#18【世界の教室から学ぶ】 イギリスにおけるシティズンシップ教育①
こんにちは!ずいぶん久しぶりの投稿になりました。
9月に行った海外視察ももう約半年前のお話。それくらい忙しかったのだと思って
いただけると幸いです(笑)
ハプニングだらけの旅路
視察の道のりには、いろいろとハプニングが!
渡航数日前にヒースロー空港のシステムトラブルで多くの便が欠航 & 遅延
校舎に使われるコンクリートの老朽化により、国内の学校で天井が崩落(その影響で同じコンクリートを使う学校は休校の措置が取られました)
アポイントメントをとっていた学校と突然音信不通(笑)
幸い、飛行機も飛んでくれて、
訪問先も、コンクリート騒ぎの影響で授業を行う校舎が限られるなどの制約はありましたが、なんとか視察を行えて感謝でした。
イギリスにおけるシティズンシップ教育
いろいろと感じたことはありますが、今回はイギリスの学校でシティズンシップ教育を通して学んだことをシェアします!
以前の記事でも書きましたが、
イギリスはシティズンシップ教育の世界的な先駆けで
シティズンシップ教育は、「PSHE(Personal, Social, Health, and Economic Education)」という科目に含まれます。
若年層の投票率の低さがきっかけで始められました。
歴史的に移民の流入が多く、異なる価値観の人たちと向き合い、共生する力を養うことに重きを置かれています。
実際に触れたPSHEへの印象は、わざわざ学校で教えられない、でも生きる上で大切なことがちゃんと教えられている ということ。
カリキュラムを見せていただくと、
Year 7
希望と恐れ
友達の作り方
健康と幸福
いじめ
薬物
精神的な健康とマインドフルネス
イギリスにおける民主主義
Year 8
友情の変化と進化
同調圧力
経済
SNS
選挙システム
体のイメージ
社会問題
(Year 13 までありますが割愛します。)
日本の教育と並べると、
「保健」や「現代社会」の科目と重なる部分はありますが、
特に異なるのは、「精神的健康」や「社会性」に関わる部分だと思います。
「幸せに生きる」 教育を通して、何より彼らに最も願うもの。
メンタルを保つ方法は我流で自ずと学んでいくものですが、
大人になってからも感情の制御は難しいですね。
「良好な人間関係」 多くの悩みは壊れた人間関係から起こるのではないでしょうか。
友達の作り方を学校で教わったことはもちろんないので、とても新鮮!
でも、あえてそれを学ぶことで、間違った自己イメージ(自分は根暗だ、コミュ障だ、など)を植え付けることから子供を守ることができます
PSHEの学びを通して
自我が形成される発達段階において
自分の感情に気づき、感情のコントロールの仕方を覚え、発信の術を学び
自分自身を健康に保ち、他者と良好な関係を築きながら意見を発信する姿勢が育っていくと思います。
どのように実施する?
こういった内容が、
朝のSTのような時間(tutor time)と全日行事(Enrichment Day)で行われます
特に週2回のtutor timeでは
Circle Timeという クラスメイトと担任で円を作り、トピックについて議論を行う時間がもたれます
そこでは、クラスメイト一人一人が意見を発信し、その意見を受け止められる
という経験をし、ディスカッションを通して多様な意見に触れます
PSHEへのマインドセット
PSHEの主任の先生が、教員全体で大切にしていると語った言葉です
個々の教員の取り組みでなく、学校全体でビジョンを持って生徒と接することに力があると感じました
日々の職務や個々の取り組みで手一杯かもしれませんが
どのような人物に育って欲しいか その共通のゴールに向けて学校全体で手を取り合うことなしで大きな力になっていくのではないでしょうか
まとめ
意見を発信する生徒の育成には、多方面からのアプローチが必要だと気付かされました。
方法論だけでなく、内(自分自身)を見つめ、理解すること。そして、外(社会性)に目を向けさせ、他者との関係の築き方を身につけること。
この土壌、そして学校全体での共通ビジョンがあってこそ
自分の意見を発信する人物が育成されていくのだと思います。
すべての教育に携わる人へ
月曜日、お疲れ様でした!生徒もあと少しで卒業。共に過ごす日々を指折りカウントダウンしながら寂しく感じています。怒涛の毎日だけど、振り返れば笑える思い出ばかりですね。今日も尊い働きに感謝します!
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