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「線は僕を描く」を読みました。

メフィスト賞受賞作の「線は僕を描く」を読みました。 心を閉ざした主人公の青山くんが、水墨に出会い、自分の心に触れていく物語でした。 何よりも一つ一つのモチーフとその描写が美しいなと思いました。 水墨に触れたことはありませんが、 筆跡一つひとつや描くまでの動作の一つひとつを描写してくれることで、 その世界の情景に加えて空気感まで伝わってきました。 ◆構造 全体を主人公の心の動きと水墨との出会いを中心に捉えてみると、 1.両親を失った主人公が心を閉ざしている 2

    • タイタニックを見ました

      有名どころは見ておいた方がいいだろうということで、 タイタニックを見てきました。 恋愛ものはどうも好きになれない気がしていたのですが、 そんなことは関係ないくらい面白かったです。 誰かのために生きることが、 こんなにも美しいものなのかと思わせる物語でした。 貴族の中で暮らしているローズは、 そこから抜け出そうとし、 ジャックと出逢います。 ジャックは決して裕福ではありませんでしたが、 ローズを楽しませ、ローズを貴族の世界から抜け出させようとし、 二人は恋

      • アルマゲドンを見ました

        映画「アルマゲドン」を見てきました。 古典というか、長期間評価されているイメージがあったので、 やはり見ておくべきかということで視聴しました。 地球規模の問題を解決するという大きなスケールが、 仲間や家族との絆という人情劇に混ざり合ってとても面白かったです。 冒頭では数日後に隕石が落ちてくることがわかり、 それを止めるためには隕石の表面を掘り、 中に爆弾を仕掛けるしかない。 つまり、掘削のプロに頼むしかない ということになりました。 そこで選ばれたのが今回

        • ナミヤ雑貨店の奇蹟を読みました。

          高校生くらいの頃に読んで、すごく良かったことだけを覚えている状態で読みました。 改めて読んでみましたが、最ッ高でした! そこまで大量の小説を読んできたわけではありませんが、 今までに面白かった小説ベスト3には入ると思います。 さて、この小説は3人の泥棒が逃げてナミヤ雑貨店と書かれた荒屋に逃げ込むところから始まります。 その店はもうずっと使われていないはずなのに、彼らがそこにいる時間に手紙が届いてきました。 その手紙には悩みが書かれており、どうやらここの店主は悩み相

        「線は僕を描く」を読みました。

          映画「フルメタルジャケット」を観ました

          前半と後半で大きく話の違う物語でした。 しかし、一貫して主人公のジョーカーの平和を思う心と海軍としての心との葛藤が描かれているようでした。 前半は、アメリカ海軍の養成所の話です。 落ちこぼれのレナードは、ハートマン軍曹に目をつけられ、いじめられていました。 ジョーカーがレナードを補佐するようになってからは、 優しいジョーカーの元でレナードは成長していきましたが、 それでもジョーカーの中でハートマン軍曹に対する恨みは溜まっていき、 最終的にハートマン軍曹を射殺した

          映画「フルメタルジャケット」を観ました

          乙一「暗いところで待ち合わせ」を読みました

          確か中学生くらいの時に友達に勧められて初めて読んだ本。 当時、とても面白いと感じたことだけを覚えており、 また、最近乙一の小説を読みたいと思ったことから再読しました。 改めて読んで、やっぱり最高でしたっ! 世界を閉ざしてしまった二人が、再び世界を開こうとする、 勇気と優しさのお話だと思いました。 主人公のアキヒロは、会社で孤立しており、 その中でも自分をいじめるような態度をとっていた 松永という先輩を恨んでいました。 そんな時に彼を殺してしまったようで、

          乙一「暗いところで待ち合わせ」を読みました

          東野圭吾のマスカレード・ホテルを読みました。

          ナミヤ雑貨店の奇蹟、容疑者Xの献身がとても面白かったので、 東野圭吾さんの作品を新たに読んでみました。 ミステリーなので話の中心はそのトリックを暴いたりするところでしょうが、 僕の中では「それぞれの世界で活躍する正義が、相手の正義を理解していく物語」だと思いました。 中心となるのは、ホテルウーマンの山岸尚美、警察官の新田浩介の二人です。 作中で起こっている連続殺人事件のメッセージから、 次の事件現場が山岸が働くホテルだと分かったため、 新田が山岸に指導を受けなが

          東野圭吾のマスカレード・ホテルを読みました。

          「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観ました

          戦争の映画でした。 大切な人を失っても失っても、 生きている人たちと助け合っていかなければいけない そんなメッセージが込められているように思いました。 主人公のすずちゃんはどこかで出会ったことがある気がする 周作さんのところにお嫁にいき、 そこで戦争を体験するというのが大まかな話の流れでした。 淡い絵と、落ち着いた声、 戦争の中の日常という世界観が相まって、 心に直接響いてくるような話でした。 一番心のに凝ったシーンは、戦争に負けたことを知らされたすずが悔

          「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観ました

          六枚のとんかつを読みました

          メフィスト賞を色々読もうということで第3回メフィスト賞を受賞した本作を読みました。 バカミスというジャンルらしく、 今まで自分が食べたことのないものだったので 気になった結果読んでみました。 なるほど… バカすぎる! 想像以上にバカなミステリーでした。 四国で起こった事件だと思って、四国の地図を見て解決したと思ったら、実はオーストラリアの事件だったり、 盗まれた黄金の隠し場所が、風俗の金色の椅子に変えられたのだと風俗嬢の前で全裸で自信満々に言ったら全く違ってい

          六枚のとんかつを読みました

          ラインマーカーズを読みました

          僕に見えていない世界を 僕からは出てこない表現で描いているようでした。 いいなと思った短歌をあげていきます。 >真夜中の大観覧車にめざめればいましも月にせまる頂点 最終的に「頂点」で落としていますが、 ふと目が覚めた時に視界に入ってくる美しい景色が連想させられます。 「月にもせまる」というのもいいなと思いました。 >朝焼けが海からくるぞ歯で開けたコーラで洗えフロントガラス 「波で開けたコーラでフロントガラスを洗う」というちょっと雑な感じが 「朝焼け」という美

          ラインマーカーズを読みました

          ボラード病を読みました。

          同調圧力が蔓延する社会、 そこで生きられない人間を異端とする 現実の気持ち悪さを描いた作品でした。 海塚市という舞台となった市では、 市民が一致団結し、 「正しそうなこと」を みんなで行っていました。 学校では「弱音を吐かない」という決まりがあり、 町の誰もが歌える海塚の歌がある ゴミ拾いに行けばみんな笑顔でゴミを拾い、 ゴミがなかったら拍手。 市の人々は結束し、 それは強制とも言えるものでした。 そしてそこから逸脱しようとする者に訪れるのが、 ボ

          ボラード病を読みました。

          運動脳を読みました

          運動をすれば、 ・頭も良くなって ・メンタルも改善して ・健康にもなるよ! という運動こそ百薬の長と言わんばかりの内容でした。 少し前に購入しており、 最近少しずつ運動を取り入れていたので そのモチベーションアップのためにも読んでみましたが、 やっぱり運動したほうがいいなと思える内容でした。 重要なこととしては、 ・心拍数が上がるトレーニングをすると脳が成長する(早歩きでも効果あり) ・ウォーキングや軽いジョギングをした後は記憶力が上がる(ハードなものは

          運動脳を読みました

          嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんを読みました

          登場人物のみーくんが、 まーちゃんのことも読者のことも欺いて まーちゃんを助ける そんなお話でした。 読み進めると、序盤からは想像できない面白さがありました! (正直、序盤は雰囲気が軽くて苦手だったのですが) 読み進めるうちにみーくんがただの猟奇殺人犯ではなく、 少しずれているかもしれないけれど、 まーちゃんのことを助けようとしていることがわかり、 だんだん面白くなっていきました。 二人が誘拐された過去があるというのも面白く(ミスリードでしたが) そのせ

          嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんを読みました

          十角館の殺人 読みました

          絢辻行人氏の「十角館の殺人」を読みました。 騙されたっ!そして面白かったです。 サークルの名前と本名が別であることによって、 同一人物を同一人物だと思わせない仕掛けによって、 神の視点である読者すらも騙すような仕掛けになっていました。 また、舞台となった島と本土では、 繋がってはいるものの別々の人物が登場している というミスリードによって、 まさか名前の違う同一人物がいるとは思いませんでした。 また、パズル的なトリックが売りというよりも、 次は誰が殺されて

          十角館の殺人 読みました

          オリエント急行殺人事件

          ミステリーの常識を崩してくるような作品でした。 普通、犯人が一人(多くても二、三人)だと思われるのに、 電車に乗っていた人がほとんど全員 犯人であったというのがとても面白かったです。 昔起きた惨い犯罪の犯人が今回の被害者で、 乗客は皆、当時の事件の被害者の関係者だったため、 全員で協力して犯人を殺した という話でした。 ポワロ視点でも、読者視点でも、 乗客それぞれが当時の事件に関係していることはわかっておらず、 それどころか当時の事件のことも最初はわかって

          オリエント急行殺人事件

          呪術廻戦 2期を見終わりました。

          ◆懐玉・玉折 間違った方向に捻じ曲がってしまった正義を、 否定することのできなかった夏油の話だと思いました 「弱き者を助ける」 と考えていたのにも関わらず、 彼らを助けることで 他の誰かが殺されたり苦しめられたりすることに耐えられず、 自分へかけた責任によって心が潰されてしまったように感じました。 「弱き者=非術師を助ける」ということが 間違っているのではないかと思い始めた時に、 「非術師を皆殺しにすること」を 九十九に肯定されてしまったことから、 ず

          呪術廻戦 2期を見終わりました。