植物で振り返るオモイカネ杯~2株目~

やっほー! 植物たんこと三島彩子です。

普段はTwitterYouTubeで活動するVtuberにして学術たんと言われるアカウント群の片隅におります!
とりあえず植物が好きな人で、特に植物成分が好きです(ง ˙˘˙ )ว
あとクイズと美味しいラーメンが好きです。

さて、前回に引き続き、今回もバーチャルの世界の超高難度クイズ大会オモイカネ杯の植物問を振り返っていきます!
オモイカネ杯の詳しい説明は、前回の記事や公式サイトの記載に譲って、早速問題を見ていきますよ~~!!

第2回決勝第6問

『とあるナス科の植物の葉にモザイク状の斑点を作ることからこの名がある、世界で初めて顕微鏡で観察され、ウイルスの存在を実証したこのウイルスの名前は?』

答えは「タバコモザイクウイルス」ですね。
タバコがナス科というのはクイズではよく聞くんですが、ちょっと意外なとこかもしれませんね。なお、タバコモザイクウイルスを結晶化させることに成功したウェンデル・スタンリーは1946年にノーベル化学賞を取っています。
わずか数グラムのタバコモザイクウイルスを集めるために数トンものタバコの葉を使ったんだとかいわれていますね。後にトマトやキュウリ、マメ科の面々などでも類似のウイルスが見つかっています。今でもトマトなんかではモザイク病は被害の大きい病害の一つですね。

ここからはついでの情報ですが、似た名前の有名なウイルスといえば他にカリフラワーモザイクウイルスなんてのもいますね。
タバコモザイクウイルスとは全然違うウイルスなんですが、このウイルスは植物の体内において、遺伝子からタンパク質を作らせる仕組みを持っていまして、これが非常に強力なので植物での遺伝子組み換えとかによく使われるんです。
例えばある植物において、体内でタンパク質Xを作らせたいと思ったら、そのタンパク質Xの情報を持った遺伝子と一緒にカリフラワーモザイクウイルスの「遺伝子からタンパク質を作らせる仕組み」を入れると、タンパク質Xをいっぱい作る植物ができるって寸法です。もっと知りたいって思った人は「35Sプロモーター」とかで調べるといいかも。

第3回予選第16問

『地下茎のうち、レンコンのような根茎、じゃがいものような塊茎に対し、玉ねぎのように変形した葉が発達して茎の周囲に層状に重なり合い栄養を蓄えるものを何というでしょう?』

答えは「鱗茎」です。
植物はしばしば栄養を蓄えるために色んな器官を肥大化させるんですが、例えばサツマイモの芋の部分は根が肥大化したもの(塊根って言ったりします)だし、ジャガイモの芋の部分は地下茎が肥大化したもの(塊茎っていいますね)です。
じゃあタマネギの食べる部分はどうなのかって言うと、葉が肥大化しています。表面の茶色っぽくなってるとこも葉だし、内側の白いとこも、一番真ん中のとこも葉です。茎はうんと短くなっていて、たぶん普段食べる時は根っこと一緒に切り落としちゃう部分ですね。イメージとしては、キャベツみたいな感じかもですね。キャベツの葉の一枚一枚を栄養を蓄えるために分厚くして、ちょっと地面にズボっと埋めた感じだと思うと近いかもです。
同じくヒガンバナ科ネギ属の面々や、ユリの仲間なんかにも鱗茎を作る子たちがいますね。
球根という回答は×になっていたかと思いますが、これは一般に球根と呼ばれるものの中には鱗茎でないものも混じっているからでしょう。例えばクロッカスの球根は、球茎(もしくは塊茎に含めてしまうこともある)といって、茎が肥大化したものなので、葉が肥大化して短い茎の周りに重なる鱗茎とは別物です。
「地下茎のうち」ときて、根茎や塊茎を引き合いに出されているので、鱗茎と答えてあげるのが適切だってことなんでしょうね。

第3回本戦第12問

『別名で「ジュウリョウ」とも呼ばれ、生命力豊かで縁起物であることからある落語の中にもその名が登場するとされる、サクラソウ科の植物は何でしょう?』

こちらは三島彩子からの出題。
うっすら傾向が見えてくるかもしれませんが、私は「知ってればそれで解けちゃうけど、たぶん知らないと思う。でも極上のひらめきと洞察力があればそれでも解ける」みたいな問題が好きです。
おかげで正答率は低めなんですけどね、ええ。
大会の趣旨的に、チャレンジングな問題の方がいいかなって。ね。許して(傲慢)。

「生命力豊かで縁起物」がキーワードで、そんな名前が登場しそうな落語といえば……『寿限無』ですね。さあ、あの長い名前の中から植物の名前っぽいところを出してみよって問題です。
正解は「ヤブコウジ」。
問題の狙いに合わせて「やぶらこうじ」も可としてもらいました。

こういう赤い実が冬の厳しい寒さの中でも美しい植物は結構縁起物になりがちで、代表的なのは「ナンテン」ですよね。「難を転ずる」とひっかけて縁起物としてよく家に植えられます。それから「センリョウ(センリョウ科)」や「マンリョウ(サクラソウ科)」も有名です。ちょっといい日本料理店とかの軒先にいたりします。探してみてね。

いいかんし良い感じの料亭に植わってた。たぶんマンリョウかな?

他にも~両シリーズ色々いて、「ヒャクリョウ(カラタチバナとも、サクラソウ科)」や「ジュウリョウ(ヤブコウジ、サクラソウ科)」、「イチリョウ(アリドオシ、アカネ科)」辺りまで覚えとくとクイズに使えるかも?
あとはミヤマシキミのことを「オクリョウ」なんて呼ぶこともあるとかないとか。

第4回予選第16問

『中国ではキササゲ、日本では主にミズメのことを指す、今上天皇のお印として知られる樹木の名称は何でしょう?』

正解は「梓」ですね。
たまにこういうことあるんですが、アズサって植物はいないんですよね。問題文にあるようにミズメやキササゲの別名とされる他、なんか他にも色々あの植物だったんじゃないか見たいな説があります。たぶん「主に」ってのはそういうことなんでしょうね。

有名なとこでいえば、かつて版木に使われたことから「上梓」にその名を残しているってのは割とクイズでも見かけますね。たぶんこっちは中国での話なのでキササゲとされる方なんじゃないかな。あとは「梓弓」に使われるやつって話ですかね。神事とかで使われたりもしますが、これは「張る」とか「引く」とかを導く枕詞としても有名ですね。こっちはたぶん「主にミズメのことを指す」方じゃないかな。

梓のように、一見同じ名前が中国と日本で違う植物を指してるってケースは珍しくなくて、例えば「柏」なんかもそうです。
日本では柏餅に使われるブナ科のカシワ(Quercus dentata)を指すことがほとんどでしょうけど、中国語ではコノテガシワのようなヒノキ科の植物を指して使われたりします。

こんな風に呼び方がわちゃわちゃしてるのを見ると、学名のありがたみが身にしみますね……。

第4回本戦第6問

『蘇芳と同じ染料が採れることから16世紀以降盛んに輸出されたマメ科の常緑高木。弦楽器の材料としても使われたものの、現在は絶滅危惧種として保護されているこの樹木が国名の由来となっている国はどこでしょう。』

はい、黒羽さなぎさんからの出題です。私じゃないですよ。この回は用事があって不参加だったのです。

スオウってのは、インドやマレーシアの辺りが原産と言われているマメ科ジャケツイバラ属の植物です。
この植物から赤い染料が取れるということで、重宝されたのですが、手に入れるのが難しく、貴重なものでした。

ところが、後に南米大陸が「発見」されると、このスオウと同じようにちょっと赤っぽい感じの木材が取れる木が見つかります。

この木はポルトガル語で「赤い木」って意味の言葉「Pau brasil」と呼ばれるようになり、これもよく使われることになります。その結果、現在ではこの植物は絶滅危惧種となり、資源の枯渇が懸念されるようになってしまいました。

その植物の名は、ブラジルボク。
心材からはブラジリンって色素が取れます。まんまだね。

バイオリンをやられる方なんかは、「あ~ブラジルウッドね!」と思われたかもしれませんが、俗にブラジルウッドと呼ばれる木材の中には、ブラジルボクと全く関係ないアカテツ科のマサランデュバって植物を使ったものもあったりするので要注意。
ブラジルボクはペルナンブコとかフェルナンブコって名前で流通することもあるようです。

で、この木を頻繁にポルトガルに輸出していたことから、その辺りはブラジルと呼ばれるようになったと言われています。よって答えは「ブラジル」です。

第4回本戦第9問

『めっきり冬ですね! 水に関する以下の言葉のうち、冬の季語を全て選んでください。
①薄氷 ②氷面鏡 ③シモバシラ ④氷橋』

変化球投手ティエンさんの問題です。
え? 植物の問題じゃないって?
何を言ってるんですか、あるじゃないですか植物。③に。シモバシラって。

①は春の肌寒い日に薄く張る氷のことなので、冬の季語ではありません。
そして③に関して「霜柱」ではなくシモバシラはシソ科の植物です。

このシモバシラ、花は秋ごろなのですが、冬になるとこの植物の枯れた茎に霜がつき、それが柱のように見えることから名前がついています。
学名はKeiskea japonicaとされたり、シモバシラ属(Keiskea)をコリンソニア属(Collinsonia)にくっつける説を取ってCollinsonia japonicaとされたりします。
「Keiskea」という属名は、「雄しべ」や「雌しべ」、「花粉」といった言葉を作ったとされる日本初の理学博士の一人、伊藤圭介氏への献名です。超有名人なので、他にもアシタバとかスズランとか色んな植物に名前がつけられています。

この回参加してたら正答できてたんですが、私がいないから出した問題って説もあるかもってちょっと思いました。
鬼の居ぬ間に洗濯。三島彩子の居ぬ間に植物問。

第4回決勝第10問

『次の4つの画像に関連する植物の名前を答えよ(属レベルの総称で構わない)』

こちらは謎の学術たんXからの出題です。いやー、いったい誰なんだろうなー。良い問題出すなー。

前述の通り、第4回の当日は所用につき欠席だったのですが、この問題の解説を任されたので、映像にて出演いたしました。
以下、概ね当日解説した通りです。

」という漢字は「スミレ」と読むこともできますが、それだと残り3枚の画像との関連性が分かりません。となれば、別の読み方ではないかと考える必要があります。
構造式はアコニチンのもので、この有毒成分はフグ毒として有名なテトロドトキシンの毒性と拮抗する性質があります。
この性質を利用して毒を盛った時間をずらし、アリバイの成立を狙った犯罪が実際に起こったことがあります。ギリシャ神話ではケルベロスの唾液から生えてきたともいわれるこの植物は、そう、「トリカブト」ですね。

厳密には「トリカブト」という名前はトリカブト属に含まれる植物の総称なんですよね。その名前の由来は特徴的な花の形から来ているとされていて、烏帽子や鳥兜という昔の衣装に似ていたからとか、単にニワトリのトサカに似ていたからとか色々説があるようです。英語でも「僧侶のかぶりもの」という意味の「monkshood」と呼ばれます。
その塊根は烏頭や附子、天雄といった生薬に用いられることでも有名ですかね。転じて狂言にも『附子』という演目がありますよね。

結構関連する情報の多い植物なので、出題にあたってどの画像を使うか悩んだ……ことだろうと思います。

第4回決勝第12問

『以下に共通する名称は何でしょう。(表記が同じとは限りません)
・神奈川県で栽培される米の品種
・清見とポンカンを交配させた柑橘類の一種
・東京都中央区の地名』

1問置いて再び植物問。中央区の地名だけでは絞り切れないので、米か柑橘類かの品種を知っているか、推測する必要があり、なかなかの難問といった印象です。

平塚市生まれの「はるみ」は、「湘南の晴れた海」に由来するお米で、キヌヒカリとコシヒカリを交配して作られました。キヌヒカリといえば神奈川県内の主力品種だったんですが、秋の収穫期に雨が続くと稲穂から芽が出てしまうという欠点があるため、そこを補うために稲穂から芽が出にくいコシヒカリと掛け合わせたんですね。

柑橘類の「はるみ」は、問題文にある通り「清見」にポンカンを交配した品種です。「清見」の血を引いており、初春に出荷されることから「春見」と名付けられたようです。愛媛県、広島県、静岡県で多く生産されている品種ですね。推測するならここからかなという気がします。



ようやく第4回まで振り返りましたね……まだまるっと3回分残ってるとは……!

こうして見ると結構植物の問題出てきてますね。というよりは、「植物」というジャンルが大きすぎて、あちこちの問題に引っかかってるって感じかな?
全部の知識を抑えるのは難しいですが、植物をはじめ、身の回りの物事に少し注意を向けながら生活すると、ふとしたところで役に立つかもですね!

また第5回以降も書こうと思うのでお楽しみに!

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