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ハラスメントに該当するかどうかを問わず不法行為を認定!

暴行で日本郵便に賠償命令:福岡高判4.12.21
東京都内の郵便局に勤めていた熊本県の30代女性が2015年、男性社員から口に粘着テープを貼られて負傷し、局側の不適切な対応で適応障害などを発症したとして、日本郵便と男性に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は、約259万円の支払いを命じました。
賠償額を約195万円とした一審判決を変更した。(つまり増額されています)


一審熊本地裁玉名支部判決は、男性の行為や会社の対応と、女性の発症には因果関係があると認定。
原告側が不服として控訴していた。

一審判決によると、2015年11月、期間雇用社員だった女性が窓口で作業中、男性が背後から口に粘着テープを貼り付けてはがした。女性は唇がただれるけがをし、その後適応障害やうつ病と診断。翌年9月に退職した。

責は、男性社員と日本郵便が連帯して負うという結論です。

勤務時間中に突然行われた行為で、女性の顔にけがをするなど心理的負担は相当強いと思われ、賠償額としても高額の分類です。


前提として、会社は社員の安全や職場環境に配慮する義務を当然に負います。

根拠は、労働契約法5条の安全配慮義務と、同3条4項の職場環境配慮義務です。

会社は、労働契約に付随して従業員に配慮する義務を負っているという意味です。

ハラスメント(でなくても、不法行為)が発生して、「良好な職場環境の維持確保に配慮すべき義務を負っていない」と判断されれば、民法709条の不法行為責任とか、、あるいは「とるべき対策を取らずに被害を拡大させた」として、民法415条の債務不履行責任で、会社が、被害者に損害を賠償することがあります。

別の視点で、業務の遂行に伴って行われた場合は、十分な対策を取ってない限り、民法715条で使用者責任が生じますので、それを根拠に賠償責任が発生することがあります。
どの方法で求めるかは、被害者と弁護士さんで決めます。

いずれにしましても、逸失利益や慰謝料がかなり高額になっていますので、 
会社も積極的な対策を取る必要があります。
「ハラスメント」に該当するかどうかを問わず、
就業上、不法・不当なものは見逃すわけにはいきませんので、
「ハラスメント」基準に固執することのないようにお願いします。

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