トラウマから回復するための3つの視点。人とのつながり、日常生活、出来事の意味を見つける。

こんにちは、これまでの記事で、トラウマとはどういうことか、どういう状態がPTSDなのかなど、トラウマの基礎的な理解についての記事を出してきました。

今日は、トラウマ・ストレス研究国際協会(International Society for Traumatic Stress Studies)のWebページから、トラウマを受けた後の回復の視点をご紹介したいと思います。

① 人とのつながり (Social support)
・助けが欲しいと望めば、誰かがあなたを助けてくれると信じること
・支えてくれる人に、自分のトラウマについて語ること
・トラウマについて話をしたときに、話を「拒絶しない人」とつながること

⇒どれも大切な視点です。この中で、最も重要なポイントは、3つ目の、トラウマについて話をしたときに、話を「拒絶しない人」とつながることです。この3つ目の視点がトラウマからの回復に、最も影響を与えるとする研究があります。


② これまでの生活のリズムへ戻していく
・できるだけ、職場、学校、睡眠など、日常やっていたリズムを取り戻す。
・友達や大切な人と、つながり続けるようにする。
・頭では安全と分かっているけれど、トラウマに関連して思わず避けてしまっているものを、「なるべく」避けないようにする。

⇒これも、「無理なく」自分のペースで進めることです。特に、3つ目が難しいのではないでしょうか。繰り返し、「無理なく」「頑張りすぎない」です。では、なぜ、このようなことが書かれているかというと、トラウマやトラウマに関連した不安などマイナスの感情がなかなか過ぎ去っていかない原因の一つとして、避けよう、避けよう、という意識そのものが、回復の妨げになっているとする研究が出てきているからです。

避けよう、避けようという意識よりも、「避けたいなあ、あ、また、そんな気持ちが出てきたなあ、避けたいっていう自分がいるなあ、、、」避けたい気持ち、そのものが、出てきていることを眺める感じ。そして、無理なくですが、、、できるなら、避けるよりも、ちょっとだけ見るだけ見ておこう(ハードルを低く!)ということができるといいです。

③ 起きた出来事の意味や受けとめ方をみつける
・トラウマとなる出来事を経験したことは、自分にとってどんな意味があったのか。どう受けとめるとよいのか。自分なりの方法でいいので、自分にとって助けとなるような意味や受けとめ方を見いだす。
・意味や受けとめ方を考えるときに、自分で自分を責めてしまうような、自分にとって助けとならないような考えがあることに気づくこと。そして、自分にとって助けとなるような意味や受けとめ方を見出す。
・どんなふうに意味や受けとめ方を見つければいいのか、いろいろな考えに触れてみよう。自分はやれるだけのことはやった、とか、その時出来ることで自分は良く対処したなど、自分にとって助けとなるような他者の考え・受けとめ方を探してみよう。

⇒ ここの、パートは、私の意訳がだいぶ入っています。英語の直訳だと強くなりすぎると感じましたので。

どうしても、つらいとき場合もあります。そういうときは、もちろん、こんな風に考える余裕はありません。

もしも、すこし、その出来事と距離が取れていると感じるなら、その出来事の受けとめの在り方を考えることはとても大切です。以前の記事で、トラウマと人間脳、動物脳について記事にしました。トラウマは、動物脳(生存本能に関わる脳 反射的に緊張や苦痛が上がってくることに関連する)が優位になっているのですが、人間脳(理性的に考えることができる脳)をうまく働かせることが対処のコツであることをお伝えしました。

このように、起きた出来事に対してこれまでとは違う意味付けができるとトラウマの回復はだいぶ進んできます。すぐには、難しい場合でも、そんな視点があるんだ、と知るだけでも、人間脳をはたらかせる最初のステップになります。

それでは、皆さんのよりよい生活の一助となれば幸いです。

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