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フクダ電子長野販売事件③(平成30年5月15日最高裁)

概要

会社の従業員であった4名が、会社とその代表者に対し、代表者のパワハラを理由とする慰謝料の支払い、従業員のうち2名について賞与の減額分が無効であるとして減額分相当額の支払い、従業員のうち3名について会社都合による退職に該当するとして、支払われた自己都合退職による退職金との差額の支払い等を求め、1審が請求を一部認容し、2審が控訴を棄却し附帯控訴に基づき慰謝料請求を一部認容した事案の上告審です。

結論

棄却、不受理

判旨

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告の理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

本件申立ての理由によれば,本件は,民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められない。

(参考)
(上告の理由)
第312条
 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
 省略
(上告受理の申立て)
第318条
 上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第312条第1項及び第2項に規定する事由を理由とすることができない。
 第1項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
 第1項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第320条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
 第313条から第315条まで及び第316条第1項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。

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