見出し画像

懲戒処分取消等請求事件①(平成27年10月26日東京地裁)

概要

都立高校の教員である原告が、女子生徒に対し不適切な内容の電子メールを送信したことなどを理由として、東京都教育委員会から懲戒免職処分を受けたことから、同免職処分には、懲戒免職事由が存在せず、また、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、手続上も違法があるなどとして、その取消しを求めるとともに、都教委が原告に対して実施した取調べ等が違法であり、精神的苦痛を被ったなどとして、国家賠償法に基づき、慰謝料等の支払いを求めた。

結論

一部認容、一部棄却 → 控訴

判旨

本件非違行為の主たる内容は,845通以上の性的な内容を含む生徒へのメール送信であり,教員が生徒に送信するメールとして極めて不適切なものであり,教員としての適格性に疑義を生じさせるものであるが,送信されたメールの数については,特定の3週間ほどに大半が集中しており,1回の一連のやりとりに数十通のメールを費やしたために多くなっているという事情もあり,メールの内容も「わいせつな内容のメール」として本件処分量定が想定している以上のものがあるともいえず,特に重い処分をすべき事情があるとはいえない。

労働者が管理職等でもないこと,反省し事情聴取に協力していること等から,その結果や影響が必ずしも重大なものとまではいえず,処分量定に照らしても,本件非違行為はいずれも「停職」とするのが相当な事案と考えられる一方,本件処分量定を離れて特に重い処分である「免職」をすべき事情も見当たらないことからすれば,本件免職処分は違法である。

管理主事からの事情聴取において強迫等,違法性を帯びる事情聴取が行われているとは認められないことなどの事実等から,国家賠償請求には理由がない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?