見出し画像

(連詩)戦後の石

連詩なるものをしてみました。お相手はnoteを通じて知り合った佐々木夜無さん。佐々木さんはほとんど毎日のように詩を投稿されていてひたすら尊敬です。
連詩なので、何行かずつを交互に継ぎ足して書きました。初めての試みだったのでとても楽しかったです。


戦後の石

部屋の窓
締め忘れたから
冷気逃げ
君の残像が
夜風に揺られて
飛沫となり 僕の一瞬となり
舫いでいた稜線が淡い熱で白んだ
淡さの中で僕の皮膚は悉く爛れていく
記憶の重力によって
夏の死へと連れていかれる
終わらない五つ目の季節
置き手紙を焼けばいいのか
手紙は季節から季節へと流れ
しだいに赤く、厳かに
かつて兵士だった父からの
果てのない手紙
戦地で拾ったという柘榴石
秋でも冬でも失わない輝きは
似ているようでまるで違った
戦争は窓の外で終わる
哀しみの風は中には入ってこない
君の過去を焼く
君の生身を焼く
自身は焼けず。



セリーヌ、カフカ、アルトー、大家健三郎、そしてカフカとブランショのように。