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等身大で生きる ピンヒールははかない/佐久間 裕美子

私は十代いやそれ以前から、マイペースやユニーク、ちょっと変わっていると言われる人生でした。十代、二十代は「普通」になるために人と比較したり、合わそうとしてきました。三十代になったところで、今度は出産を機に「あるべき親像」との比較が私を悩ませてきました。

ところが、40になるかならないかの年齢になって、常に”普通であること”を考え続けることが面倒くさくなりました。

そもそも普通って何よ?

これまで「普通」を目指して色々考えたり悩んだりしてきたけれども、結局未だによく分からないし、自分を枠にはめる意義が見出せなくなりました。誰かこの気持ちを分かち合えないものか…

あまり自分の気持ちをオープンに話す方ではないので、モヤモヤを打ち明ける相手もなく、でも何かこの気持ちに答えはないかと本にあたり、偶然立ち寄った無印良品の本棚で出会ったのが、佐久間裕美子さんの「ピンヒールははかない」でした。

(いくつかの無印良品にはMUJI BOOKSという本の売り場があります。新品の本と古本が同居していて、小さいながらもこの本棚を見るのが好きです)

ピンヒールははかない/佐久間 裕美子

タイトルだけは知っていて、昔「欲しい物リスト」に入れたことがあるのですがその当時は実際に手に取る機会がなくそのままになっていたことを、書棚を前にして思い出しました。今になってこんなところで出会うとは。これも何かのご縁ということで連れて帰ることに。

佐久間 裕美子さんはニューヨーク在住のライター。新聞社のニューヨーク支局、出版社、通信社勤務を経て独立された方だそうです。「ピンヒールははかない」はその佐久間さんによる女性をテーマにしたエッセイです。特に「トムボーイとパンプス」という、この本のタイトルの理由にもなったエピソードには、女子校で長く育った経験から女ばかりの場所が苦手、ということが書かれており、私は共感から思わず胸に手を当てため息をついてしまいました。私も8年間女子校で、女子の文化が苦手なんですがようやくわかってもらえる相手に出会えた…(実際会ったわけではないですが)

著者がニューヨークで出会った魅力的な友人・知人の話を通して、自立した女性の生き方について考えていく、その内容と語り口にすっかり夢中になり、あっという間に読み終えました。ありのままで胸を張って生きていこうという気持ちにさせてくれるとても良い本です。よろしければ読んでみてください。


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