2015年5月の記事一覧
AM3:00以降のベル
深夜三時に目が醒めて、それから寝付けなくなった春。星は出ていたはずだけれど、カーテン越しに差し込むほどでもなく、夢は見ていたけれど、覚え書きにも記せないほど曖昧で、ただ君の寝息だけが床に天井に染み入って優しかった。私は布団を抜け出して薄手のパーカーを羽織った。
県道708号沿いの、夜にはためくヨットのように、薬屋の黄色い旗は闇を掻き混ぜ、そうして店先の自販機の並びが小さな昼を作っている。私はそ
夜はひとりがいいんです
撰ばれてあることの
恍惚と不安と
二つわれにあり
ヴェルレエヌ
太宰の本を開いて閉じた。それを読むには私はあまりに酔い過ぎていた。また、夜が来たぞ。私は選ばれずに今日まで来た。時には選ばれたこともあるけれど、選ばれ損なってまた夏が来た。かつて私がはしゃぎ回った畳の部屋は、今では母親の仕事場になっているし、妹をあやしたあのベビーベッドは誰かの元へ行ってし