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【自閉症児の育児】初めて見せた強い意志

時系列バラバラですが蘇ってきたことを書きたいと思います。

 

さとちん特別支援学校高等部3年の時のお話です。
 

彼が生まれてはじめて見せた
「強い意思表示」について綴っていきます。
 
 
この時期は卒業後の就労先を決めるために本格的な活動がはじまります。
そのため希望の事業所へ実習する機会が多くなります。

 
さとちんは2ヶ所実習に行きました。
1ヶ所は1年のときから実習させていただいていた就労移行支援と就労継続支援B型を運営している事業所でした。
 

その事業所はネットで古本を売ったりしていてパソコン入力や役所の清掃などをしていました。
 

当初はそこに就労しようと考えていましたし、さとちんもそのつもりだったと思います。

 
なんせ選べるほどの事業所がないという現実がありますので辛いところでした。
 
 
そんななかで私がとある講演会で「農福連携」という活動があることを知り衝撃を受けました!
 

その理由は

『⚫︎障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組である。
⚫︎農福連携に取り組むことで障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もある』
 

衰退している農業は助かり、それによってありがとうと感謝される障がい者。
感謝されることで存在価値が高まり輝いてくるのだ。
そんなお話だったのです。  
 

これはみんなが笑顔になる活動ではないか!
素晴らしい!
と心が震えました。
 

さとちんにも農福連携をしている事業所で働いてもらいたい!!という願いが出てきました。
 
 
早速、担任の先生と進路指導の先生に話をしました。
行動あるのみ!
(こういうときは早い 笑)


先生がすぐに動いてくださり実習決定!
早速農園での実習を開始しました。
有り難い。
 

さとちんも実習をしてみて気に入っている様子でした。
 

でも、あるとき私に最初に実習した事業所の方がいいとさとちんが言ってきてショックを受けました。
 
 
私がいいと思っても本人がそう思ってないのなら難しいよなぁ...
押し付けるわけにいかないし。
そう上手くもいかないのかなと思って少し落ち込みました。
 
 
卒業も近づき実習も大詰めの時期を迎えて、最後に農福連携の事業所に実習に行きました。
 
 
1週間の実習期間で頑張りどころだったのですが、さとちんは熱を出してしまい休むことになってしまったのです。

なんか上手く事が運ばない気がして少々諦めモードになっていた私。
   
 
実習最終日に熱は下がったものの実習に行くのは無理だろうと思っていました。
さとちんにもそう伝えました。

 
がしかし!
さとちんは出かける準備をしていました。
休む選択ではなく「実習に行く」と言って出かけて行きました。
それには驚きました。
 

そしてなんとか無事に実習終了しました。
実習も2日しか行けなかったこともあり、なんとなく私のなかで農福連携の事業所は難しいかも....という気持ちでいました。
 
 
でも事業所から連絡があり面接をするとのことで、とりあえずさとちんと行くことにしました。
 
 
今までたけちゃんのこともさとちんのことも親の私が選び決めてきました。
 

障がいのあるさとちんには環境や状況などを把握することや理解することが難しいということがあります。
 
 
今回の就労の件も、もちろんそうなりました。
あとは気に入って長く働いてくれるかどうか。
祈るような気持ちです。
 
 
面接官がさとちんに尋ねました。
「さとちん君は農園で働きたいですか?」


私は答えられるのかハラハラ。
 
 
案の定、沈黙...
のあとコクリとしました。


その後に私がさとちんの気持ちを代弁するかのように面接官に話をしました。


すると突然さとちんが話し出したのです。


『僕はここで働きたいです!
農園でがんばって仕事したいです!』

 
えっ!!
と驚きました。
 
 
彼が生まれてはじめて自分の想いを言葉にした瞬間でした。
彼の強い強い意思表示だったのです。
 

涙が溢れました。
そんなことが言えるようになったんだね。
ありがとう。
 
 
嬉しくて涙が止まりませんでした。  
 
 
私の心配をよそにさとちんは一歩ずつ大人へと成長していたのです。
 
 
後日、その強い想いが神様に届いたのでしょう。
さとちんは見事内定が決まり願い通り農園で働けることになったのでした。
 
 
農園の人からラッキーカードを手にしたね!
と喜ばれました。
 
 
それも超有名な大手電機メーカーの障がい者雇用としてです。
願ったり叶ったりです。

 
あの時、さとちんが働きたい!と言わなければ、農園での就労の話は流れていたかもしれません。
 
 
強い想いを伝えられたことで、さとちんの歩む道が変わったように感じます。
 

誰にでも人生の岐路があります。
それを決めるのは自分自身です。
さとちんも自分の道を切り拓いていきました。
 
 
この話は私の心に深く残る一生の宝ものになっています。


就労してから農場長との間にいろいろとあり頭が痛い時期もありました。
 

でもそれを乗り越えて今も頑張って働いてくれています。
 
 
自分で決めたことだから少々嫌なことがあっても踏ん張れるのでしょう。
 
 
さとちん
毎日がんばってくれてありがとう!

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