見出し画像

【新聞連載第11回】新しい社会的『価値』とは


NPO ってボランティア団体ですか?』と、学生や社会人問わず聞かれることが多々あります。 答えは、いいえです。私は NPO が本業なので、生きていく上で必要な税金や年金、生活費を活動を通して稼がなくてはなりません。

営利企業と大きく違うのは、事業をつくっていく上での優先順位です。多くの企業は収益化を目的に仕事の内容がつくられますが、私たちは問題解決や人の成長、公益を最優先に事業設計をしていきます。

では、どのようにNPOが資金調達するかというと、主に三つ挙げられます。

一つ目は、個人や法人の寄付を募る方法です。しかし、日本の非営利組織への寄付率は他の先進国と比較すると圧倒的に低いのです。内閣府のデータによると、2010年のアメリカ全体の寄付額は36兆2258億円で約81%が個人の寄付となっていますが、日本は5190億円で個人の寄付額は約19%となっています。実際、私たちの法人への寄付額は0円で、寄付で運営している事業はありません。

二つ目は、自主事業として会社や個人から予算をいただいて運営する方法です。しかし、私たちが参加対象にしているのは子どもたちであり、直接彼らから収入を得て事業を運営することはありません。私たちの行っている自主事業は、例えば長期実践型インターンシッププログラムは受入企業からの予算で、プロジェクト設計や学生とのマッチングを行っています。要するに、若者の成長の舞台をつくることでメリットを得られると考える人たちと連携していくという形です。

三つ目は、行政からの委託です。県や市町村など行政機関から委託を請けて仕様達成を目的に事業を行います。

稼げない仕事を、なぜやるの?』と、これまた多くの人から問われます。答えは、お金を稼ぐことが軸ではなく、自分や他人の人生をどうしたらより良くできるかという軸で仕事をつくっているからです。

多く稼げない仕事をすることは、私個人のお節介や良心ではありません。今後の社会的発展を見据えた時に、若者を『価値を創ることのできる人材に育てる』ということが、最も投資し甲斐があるということです。

価値には種類があって、お金を稼ぐことのできるいわば起業家精神の育成というものも含まれると考えています。しかし、現代の少子高齢化や物質やサービスの飽和状態など、あらゆる社会課題と向き合った時に、お金だけでは解決できない、むしろ経済社会がつくる社会課題というものも見えてきます。

目に付きやすいもので判断してしまう損得勘定が、私たちの生活の満足度を下げている瞬間が、皆さまの人生や昨今のニュースのなかに思い当たりませんか。戦後の日本は、国をあげて他の先進国と対等に外交するための経済社会を確立するため、努力をしてきました。

しかし、この現代社会で重要視すべきはお金の流れから見る社会ではなく、人々の生活満足度中心の社会ではないでしょうか。少子高齢化が進み、海外人材の登用増加などグローバルな施策は動いているものの、我が国の若者一人一人がつくる価値は増加していく必要があります。

しかし、現代の教育現場を見てみると、多くが従来型の教育モデルから脱却できず、若者が未来をたくましく生きるために育つ場とは到底言い難いです。いずれ高齢者になる私たちにとっても、将来労働人口のど真ん中に立つ彼らにしっかり国を支えてもらうために、投資をすることは当たり前だと思っています。

だからこそ、多くの協力者を巻き込みながら、彼らを育む場を創り続けたいのです。


(2019年3月10日 東海愛知新聞掲載)

私たちNPO法人の活動はこちらから

Instagramでも発信しています!

最新のボランティア募集はこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?