PTSDとは?どんな時にPTSDって判断されるの?【トラウマの心理学】②

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 PTSDはトラウマ状態の一つと言えます。それでは、どんな場合に、PTSDと判断されるのでしょうか?実は、トラウマの原因となった出来事である、トラウマ体験の内容によって、PTSDと判断されるかどうか分かれます。
 まず、トラウマ体験の内容を大きく二つに分けて考えます。

・ 一つは、非日常の恐怖体験です。
・ もう一つは、日常の中でおこるトラウマ体験です。(「ここには、日常の中で繰り返される、苦痛な体験や、日常の人間関係の中でおこるトラウマ体験も含みます。)

 非日常の恐怖体験を経験して、トラウマ、心の傷が残る場合に、PTSDと判断される場合があります。
 日常の繰り返されるトラウマ体験、人間関係でのトラウマ体験についても、心の傷、トラウマとなる場合があります。家庭の中、学校、職場、などでの、暴言、いじめ、ハラスメントなどが典型的な体験です。
 このような、トラウマ体験は、PTSDのトラウマ体験には該当しないと判断されることがありますが、出来事の性質によっては、PTSDよりも重い心の傷を生じます。
 今回は、PTSDを中心に扱いますが、日常の中でおきるトラウマ体験も大切な視点です。今後、アップしていく予定です。

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 それでは、PTSDのトラウマ体験である、非日常的な恐怖体験とはどういうものを指すのでしょうか。
・ 家事や地震など災害にあった。
・ 身近な人から暴力があった、他人から殴られた、刃物などで脅された。
・ 性の被害にあった
 といった、命や性に関わる被害を直接体験するような出来事だけでなく、自分は直接被害にあっていないけれど、
・ 身近な人が事故などで突然無くなった
・ 身近な人がこのような暴力や性の被害などにあったことを知った、見た
 といった、大切な方の命や性に関わる被害を間接的に見知ったことも、PTSDの前提となる、非日常の恐怖体験となります。
 この間接的な体験には、どなたかが残念ながら痛ましい形で亡くなってしまったところや、重傷負ったところに、立ち会ったりすることも含まれます。

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このように、非日常的な、命や性にかかわる恐怖体験という、トラウマ体験があり、ここに、心の傷の症状があると、医師からPTSDと判断される場合があります。

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それでは、心の傷、つまり、トラウマの状態として代表的なものを見ていきます。
・ 一つ目が、再体験、侵入症状というものです。いわゆるフラッシュバックという、過去の出来事の映像や音、感情、場合によってはにおいなどが、今に突然思い出される状態が代表的です。これに加えて、考えるつもりはないのに、その時のことが思い出されてしまうことや、別のことをしていてもその時のことが頭から離れないような状態も、再体験、侵入症状にあたります。
・ 神経のたかぶりは、過覚醒ともいいます。トラウマ体験に関連して、眠れなくなる、イライラする、警戒心が高まる、ドキドキする、呼吸が苦しくなるなどの体に関する症状です。
・ 回避は、トラウマ体験に関する場所を避けることや、この体験について話さないようにしていること、考えないようにしていることなどがあたります。場合によっては、トラウマ体験が原因で、家の外に出ることが難しくなったり、学校や職場でトラウマ体験があれば、学校に行けなくなったり、出社できなくなります。
・ 物事をマイナスでとらえることは、自分なんて価値がないんだ、弱いんだなど自分の価値がないという考えや、自分には対処していく力ないんだというような考えが良く見られます。

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このような、非日常の恐怖体験を経験すれば、そのすぐ後で、怖い思いが離れなかったり、眠れなくなったり、怒りっぽくなったり、その場に近づけなくなったり、マイナス思考になることは、誰にとっても起こることです。

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 トラウマとして対処を検討する一つの目安は、先ほどのような症状が、1か月たっても過ぎ去っていかない場合です。
 1か月ほどたっても、トラウマ体験の場面が良く出てくる、眠れない、過敏性がとれない、元の生活へもどっていく見通しが見えてこない、などあれば、専門家への相談を考えてもよいかもしれません。

まとめ: このように、PTSDは、非日常的な恐怖体験 + 再体験・侵入症状、神経のたかぶり(過覚醒)、回避 + 1か月たっても過ぎ去っていかない このような場合に、医師によって、PTSDと判断される可能性があります。
  ただし、PTSDとして判断されない場合であっても、トラウマとして対処が必要な場合があります(追ってアップ予定です。)

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