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息子は「育てにくい子」だった 4

『ちょっと難しい』HSC気質な息子の話です。
今回は「気持ちの切り替え(癇癪対応)」「幼稚園への行き渋り」についてです。

気持ちの切り替え


とにかく昔から苦手だった

「これが終わったら帰ろうね」
「次はこっちに行ってみようね」
「ガチャガチャは1回だけだよ」

こちらの話を理解はできているようなのに、息子は指示が通らない子でした。
言葉が拙い頃は泣き喚いて抵抗し、お喋りがある程度できるようになると『でもでもだって』で話が堂々巡りするばかり。
末は激しい癇癪を起こすようになり、家でも外でも暴れる日が増えていきました。


執着、そして叶わない理想

息子は「これ!」と決めた物事から、どうしても離れることができませんでした。
代替手段を提案しても、お菓子などで釣っても、全く聞き耳を持ちません。

「ガチャガチャがやりたい、この景品が欲しい」

そのように気持ちが向いてしまったら、もう駄目です。
加えて、息子は『自分の希望・理想』と『実際に発生する出来事、あるいは様々な可能性』を線引きするのが苦手でした。
『これが欲しい!』は息子の中で『これが手に入る!(確定)』に変換され、現実がその通りにいかないと大パニックを起こしてしまいました。持っているものと同じ景品が当たったときなどは最悪です。

「だから、これが当たるとは限らないよって言ったじゃない。 ガチャガチャって、そういうゲームなんだよ」

床で泣き喚く息子に、何度同じようなことを言ったかわかりません。
そして何度悲しい思いをしても、息子のこだわりの一つである『コンプリートしたい(≒完璧主義)』により、とにかく全部集めないと駄目!が発動し、更にやめることができませんでした。


どうやって落ち着かせたのか

結論から言ってしまうと、5歳の今も完璧にはできていません。
床に座ってトグロを巻き、うだうだグズグズ粘っていることは沢山あります。
ただ、2~3歳のときと比較すれば格段に気持ちの切り替えが上手くなったのは事実です。

  • 単純に年齢が上がり、理想と現実の線引きがある程度できるようになった。

  • やりたいことの選択肢が増えた・視野が広くなったことにより、代替手段を受け入れられる機会が増えた。

  • 欲しい!やりたい!という気持ちの中でも、その対象にまつわるデメリット(ガチャガチャで欲しい景品が出るとは限らない、など)を冷静に考えられるようになった。

  • 自分の欲求とデメリットを天秤にかけた上で「やっぱりやめる」という選択肢をとっても良いことに気付けた。

  • 欲しいものを手に入れる手段が1つだけではないことを教えた(これは賛否ありそうですが、ガチャガチャの景品やゲームカードなどは、メルカリで中古品を探したりもしています。これにより『あと一つでコンプリートできるから、何円かかっても何日かかって絶対にやめない!!』というループから解放されました)。

  • 私側が短絡的手段、最短での解決を目指さない。生活リズムや日々の予定を重視する≒時間を気にしてキリキリすることをやめ、息子のぐだぐだや癇癪にのんびり付き合うことにした。

まぁあれですね、ぶっちゃけ『時が解決するのを待った』に等しく、大した解決策でなくて本当に申し訳ないです。
私も最初から毅然とした態度でいれば良かったのかもしれませんが、息子のイヤイヤは尋常ではなく、常に心はボロボロ。これを買ったら、ガチャガチャをやったら帰るなら……そんな一縷の望みに縋って甘やかすことしか当時はできませんでした。
加えて、下の子の存在。歩けない赤ちゃんを連れた状態では息子を強制連行できず……何でもいいから宥めて、息子には自分の足で歩いてもらって帰宅しなければなりませんでした。


代替手段がないときは

気持ちの切り替えが少しずつできるようになった息子ですが、年齢があがるにつれて要求も高くなってきました。

「金額的に、さすがにそれは駄目」
「時間的にさすがにそこまで付き合えない」

そういう物事も増えてきました。
また、息子自身にも「これは頼んでも駄目だろうな」という自覚が芽生えてきました。
けれども、それだけで全ての気持ちに折り合いをつけられるほどは成長していません。

幼稚園では「いい子」で頑張り、妹の自己主張も日に日に強くなり……そんな中で我慢が爆発すると、息子は癇癪を起こすようになりました。

今でこそ、適度に説得をしたら癇癪が落ち着くまでスルーできますが、最初はあれやこれやと手を焼いていました。
癇癪対応手順は以下の通りで

  1. まずは声掛け、説得

  2. 暴れる場合は安全なところ、または周囲の迷惑にならない場所へ移動

  3. 干渉せずにスルー、見守り

  4. 少し落ち着いてきたら、こちらの言葉で息子の気持ちの代弁を試みる

  5. 息子と意思疎通がとれたら、まずは落ち着けたことを褒め、今後の行動を選択させる

  6. 多少こちらが譲歩するかたちで、穏やかな空気で収束までもっていく

児童精神科の方に相談したところ「やめてほしいこと(暴れないで、走り回らないで等)」をしつこく伝えるよりも「しても大丈夫なこと(ここなら座っていいよ、お茶を飲んでもいいよ等)」を根気強く提案した方がいいとお勧めされたので、そのように心掛けています。

また息子本人も「癇癪はよくない」という自覚は持っているので、癇癪そのものを叱って責めることはしないようにしています。
息子自身で何とか落ち着こうと努力する傾向も見られるので(暑いときは自発的に飲み物を飲む、布団にくるまってこもる、別室へ逃げる等)、かなり頑張ってくれているのだと思います。

あとは癇癪の前段階として機嫌が悪くなる、その発端は大抵目の前のことではないので(幼稚園で上手くできないことがあったとか、急に天候が変わって体調がいまいちだとか)、その辺りも汲み取れるように様々な可能性を考えて対応しています。


幼稚園への行き渋り

繊細ゆえ

息子の行き渋りは年少から今まで、何回も発生しています。
その理由は様々で

  • 長期休暇明け、または病欠明け

  • 季節の変わり目

  • 行事への不安

  • 園バスのルートや先生が変わった

  • 進級での変化(大好きな年長さんの卒園)

  • 衣替え

  • 数日前に先生から指導された内容が尾をひいている

友達とのトラブルは全くないようで、単に息子の気持ちがのらない・細かな環境変化への不安あたりが大半を占めています。


行き渋りへの対応

遅刻や欠席をしていた時期もありましたが、園の方針としては「頑張って連れてきてほしい」とのことだったので、強制連行で登園状態のときもありました。

保育園だったら、子どもが行きたくないと言ったとしても「じゃぁ今日は休みにしよう!」とは安易になれないはずです。子を預かるスタンスが保育園に近い幼稚園なので、泣いてもパジャマのままでも連れてきていいですよという感じでした。

実際に息子は一時期ずっと私服で登園(幼稚園でお着替え)、駐車場に停めた車まで担任の先生が迎えに来てくれる→泣く泣く連行というスタイルでした。

中にはパジャマ登園はもちろん、朝食持参で幼稚園で食べる子などもいたそうで(朝からグズって食べられないため、おにぎりを持たせて強制送還)、おおらかな園でありがたい限りでした。

息子は行ってしまえば楽しい・大丈夫タイプだったので、強制送還しているうちに行き渋りは落ち着いてきました。


色々と試したこと、心掛け

  • 行き渋りが発生したばかりの頃は息子に寄り添うことを優先し、毎回ではないにせよ、欠席を了承していた

  • まずは「イオンでお菓子を買ったら」など、息子が登園前にどうしてもやりたいことを済ませて、遅刻して行くように変えた

  • 息子から色々と聞き取りをし、水筒やカトラリーが古くなったのが気になる・その当時ハマっていたウルトラマンのものが欲しいと言ったので、親の目から見ればまだ使える状態だったが、快く買い換えることにした

  • 園バスのルートや先生が変わって不安になったとのことだったので、朝も帰りも車での送迎に変更した

  • 私服でもいいから、荷物はもってあげるから等、少しでも息子の負担が軽くなるように甘やかした

  • 下の子(娘)と一緒に車に乗るのが嫌だと言うので、と登園時間を夫の出勤前まで早め、娘を家に置いて息子と二人で行けるようにした

  • 時間がない・遅れそうという焦りが息子のパニックや苛立ちに繋がるので、時間にゆとりを持ち、なるべく急かさないようにした

  • お迎えは15時ジャストに必ず着くようにし、息子が安心感をもてるようにした

  • 幼稚園に毎日通えることは当たり前ではないと受け止め、毎日きちんと褒めることにした

他にもお迎えのときにはお菓子を持参したりと存分に甘やかしていますが、とりあえず今は行き渋りが落ち着いているので、卒園までこのままだといいなと思っています。

普通の(?)ご家庭なら、夏休みや春休みは「ついに始まっちゃった、はやく終わってほしい」となることでしょうが、私の場合『やっと休みだ……これで頑張って幼稚園に行かせなくてす済む……』と喜んでいるまでありました。
それくらい子どもの行き渋りって負担になると思うので、現在進行形で対応している・悩んでいる親御さんは、どうか無理をしないでほしいと思います。

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