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春の訪れを追いかけて

冬の薄曇りの寒い時間を過ごしていたのが嘘だったかのように、すっかりと真っ青な晴れた空が続く、ここ最近。ずっとずっと私は春の訪れを追いかけているし、これから訪れる桜の開花を、今か今かと待ちわびている。

せっかく大好きな京都に移住したんだし、今年の春はとにかくいろんな場所で桜を見るぞ、とまだ蕾の桜の木々を見上げながら強く決心している。

そんな私と同じような気持ちで京都巡りをしている(と私が勝手に思い込んでいる)アオイさんのnoteを見て、一足先に春の訪れを感じる方法があったことを思い出した。

そう、河津桜。通常の桜よりも早く咲く、濃いピンクの桜。ちょうどアオイさんが巡っていた場所が私の家の近所で「こんなに近くに、こんな素敵な場所が…!」と思い、さっそく今日訪れてみた。

真っ青な空と濃いピンク。このくっきりとした境界がなんとも美しくて、いつまでもいつまでも見上げてしまう。自転車で通りかかる人も、スーツで歩いているサラリーマンも、小さな子ども連れのママさんも、みんな一様に立ち止まって、見上げる。そして写真を撮る。この光景がたまらなく愛おしくなって、「春のどこか前向きな空気って、こういうことだな」と妙に納得をする。

目の前で桜が咲いていると、ほとんどの人が少し立ち止まって眺めてみると思う。木に近づくにつれて大きくなるから、最終的には桜を見るために上を見る。そしたらきっと、空の青さや広さも感じることになって、背筋がピンと伸びているのではないか。私は、春のこういう前向きにしてくれる空気感が大好きだ。

例えば嫌なことがあって下を向きながら歩いていたとしても、否応なしにピンクの世界が目に溶け込んでくるだろう。そんなものを見たら、たとえひと時かもしれないけれど、桜を見上げて美しさに見とれてしまうだろう。思い過ごしでもいいから、一瞬でも空を見上げるための時間を味わわせてくれる。それが、春なんじゃないかなと、桜の木の周りで空を見上げていた人たちの姿を見て、思う。

だからこそ私は、この前向きで明るい空気を思う存分味わうために、京都の桜の名所をたくさん巡りたいのだ。休日は混雑するかもしれないから、こうやって平日の散歩の時間とか、朝早くの凛とした空気の中とか、そういった工夫をしながら、桜が咲く数週間の期間にただよう晴れやかな空気をたくさん吸い込もう。この前向きで晴れやかな気持ちで、新年度を迎えられたら、どれだけ幸せだろうか。

桜がたくさん見れただけで、新年度も幸せだなんて、なんて単純な人間だろうかと半ばあきれながらも、ささやかことを幸せの源泉に感じられる自分で、いつまでもありたい。

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