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バックオフィス業務を学ぶことはプロフェッショナルへの道~Facebook Live 第8弾「ミタイ基金インターントーク!」~

こんにちは!
ミタイ基金インターン生の服部翼です。

ミタイ・ミタクニャイ子ども基金は、Facebookにてオンラインイベントを開催し、様々なテーマでライブトークを配信しております。
今回はFacebook Live第8弾として配信した「ミタイ基金インターントーク」を記事にしました。

2014年にミタイ基金のパラグアイ現地インターンとして活躍された田才諒哉さんをお招きして、ミタイ基金スタッフの鈴木、インターンの服部とともにお話をしてもらいました。司会進行は代表の藤掛が務めました。
田才さんのお話を中心にイベントの様子をお伝えします。
国際協力の働き方から国際協力の考えまで、多岐にわたって有益な話がたくさん出た回です。ぜひご覧ください。

ゲスト紹介

田才諒哉さん:2014年にミタイ基金のパラグアイ現地インターンとして活動。現在はアフリカに関わるNGOで活動中。

インターン時代を振り返って

藤掛:ミタイ基金がまだインターンの受け入れをあまり行っていない頃に田才さんはインターンとして活動してくれましたが、高校生の頃から国際協力に興味があったのですか?

田才:高校生の頃は海外にすらあまり興味を持っていませんでした。
藤掛教授に出会い、大学のプログラムでパラグアイに1ヶ月間行ったこと(以下、パラグアイ渡航)が転機となっています。その中で楽しいこと、難しいこと、いろいろ経験しました。
帰国後もそこでの学びをうまく言語化できず、国際協力に対するモヤモヤを抱えたまま大学3年生を迎えました。まわりの仲間たちが就活を始める中、自分はもう一度パラグアイに行って国際協力について考えてみたいと思いました。
そして、大学を休学し、パラグアイに行かせてもらいました。

藤掛:現場に行く、インターンをするということは、言語化できないモヤモヤ感の正体を探しに行くことができるという面もありますよね。高校生の頃は国際協力に興味がなかったということでしたが、「何が」田才さんの人生を大きく変えたのですか?

田才:パラグアイ渡航での1ヶ月が大きかったと思います。現場では、本では学べない、人間らしい部分などを自分の体を通して感じることができました。滞在中は自分ができないことばかりに目がいって、落ち込むことがたくさんありました。ですが、異なる文化、言語を持つ方々一つの地域をよくするために活動することが楽しいと感じましたし、これまで多くのことを学ばせてもらったので、その恩返しをしたいと思いました。

↓パラグアイ渡航についての記事はこちら↓

藤掛:私自身も現場に出てすごく変わった経験があるので、やっぱり現場に出るということは人生を変えるものがありますよね。
ただ、国際協力はバックオフィスの仕事も必要で、先方と連絡を取るにしても、車を手配するにしても色々とやることが盛りだくさんです。また、相手の生活リズムとこちらの生活リズム、時差もありますのでどのタイミングで電話したら現地の方の生活リズムを崩さないかなども考えなければなりません。
パラグアイでのインターンやスーダンでの活動をしてきて、バックオフィスの仕事はどうでしたか?

田才:パラグアイでのインターンやスーダンで国際協力の活動していく中で多くのことに気づきました。学生たちが参加するパラグアイ渡航のときは、藤掛教授が車の手配や宿泊場所の確保など全て裏方の仕事をやってくださっていたということを強く感じました。パラグアイ渡航ではフィールドワークの表だけ、良い面を体験させてもらえていたということに気づきました。
実際にNGO職員として働いてみたら、ロジ回り、お金回り、人事、総務、報告書作成などを自分たちでやらなければならないことがたくさんあるということがわかりました。現地の方と活動するのは全体の業務の1、2割程度で、残りの8〜9割がバックオフィス的な仕事というときもあります。
あまり表には出てこないものですが、国際協力の業務の中でとても重要なことだと思います。

藤掛:鈴木さんは現在ミタイ基金の職員として働いていますが、実際働いてみてどうですか?

鈴木:私もミタイ基金で働いてみてバックオフィスの仕事が多いことを実感しています。もちろん想像はしていましたが、その予想を遥かに上回る印象です。

藤掛:バックオフィスの業務に気づくことがプロフェッショナルに近づく第一歩だと思うので、気付いてくれたことを嬉しく思います。この経験は将来に生かされると思いますよ。

インターンの話からさらに先に進むんですけれど、新型コロナウィルス(以下コロナ)の影響下における活動についてお尋ねします。田才さんはこれからどのような工夫をしていきたいと考えていますか?

田才:zoom等で会議をすることはできますが、意思疎通がうまくいかなかったり、雑談ができないなど、今までできていたことができなくなってしまったことがあるので、そこを補なう必要があると思います。現地の方と積極的にコミュニケーションを取って、今まで以上に現地の方を信頼して仕事を任せる必要があるのではないでしょうか。
また、日本側の役割は、ライブイベントなどを通して寄付を呼び掛けたりすることなのかなと思います。

藤掛:ミタイ基金でも、オンラインでの繋がりが増えたことによって以前よりも話している時間が増えてきたと感じています。それと同時に、これから新しく関わっていく方たちといかに信頼関係を形成するのかを考えていく必要があると思います。

田才:僕はオンラインでの会議で、まだ直接会っていない方と連絡を毎日のように取り合っています。これからはオンラインでの関わりを通して信頼関係を構築していくことになると思います。ただ、毎日連絡を取り合っているけど今一つ何か不足しているなと感じるんです。その理由はきっと一緒にご飯を食べていないからだと思います(笑)。
パラグアイだったら一緒にテレレ(お茶)を回し飲みするとか、一緒にアサード(焼肉)をするとかあると思いますけど、一緒に食べて飲むことがいかに重要だったのかを痛感しています。なので、早く一緒にご飯を食べたいですね。

藤掛:確かにそうですね!マンゴーの木の下でテレレを回し飲みしながら村の方々とたわいもない話をしたり、ボーッとする時間はすごく大事ですよね。

コロナの影響で経済格差は拡大しています。また、今まで支援の道筋が見えていたものが見えづらくなってきたと思いますが、田才さんはコロナ関連で何か得た情報はありますか?

田才:現在アフリカの支援に関わっていますが、アフリカの農村部の自給自足をしてきた方たちはあまりコロナの影響を受けていないようです。
逆に、自給自足の生活を抜け出して、都市部に出稼ぎに出ている方がコロナの影響で仕事を失って生活が苦しくなっているという話を聞きました。コロナの影響を受けているのは必ずしも全てが貧困ライン以下で生活をしている方たちばかりではないようです。また、農村を出て都市部で働いている方たちは、アフリカよりも中南米に多いので、中南米が特にコロナの影響を受けやすくなっているのではないかという記事もありました。なので、コロナの影響によって支援を必要とする人たちの層が変化してきているのかもしれません。

藤掛:南米では都市部に働きに出る方が多く、経済的打撃を受けやすいというのはあるかもしれませんね。
鈴木さんは日本からパラグアイの農村やスラムの方への支援を行っていますが、どのようなことを感じていますか?

鈴木:現在行っているパラグアイの支援は、今をしのぐための支援になるのですが、農村をみていると前に進むための選択肢が少なく、支援の形が画一的だと感じます。前に進むバリエーションをもっと考えていく必要があると考えています。

藤掛:人によって社会的・経済的状況が異なっているにも関わらず、支援が画一的になっているということですね。この点はきめ細やかな対応が必要ですよね。文化人類学者や地域研究者の出番ですね(笑)。田才さんが今関わっているアフリカ支援ではどうなっていますか?

田才:支援のあるべき姿として、一人一人の状況にあった支援をすることだと思っているので、画一的にならないようにしています。
しかし、限られた資源の中でやっていかないといけないので、支援がどうしても画一的になってしまう部分も出てきます。相手の農家さんがどれくらい自給自足しているのか、どれだけマーケットと繋がっているのか、といった具合にそれぞれの生活の色が違うので、どんな支援をするのかを考えることもなかなか難しいですね。

藤掛:一人一人に合った支援をすることの必要性は人類学者の論文によく書いてあります。一人一人に寄り添うために地域研究者の力が必要であって、量的な研究で作られたモデルに沿った開発よりも質的研究で得たデータを基に現地に寄り添った支援をすることが必要になってきます。しかし、質的研究は時間もかかるし、「職人芸」といわれるように簡単ではないですから、文化人類学の素養といいましょうか、そのような考えを持った若い人たちにはもっともっと活躍してほしいと願っています。

田才:質的研究は大事ですよね。例えば、近年話題のRCT(ランダム化比較試験)なんかがそうですが、ある範囲で効果の出たモデルを他の地域で使おうとすると、画一化された支援に向かってしまうことに繋がってしまうので、質的研究も注目されてほしいと思います。

藤掛:ジレンマですよね。一人一人に合った支援をしたいと思うけど、それと同時に成功モデルも求められる...。
このテーマは深いのでまた別の機会に是非、改めて議論しましょう。

国際協力では業務の8割くらいはドキュメンテーション(文書化)である現実と、現場の声を聞く時間を増やしたい理想との葛藤がありますが、田才さんはこれまで活動してきてどのように感じていましたか?

田才:その現実と理想の葛藤を痛感しています。日本政府からお金をいただいて活動していたときもあったので、説明責任もあります。それと同時にもう少し現地の方と話す時間がほしいという思いもありました。かといってずっと現場に張り付いていても、結果を対外的に示せなければ支援の予算は入ってきませんから発信もしなくてはならない。理想と現実のバランスが難しいです。現場の時間を確保しながら結果をうまく発信できるようにしたいですね。また、発信もでき、結果も出せるバランスの取れた団体がこれから増えてほしいと思います。

藤掛:現場に寄り添いたいと思うけど、それ以外のこともやらなければならない中、多くの団体が必死に頑張っています。ミタイ基金もその団体の中の一つです。

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最後に

藤掛:村の方々が、学生たちが村に来てくれたことで自分たちが変わったと言って下さったことがあります。私が学生さんを引率して村に行くことで、村の方々の生活リズムや価値観を壊してしまうリスクがあり、学生たちを村に引率することが良いのか非常に悩んだこともありましたが、「以前来てくれた学生の〇〇さんが私の料理を好きだと言ってくれた!」、「また来てくれた!」と、村の方々が喜んでくれました。このような相互交流を通してお互いに成長していける学び合いの場をこれから作っていきたいと思います。

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国際協力の業務の8割はバックオフィスの作業という内容がとても印象的でした。国際協力と聞くと現場で活動しているところをイメージしがちですが、実際はその準備に多くの時間を使います。これから国際協力に関わっていく上で忘れてはならないことですね。

文責:服部翼

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