適齢期オンナが岡本太郎を読むと爆発する <大黒柱女の結婚・2>
結婚したい理由がなくてこのまま平和が日々が過ぎてくれればそれ以上求めるものが私には見つからなかった。
指輪?
ネイルすらしたくない私が手元の装飾するわけないじゃん。
ドレス?
きれーい!おめでとぉー!ありがとぉー!を強制的に言い合う茶番でしょう。
祝福?
毎日幸せに生きてるから改まって祝われることがなにもない。
五体満足の健康な身体。
雨風凌げるお家。
やりがいのある仕事。
優しくユーモア溢れる彼。
可愛くて元気な愛犬と愛猫。
遠くから見守ってくれる両親や友達。
今以上の幸せってなに?
これ以上何を欲すればいいんだ?
悪いけど結婚にはむしろ手間やリスクを感じずにはいられない。
こんな自分だからこそ、そして、人間ふたりと犬と猫の生活を支える一家の大黒柱だからこそ節税という現実的なメリットを知って、結婚することの意義を初めて見つけた。
それと同時に、平穏な日々に一石が投じられる予感を沸々と感じ始めていることに気づき始めていた。
私は自分の日常や自分自身に変化や刺激を自給自足するのが好きだということを思い出す。
とは言え、、。
私のちょっとした思いつきみたいなものに相手の人生も巻き込んでいいのか?
そもそも結婚をメリットデメリットで決めるべきでない??
今までひとり好き勝手に生きてきた私でも、結婚となると相手の人生も背負うことと同等なんだろうと予想はできる。
悶々としてこんなことを考えていた頃、私という鈍く張りつめたゴム風船に針が刺されていった。
針その1 自由
地域の子どもダンス教室のステージを観に行く機会があり、
その中でも曲に合わせて即興で踊って勝敗を決めるバトルが圧巻だった。
振り付け通り言われたままに手足を動かすのがダンスなんじゃない。
リズムに乗る、自分を表現する、何よりもダンスを楽しむ。
日々の鍛錬により築かれた土台を武器に、堂々と自分なりのスタイルを披露する子どもたち。
躍動感。
何にも縛られずに自由でいることの素晴らしさ。
枠に中に縮こまらない、そもそもそんなものは存在してないんだから。
10歳前後の幼い子どもたちに教えられたような気がした。
いろんな人間、いろんな集団、いろんな価値観を通過して、大人になる頃には意図せず何かに囚われた生き物になる。
自分の喜怒哀楽は見て見ぬふり。
自分の声だって本当は聞こえているのに。
自分の心に芽生えるトゲに触れても対症療法をするだけ。
周囲の目がなければ今私は何をやってる?
前例がないことは杭として打たれる?
子どもの頃持っていたものを捨てるのが大人なのか?
それが素晴らしいものだとしても?
ゴム風船に針が食い込む。
針その2 男気
私の好きなタレントさんが整形を公表した。
彼女の良いところは完璧で可憐な容姿に反して中身が男前なところだ。
努力家で捨て身で正直でカッコいい生き方も良い。
彼女の紡ぐ一言ひとことにも気前の良さが溢れ出ている。
これでもかという美への追求を余すとこなく惜しみなく公開してくれていて、実用的なこと、メンタル面においても彼女なりの信念や姿勢は現代を生きる女性たちにとって頼もしいロールモデルだ。
SNSでファンと深く交流をしている彼女の言葉には多くの女性が救われていて、私もたくさん勇気をもらった。
彼女はギブの精神。
与えて与えて、自分がちょっと損をするくらいに与える。
そうすると巡り巡ってかえってくる、と。
お返しがほしくてやるのではなくて、誰かに助けになることで自分も救われるんだと。
そんな彼女の熱い姿勢は小学校のときによく耳にした言葉を思い出させた。
「自分がされて嬉しいことを人にしなさい」
私も彼女のように人として強く美しくありたい。
本当にほしいものは自分で手に入れたいし、本当に大事なものは自分が守っていきたい。
何より、彼女のように真っ直ぐに豪快に生きていきたい。
ぷかぷか浮かんでいるだけの風船に意思はない。
針その3 爆発
たまたま見かけた本、岡本太郎『壁を破る言葉』。
言葉通り、壁をぶち破ってくれるような言葉がたくさんあるんだろうなぁ。
著名人に疎い私でも知っている、岡本太郎に傾倒してる人もよく見かける、芸術は爆発だ!の人でしょう。
1ページめくるごとに真っ白なページに黒い文字で名言が書いてあるだけ。
潔い。なんの装飾もない。でもそこにはものすごいエネルギーが蠢いている。
何かに燻っていたのかどうかは覚えていない。
もしかすると、それゆえ私のアンテナが反応したのかもしれない。
そうでなくても、メチャクチャやってやろーぜみたいな擦れた少年みたいなのが大人になっても頭の隅っこにいる。
目立ちたいとか、語り継がれたいとか、みんなと同じことしたくないとかそういうんじゃない。
疑問を疑問のままにはしておけないタチなのだ。
みんなはそうするのかもしれないけど、私はこうするんだ。
自分の中で沸々とあたためられているものが、膜を破って一斉に走り出したそうに悶々としている。
「己だけが自分じゃない 向こうからやってくる運命も自分自身」
「他人のことはもちろん、自分の仕事すらなぞってはいけない」
「惰性的な空気の死毒に侵されないために創造しなければならない」
「今日やっている実験が明日に価値になっていないかもしれない そんなことはどうでもいい」
「いつも行き詰まっている 行き詰まっているからこそひらける」
ゴム風船は破れて爆発した。
なんだか身軽になって、中からふわりと出てきたものとは。
「女からプロポーズするのってアリ?ナシ??」
そういえば、父と母の結婚エピソードを聞かせてもらったことがあったっけ。
やっぱり私は変なところが母に似ている。
続く↓
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