青い春

「教えてもらった曲良かったよ、また明日CD貸してね。」

受信ボックスに一件のメール。

送り返したくなる気持ちをギュッと堪えて、今送ってしまったら「おやすみ」と返されてメールが終わってしまうかもしれない。

僕はやっとの思いで彼女のアドレスを入手し、メールを始める事ができたばかりだ。

返信はまだかと「新着メール問い合わせ」を何度した事か。

ただ毎回帰ってくる彼女からの返信はあまりにも淡白なもので、薄々僕には興味が無いのかもしれないと思いつつも必死に話題を繋ぎ止めた。

一体彼女の目に僕はどんな風に映っているのだろうか?

…今はそんな事を考えても仕方がない。

明日の僕には彼女にCDを貸すという名目があるのだ。まるでディズニーランドのファストパスを手に入れたかのようなそんなワクワク感で胸がいっぱいだ。早く明日になれとこれ程までに願った事はないだろう。

いつだって彼女の事が頭に浮かぶ。

帰り道、お風呂に入っている時、眠る前。

どうしようもなく好きな気持ちが溢れてくる。

こんな純粋に誰かを好きだと思い続ける事ができるのはこの時だけだったと。

大人になってしまったらもう体験する事のできない青春の特権であったと。

時折思い返してはどこか胸の奥が締め付けられるように…。

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