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2023年2月に読んだ本

2月は本を1冊読んだ。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

著者: フィリップ・K・ディック
記載日: 2023-02-26

タイトルだけ知ってるけど読んだことのない本を読もうシリーズ第2弾。
(第1弾は以下のリンクで紹介した『チーズはどこへ消えた?』)

今回は新装の文庫本を読んだが、表紙に「映画化名『ブレードランナー』原作」とわざわざ書いてある。表紙に書くくらいだからよっぽどアピールしたいんだろう。
しかし私はブレードランナーを見たことがないし、どんな映画かも知らない。たしか最近リメイクされたんじゃなかったっけ?
本を読んだことで映画にも興味が出たが、この小説を忠実に映画化できたとは思えないので、きっと別物なんだろうな、と思うと見るか迷うところだ。

この小説の舞台は未来の地球で、人類は宇宙旅行の術を手に入れ、火星への植民が進んだ世界である。
アンドロイドは不毛の土地である火星で労働を行うために開発され、人間に使役させられているが、たまに持ち主である人間に謀反を起こし、地球に逃亡するものがある。それを見つけ出し、破壊するのがバウンティハンターの仕事だ。
そんなバウンティハンターのリック・デッカードと、郊外の廃墟と化した集合住宅に住むJ・R・イジドアの二人の登場人物の視点を行き来しながら物語は進んでいく。

大雑把にまとめるとこんなあらすじなのだが、とにかく最初の何章かを読むのが大変だった。
情調ムード オルガンやら、共感エンパシーボックス、マーサー教といった見慣れない(というかこの小説でしか登場しない)用語がわんさか出てくるので、その世界観を十分に理解できず、話についていけなくなりそうになる。
しかしあるラインを超えると話がわかりやすくなって、そこから先はのめり込むように読んでしまった。あるラインというのは、リック・デッカードが逃亡したアンドロイドを破壊するために追跡を始めるところだ。

この世界では動物が絶滅しかかっており、実際かなりの種の動物はすでに絶滅している。地球に住む人間にとって、生きた動物を飼うことは半分義務化されており、飼わない人間は不道徳であるとみなされてしまう。
しかし生きた動物を手に入れるにはそれなりの金が必要なので、金が無い人は代替品として安価で精巧な電気動物を買い求め、ステータスを維持しようとする。
つまりタイトルにある「電気羊」とは精巧に作られた人工の羊型ロボットのことで、このタイトルが言っているのは「アンドロイドでも電気羊が欲しいと夢想するのだろうか」という意味合いのことだったのだ。多分。

この小説は決してわかりやすい類のものではないと思う。特にマーサー教の件がそうで、どこまでが現実でどこからが空想なのかがわからなくなる。もしかしたら全て空想なのかも知れないし、全て現実なのかも知れない。
わかりやすい小説では無いが、1回読むと話の大枠はわかるので、何回も読み返すことで新たな発見があったり、別の見方ができたりするかもしれない。自分はまだ同じ本を2度も3度も読み返すということをしたことがないが、この本にはその価値がありそうだ。


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