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女性は90点出せる仕事しか引き受けたくない?

 最近は色々あり、年末年始の時に気分転換でちょっと無理してマカオに行ってきた。
 ちなみに、なんで「無理して」だったかというと、コロナが中国で一番猛威を振るった22年12月に私も見事にかかったので、年末年始はだいぶ疲弊していた(笑)

 広州事務所勤務の同期と行ってきたので、色々仕事の話もした。

 本題に入る前に、マカオの写真を掲載しておく。明政府が1557年にポルトガルに居留権を与えてから、450年以上が経っているので、建築にしろ言語にしろ習慣にしろ、かなりポルトガル色に染まっていた。英語よりポルトガル語の表示が多かったので、スペイン語が分かりかつポルトガル語をかじったことがある私にとっては大変親切だった(笑)

路地からのぞくGrand Lisboaホテル
聖パウロ天主堂跡

1.女性は90点出せる仕事しか引き受けたくない?

 観光中ではあったけど、入社同期であり、同じ時期に中国勤務任された同士として、彼からこのような問題提起された:

 例えば、上司から、「新しい仕事を任せたい。ぜひチャレンジしてほしい」と言われた。ただ、この仕事はやったことないし、やったところでせいぜい100点満点の中、70点しか取れない。普段やり慣れている仕事なら90点以上取れるのに。
 じゃ、「引き受けるか断るか」について、彼の結論は、「女性は断る傾向があり、男性は引き受ける傾向がある」。

 それに対して、私はどう思うかについて聞かれた。

 まず、私はほぼ好奇心で動いている人間だから、そして自分の引き出しを増やしたいので、たとえ「この仕事は30点しか出せないかも」って思っても、引き受けると思う(全く興味がないし向いていない事務仕事以外w)

 じゃ、彼が言う通り、一般的に見て、男性より女性のほうが本当に断る傾向があるのか。

2.経理課と管理課のママたちはそうかも


 そこで、私が真っ先に思ったのが、本社経理課と管理課のママたちはまさにそう。
 何か彼女らが知ってることを聞くと、100点満点の正解がすぐ返ってくるけど、ちょっと特殊な案件で聞くとなると、たらい回しにされるだけ。

 じゃなんで彼女らがそうなったのか。本当に人それぞれなのか。
 彼女らは何の理由もなく転勤の少ない、定型化された仕事ばかりをする経理・管理課にいるわけではない。

 家庭があって、子どもがいて、定時上がりしないといけないから、欲張りせず効率よく自分の仕事をこなすためにそうなったのだと私は思った

3.家庭と社会で求められる男女の役割の違い


 じゃそこで、家庭と社会で求められる男女の役割の違いを考えた。

 女性は定時上がりして家事してるから、その女性の旦那さんが残業できるし出張もできる。70点しか出せないかもしれないけど新しい仕事にチャレンジすることもできる。家庭のしわ寄せがその女性たちのところに集中しているだけで、男性がほぼ影響を受けない。

 上野千鶴子さんの「女の子はどう生きるか」という本で読んだ内容を思い出した。小中学生から質問を受け、上野さんが回答する形だが、その中に、このような質問があった:

「担任の先生は、小さいお子さんがいるので、夕方の5時には学校を出てしまう。またお子さんが熱を出すとすぐに休みを取る。進路のこととか相談したいのに…子育て中の先生が担任を持つのは無責任だと思う。責任が取れないなら、責任のない立場になるのは当然ではないか」

 この質問に対して上野さんの回答を抜粋すると、こうなる:
「男の先生にも小さい子どもがいる先生はいるでしょう。男の先生が休みを取らないのはなぜ?って考えたことがある?それは妻が「ワンオペ育児をしているおかげで、男の先生は責任から逃れられているから。女の先生だって、子どもを作った相手がいるはずだが、夫が手出しをしないから、妻がもっぱら休みを取らなくちゃならないでしょう。
 もし男女問わず先生が小さい子の子育て中なら、担任にならない方が良いと思う?子育て中には責任の重い仕事から外してあげるのが親切?子どもが何歳になるまでそうしてあげたらいい?クラス担任になるのは、責任が重い、やりがいがあること。もしあなたが学校の先生で子どもを産んだばかりなら、子育て中だから、担任を当分外してあげるって言われたら、どんな気分?
 子育て中の人、特に母親には、責任のある仕事を与えないという『配慮』は、学校だけでなく、社会のいたるところにある。これは配慮という名の『差別』。自分が差別した立場に、あなたもいつか立たされることになるかもね。
 子育てと責任ある立場はそんなに両立しないものだろうか。責任の持ち方を工夫すればいいのでは?進路相談は放課後ではなく、時間内にやるとか、LINEなどのほうが本音を言いやすいかも。残業しないでみんな定時で帰るようにしましょう。
 え?男の先生で定時に帰る人はいないって?職場に長くいればいるほど『仕事熱心』って?本当にそうかな。もっと効率よく時間内に仕事をこなした方がましでしょう。それに、男の先生が定時に帰らずにすんでいるのは、妻が早く帰っているからじゃない?だいたい自分の家族を大事にしない先生に、他人の子どもを大事にできると思いますか?自分の子どもを愛しいと思うからこそ、他人の親心も分かる。だから先生が親になることは、生徒にとっても良いことだと思いませんか?」

 抜粋と言いつつ、だいぶ引用が長くなってしまった。

 私は結局そういうことだと思う。
 社会から、女性には家庭、男性には仕事を求めているので、自然な流れだと思う。自然な、いびつな流れ。

 私の考えを聞いた広州の同期(男性)は、基本同意してくれた。
「会社では女性より、男性のほうがもっと仕事を断れない雰囲気がある」と、最後に彼が付け加えた。

 そうね。だって、この「女性には家庭、男性には仕事を求める社会」は、男性が作った男性のための男性に有利な社会だもの
 
 この件はまた今後詳しく説明したいと思う。お楽しみに。 
 
 ちなみに、上野さんの本は、この本です↓

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