【トラウマの心理学】① PTSDとは?トラウマからの回復 きちんと知って賢く対応

 平成22年に発表された調査では、日本人のおよそ1.3%、人口が1億2000万人とすると、156万人の方が、つまり、100人中、1人以上の方が一生のうちで一度でもPTSDになるといわれています。
 ニュースでも大きな事件や事故、災害が起こるたびに、PTSDという言葉が飛び込んできます。
 一方で、日常会話の中で、怖いゲームをしたり、動画の怖いシーンで、トラウマになったなどと、トラウマという言葉も一般的になっています。Youtubeでも、小さかったころトラウマだったゲームを克服する、といった動画がたくさんアップされています。 

 それでは、トラウマとPTSDの違いは、どこにあるでしょうか?
 日常会話で親しい人との雑談ということなら、特に違いは気にしなくてもいいのかもしれませんが、PTSDという状態像だけでも、100人に1人以上そうなるならば、自分もそうなるかもしれませんし、自分の親しい人がそうなる可能性ならもっと高くなるわけです。

 そうすると、トラウマを小さくとらえすぎると、誤解につながるかもしれません。逆にトラウマを大きくとらえすぎてしまうことも、いろんな不都合を生みそうです。トラウマを正しく知り、理解を深めることが、トラウマからの回復の最初のステップになります。

投稿2.1

 トラウマ、という言葉は、心の傷を意味します。語源はギリシャ語にあり、心の傷という意味では、フロイトという精神科医が1900年の初めのころから使いだし、世界にトラウマが心の傷を意味すると広まってきました。
 ここで、トラウマと、トラウマ「体験」を区別しておきます。トラウマは、心の傷なので、何もなくて傷はできません。傷ができるためには、その原因となる、過去の出来事である、トラウマ「体験」があります。
 どうして、トラウマ体験とトラウマを区別することが大切なのでしょうか?
 例えば、会話の中で、あのゲーム、トラウマだわ… とか、嫌な先生、嫌な上司のこと思い出した、本当、トラウマ。などトラウマという言葉はよく出てきます。
 こんな時は、トラウマという言葉に、「過去」の出来事である、ゲームでの怖い思いをしたこととか、先生、上司とのいやだった体験があり、それが、心の傷であるトラウマになりそう、とか、今、トラウマになっている、という意味で、過去の体験と、今の心の傷が両方、一緒になって使われています。
 この過去の出来事が、語るに語れないとてもつらい恐怖の体験であったらどうでしょう?その過去が、今と一緒になってしまうというのが、トラウマで苦しい、心の傷であるということの出発点です。
 そして、過去のトラウマ体験と、今の心の傷であるトラウマを分けるという見方があるんだと知るだけでもいいのです。このことが、少しずつではありますが、回復への一歩になります。

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