愛を笑うなと言っているように思います。

(英訳が「Don't laugh at my romance」だったことから、身体的な性行為そのものではなく精神的な物を表しているように思いました。)

どんなに不格好でも、その人にとっては大切な時間だったことを否定するなと言っているようでした。


追伸:
やけにエンディングが良かったです。

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