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【英語のリスニングは大体でいい?!】グレイズ・アナトミー シーズン16 エピソード1

人気海外ドラマ、グレイズ・アナトミーの最新シーズンがついに日本でも放送開始。愛してやまないこの番組でちょっと英語の話しを。

まずは聞き取りチャレンジ。
トムが心を寄せるテディが、ハントの赤ちゃんを産んだ時のシーンから。”because, uh, I'm in love with you."「なぜなら君を愛しているから」と”And the meantime we are friends."「それまでは友達だ」の間のセリフに注目。(1:00辺りから)


”○!&%◇#△  Hunt’s gonna last. ”

どんなにボリュームを上げても最後の言葉しか聞こえてこない。しかもトムは後ろ向いているし、抱っこしている男の子も同時に声を発している。これをネイティブは聞き取っているのか?試しにアメリカ人の友人に聞かせてみた。何回か再生した後に、

「う〜ん、何て言ってるか分からない。」


ひょっとしてスマホの音声入力なら聞き取れる?

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もっと分からなかった。

昔、大学で教授が『私も長く英語をやってきたお陰で、この前映画を見たら全部のセリフが聞き取れたよ』と言っていたが、その時の感想は『教授にならないとヒヤリングは完璧にならないのか』というむしろ絶望感だった。しかし今なら分かる。

本当は誰も全部は聴き取れない。

日本語だってそうだし。全国に、”ひいじいさん”に連れられて行っちゃった赤い靴の女の子が何人いるか。それでも前後の文脈から "Hunt's gonna last." だけで「ハントは続かない」みたいなことは想像できる。ちなみに正解は、

”and I don't think this thing with Hunt's gonna last."
「ハントとは続くとは思えない」

それより問題は、このセリフの発音のしにくさだ。この聞こえないセリフを今後のリスニング力アップに(&スピーチキング力アップのためにも!)生かすためには、セリフを声に出して練習し、脳に定着させる必要がある。人の耳は全ての音を聴き取っている訳ではない。脳にストックされた会話のパターンから前後の文脈に沿って、はっきり聞こえないところを補って内容を理解している。英語が聞けるようになるためには、会話パターンのデータを増やしていかないといけない。

しかしこのセリフには日本人の苦手な ”th” が4つも連続している。息吐くような音ばかりで後半の、”ハンツガナラース”(Hunt's gonna last.) しか聞こえないのも無理はない。さらに、アルファベットの ”t” や ”g” や ”k" は、単語の最後にくるとほとんど発音されないから、実際に音として認識されるのは、文字数より全然少ないということだ。

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そう考えると、子音+母音で構成される日本語の何と有難いことか。聞き取りにくい子音を母音が「この音ですよ〜」とバックアップしてくれる。正に優しい母の音。ちなみに子音が連続する言葉が多数あるのはチェコ語だ。有名なのは、Strč prst skrz krk、意味は「首に指を刺す」。発音するには舌と喉をフル稼働させないといけない。子どもは自立せよ、だ。


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発音練習のポイントは日本語にはないような口の動き、例えば歯と歯の間に舌先を挟んで息を出したり(TH音)、口角を横に広げて舌を上顎にくっつけてルーと言ってみたりして(L音)、野球の素振りのように何度も繰り返して正しい発音を耳と口で、つまり身体で覚えることだ。発音は自動翻訳アプリに英文を入れば機械が教えてくれる時代だ。そうすれば次回、脳が勝手に引き出しを開けて空白を埋めてくれる。それでもダメなら、、

もういいんじゃないかと思う。

極端な話、

I'm in love with you. (愛してる)  Hunt's gonna last. (ハントは続かない)
We're friends.(僕たちは友達だ)

だけで十分想像できる。ここで気にしないといけないのは、トムとテディとハントの三角関係の行方だ。




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