misty(voyage)

セリーヌ、大江健三郎、カフカ、カミュ、アルトー、バタイユ、ドゥルーズ、デリダ、柄谷行人…

misty(voyage)

セリーヌ、大江健三郎、カフカ、カミュ、アルトー、バタイユ、ドゥルーズ、デリダ、柄谷行人、ツェラン、田村隆一などが好きです。

最近の記事

  • 固定された記事

あなたの字は素敵だねだと言ってくれたから(エッセイ)

 字が汚かった。小学生のあるとき、通っていた塾の算数の先生に「おい、ちょっとこれを見てくれ」と、苦笑されながら自分の書いた答案を渡された。確かにそこには自分でも判別するのがやっとなほどの乱雑な走り書きがあった。算数の先生は、まるで現役のヤクザのような風貌をした痩せぎすの男性で、僕はその先生が大好きだった。怒ると怖いけど、快活な笑い話で生徒の心をぐっと掴むところに惹かれた。その先生が、「さすがにこれは読めないな。次からは気をつけろよ」とポンと僕の肩を叩き、そのまま颯爽と去ってい

    • 現代詩手帖の投稿の注意点など(あくまで個人的な)

      思潮社が毎月発刊している、華やかなイメージのある詩誌『現代詩手帖』。わが自治体の一番大きい本屋(ワンフロアの中型書店)でもちゃんと置いてある。全国の三大詩誌といわれるものがこの思潮社『現代詩手帖』、土曜美術社出版販売『詩と思想』、そして青土社の『ユリイカ』である。ちなみに僕は華やかな現代の文化人・芸術人を扱うユリイカに、詩の投稿頁があるなんて全く知らなかった。今年(今年度?)は井坂洋子さんがやってらっしゃるんですね)。 詩誌といえば『現代詩手帖』しか知らなかった。どうやら毎

      • (詩)螺旋

        noteで詩を載せるのは控えようと思っているのですが、これは公募や詩誌には投稿しないだろうと判断したので、公開します(場合によっては、非公開にすることもあるかもしれませんが)。  最近、自分の詩の作風についてずっと悩んでいます。ぜひ、コメントで忌憚のない感想をお寄せください。 螺旋 ひび割れた殺し逢いの螺旋状の階段から(僕は)転げ落ちる 冬の木立 ヒカリゴケの芳香 僕は一通のメエルで貴女のネガティフなバラードを 串刺しにする 貴女は無数の涙で 子どもの遠吠えに耳を傾け

        • (連詩)戦後の石

          連詩なるものをしてみました。お相手はnoteを通じて知り合った佐々木夜無さん。佐々木さんはほとんど毎日のように詩を投稿されていてひたすら尊敬です。 連詩なので、何行かずつを交互に継ぎ足して書きました。初めての試みだったのでとても楽しかったです。 戦後の石 部屋の窓 締め忘れたから 冷気逃げ 君の残像が 夜風に揺られて 飛沫となり 僕の一瞬となり 舫いでいた稜線が淡い熱で白んだ 淡さの中で僕の皮膚は悉く爛れていく 記憶の重力によって 夏の死へと連れていかれ

        • 固定された記事

        あなたの字は素敵だねだと言ってくれたから(エッセイ)

          僕はせっぱつまった哲学書を読みたい

          aikoの新譜を聴きながら眠れなくなっている。とてもいい。 「よるのうみ」という曲に、こんな歌詞があるのを目で確認した(視覚優位なもので、aikoの声さえ聞き取れないときがたまにある、そんなポンコツな耳)。 まったく難しくないリリックでも、この人の「狂気」(普通に言えば才気)を感じるんだ、僕は。なおさら深夜に聴いているのでばっちり嵌ってしまう、よるのうみに。  僕は、たった一枚の愛に毎日くるまって眠れているんだと思う。人は多くを求めるとかえって痛い目に遭う。自分が置かれてい

          僕はせっぱつまった哲学書を読みたい

          今も音楽を真夏の深夜に聴いている。

           真夏の深夜。というかこれを書き出した今はAM05:00。明朝である。カーテンは開いていない。  UKアーティストのMURA MASAの新譜を聴きつつ書いている。少々とっつきにくい。ムラ・マサの英語ウィキペディアを調べると、音楽としては「Electroric」としか書かれていない。有名アーティストのプロデューサーも手掛けているらしく、世界的にも幅広い活動をしているホットなアーティストの一人なのだろう。 今年は今まで以上に意欲的に音楽を聴いていると思う。↓のような記事も書いた

          今も音楽を真夏の深夜に聴いている。

          B級ホラー映画をどんどん観るというのもやりたい。ホラー、どれくらい観てないんだろう……

          B級ホラー映画をどんどん観るというのもやりたい。ホラー、どれくらい観てないんだろう……

          仏映画鑑賞をいったん中断し、観たかった戦争映画を2つほどみたい。できたら、「おすすめの戦争映画10選」とかやりたい。鑑賞数の少ない自分が……という感じではあるけど笑

          仏映画鑑賞をいったん中断し、観たかった戦争映画を2つほどみたい。できたら、「おすすめの戦争映画10選」とかやりたい。鑑賞数の少ない自分が……という感じではあるけど笑

          待つことの耐えられない重さ

           大学生一年生か二年生の頃、当時好きだった鷲田清一の『待つということ』(角川学芸出版)を読んだ。内容はほとんど覚えていない。しかしこれこそ哲学、自分のアタマでカンガエルこと、これが哲学なんだと思ってしごく影響を受けた。鷲田哲学。  唯一覚えているのは、手紙に関するくだりである。  『待つということ』が出版されたのは2006年。ガラケー全盛期の時代なので、この頃のわれわれはむろんメールでやり取りをしていた。意中の相手からの返信を待つあの時間! 「受信」状況を何回もチェックする。

          待つことの耐えられない重さ

          熱気(仮) #2【小説】

          承前 はい桃、と、杏は力の抜けた声で焼きそばを手渡す。両手が塞がるので缶ビールを乾いた土の上に平置きする。先ほどから男たちの目線が気になり落ち着かない。母親っぽい人がいるうちは少しは安心だろうか。「この辺の人よね?俺のこと知っとる…」と、桃子と杏を前にして「航太」は尋ねてくる。杏は黙って箸を割っている。仕方ないので桃子が応える。「いいえ…」「そっか、君ら何歳」どこまでちゃんと答えればいいか桃子には判別が難しい。子供だから。杏はあくまで黙ったまま、冷えた焼きそばをするす

          熱気(仮) #2【小説】

          今日の読書の最低限のノルマ(50頁)完了〜。毎日、最低10分はなにかしらの文章を書く時間を(強制的に)作る、ということをしてみたい。

          今日の読書の最低限のノルマ(50頁)完了〜。毎日、最低10分はなにかしらの文章を書く時間を(強制的に)作る、ということをしてみたい。

          いてもたってもいられなくて小説を書いてみようと思い立った。話はずっと前から夢想していたもの。難しい表現は避ける、けどどこか読みにくい物語になるといいな。想定読者は僕1人です笑

          いてもたってもいられなくて小説を書いてみようと思い立った。話はずっと前から夢想していたもの。難しい表現は避ける、けどどこか読みにくい物語になるといいな。想定読者は僕1人です笑

          熱気(仮) #1 【小説】

          作 misty 花火は切ない。と二人は強く思う。とくに花火大会が終わった直後のあの場の静けさ。非日常の陶酔が忽然と姿を消して日常の重力に引き戻される感じ。「花火ってまじで切なくない」「うん、超分かる」「ほんと、うれしい」人が疎らになる。目的を終えると(花火を間近で見物してやろうというそれ)さっさと退却を決め込む大人たち。屋台を片付ける人々。倦怠と疲労感。そんな折、いつまでもいつまでもぶらぶらしていたい、夜の闇の中を、と桃子(ももこ)と杏(あんず)は昔から二人で結託し

          熱気(仮) #1 【小説】

          青葉市子「重たい睫毛」について

           青葉市子さんは1990年生まれのシンガーソングライター。思わず身がうち震えるような、無重力と迷宮の世界に連れ去られるような、すぅっと透き通る歌声と、小さな手で操られるクラシック・ギターの圧倒的な演奏力で、聴く人・観る人をしずかに圧倒する。  彼女の音楽については書いても書いても飽き足らないほどである。今回は僕の好きな曲である「重たい睫毛」の一部分の歌詞について紹介していきたい。  「重たい睫毛」は青葉さんのデビュー・アルバム、二十歳の時にリリースされた『剃刀乙女』というアル

          青葉市子「重たい睫毛」について

          Tessa Violetにめちゃくちゃハマった

          前回記事に続いて、上半期にリリースされたけどピンと来なかったものを二つあげて、なぜそれらを良く思えなかったのか、改めて自分で考えてみたい。 その前に、今年ではない作品の中で、Tessa Violet(テッサ・ヴァイオレット)の2枚のアルバムにはぞっこんになった。元々、海外の洋楽をYoutubeで視聴していて、そこに出てきたテッサの「Crush」という動画に惹かれたのがきっかけだ。 極めてミニマルで、内省的ともいえそうで、そしてポップだ。僕は洋楽において歌詞を一切みない(聴

          Tessa Violetにめちゃくちゃハマった

          芯がない人間の読書メモ

          眠れないので、スマホでぽちぽち打ち始める。 少し前の記事で、読書生活における2本の新しい柱(興味・関心の軸)が立ち始めた、というようなことを書いた。そのひとつが、「医学・医療系」という軸であり、もうひとつが「キリスト教・神学」という軸である。 後者はあとで触れるとして、僕は医療系の本、一般向けに書かれている主に医学を専門とする医療従事者・研究家の著者の本を自分なりに集めた。 それが、大人気作家でもある海堂尊先生の、"トリセツ・シリーズ"である。 ざっくばらんにいうと、『トリ

          芯がない人間の読書メモ