田舎移住1年 移住して変わった夫と弱気な夫が見つけた勇気を出す方法
うちの夫は、仕事が嫌いだ。
そんな彼も、いい感じのおじさん世代に足を踏み入れて、今までは上司に投げておけばよかった「決断」をする側になった。社会人として、ひと皮剥けなければならないタイミング。サラリーマンなら避けて通れない段階だろう。
だけど、やっぱり仕事は大嫌いだ。嫌なことがあると帰ってきて「貝」になる。茹でても茹でても絶対に開かないシジミみたいな貝に。
田舎移住して丸1年。そんな彼が、最近はやたらとイキイキしてる。強気な発言が増えた。おかしい。彼が見つけたのは、会社に行きながら勇気を出す方法だった。
田舎移住してなにかが変わったサラリーマン夫
筋肉も体力も、心の安定も別人のよう。
「しんどい」
普段は「帰る🐸」しかLINEをくれない夫が、仕事の合間にLINEしてくるときはかなりヤバい。
今までの経験上、こんなときは帰ってきて一言も話さずにもくもくとごはんを食べる。そして、「無」になって延々とスプラトゥーンに没頭する。特に、関西の大都会で満員電車に揺られていたときはそれが酷かった。
何かを遮断するように、「無」になるのが常だった。
けれど、田舎移住して丸1年。最近はちょっと違う。「中毒だ」と自分で言うほど没頭していたゲームを、やらない。
なんだ、何が変わったんだ。今までより、会社の話をしてくれることが増え、文句たらたらながらなんだかイキイキしている。なんだ？浮気か？ってぐらい…。
その答えのヒントは、通勤中の車のBGMにあった。
ダーイレーンジャーーーーッッッ ウォーウォーウォー
彼がゲットしたのは、これ。
スーパー戦隊シリーズの主題歌が詰まりに詰まった、女子には全くわからないCDだ。「みさのiPhone にも入れてあげるでっ」と満面の笑みで言ってくれたけど、やんわりと断っておいた。
そのなかで、1番のお気に入りはダイレンジャーとカクレンジャー。
命知らずはかかってこい
気力転身！迫力満点！
俺たち無敵さ ダイレンジャー
最近、YouTubeで息子となんか古い戦隊ものを聞いてるなとは思っていたけど。まさか朝焼けの田んぼや畑を眺めながら、車で大音量で流して会社に向かっていたとは。
車が少ない朝6時、信号がほとんどなく美しい山々と田畑が続く田舎道。大声で歌いながら走るのは最高だろう。
今までの車内BGMはずっとパンクロック
夫はオタクではないし、好きな音楽ジャンルは夫曰くパンクロック（？）。ライブに行くほど好きなのは、METALLICAとBad Religion 。
母ちゃんとしては不本意なのだが、METALLICAのRide the Lightningのジャカジャカ音は、夫流の赤ちゃん寝かしつけに大活躍した。私が流したいジブリのオルゴールよりも、なぜか、あの爆音でスーッと寝るのだ。
息子が3歳になった今、この曲がかかると息子は大喜びのノリノリでヘドバンを始めるし、めちゃくちゃ歌い出す。ほんと、許すまじ。
そんなある日、車に乗ったらダイレンジャーが大音量で流れた。そして、ダイレンジャーを聞きながら会社に通勤していたことが判明したのだ。
「待って、これ、聞きながら、会社に行ってんの？（笑いをこらえて苦しい）
「ちょ、恥ずかしいわーまじかーバレたかー」
「無敵！だなんて、誰も言ってくれないやん？」
夫は、恥ずかしそうにハニカミながら暴露してくれた。
口に出してさぁ、「無敵だ！かかってこい！」なんて、言わんやん。
誰もさ「無敵だ！」なんて言ってくれんやん？
会社行きたくないときな、なんつーか、なんかめっちゃ勇気出るんよ。
この歳であれやけど、無敵って、いいやん？
「あなたは無敵だ！大丈夫！できる！」なんて、確かに声を掛けてあげたことなかった。言ったところで笑うのも目に見えている。
けれど、彼はそんなにも自分を奮い立たせて頑張ってくれているんだと、ハッとなった瞬間だった。
いってらっしゃいに加える、彼が嬉しい言葉とは
全力で遊ぶふたり。
「気をつけてね、頑張りすぎんでいいから、早く帰っといで」
毎朝の私の声掛けはこう。すぐに無理しすぎて頑張りすぎて貝になる彼が心配で「頑張らないで」「無理しないで」「仕事なんて、テキトーでも世界は回るんだから」っていう気持ちは私のエゴだったのかもしれない。
特に田舎移住して、彼のなかで何か腹が決まった。何かが変わった。夫は、これまで逃げていたことに向き合って、勇気を出して自分を鼓舞して。小さな出世を機に、頑張りたいタイミングだったのだ。
20歳で出会った頃の、仕事が嫌で嫌で遅刻しまくっていたあの茶髪の彼氏は、もうどこにもいないのだ。
明日からは、私も朝からダイレンジャーを歌って大爆笑で送り出そう。
男の子はいつまでも少年だから
いやまてよ、もうひとつのお気に入り、カクレンジャーの歌詞はさすがに意味不明だ。
だ•か•ら
なんなんじゃ なんじゃ なんじゃー
にんにんじゃ にんじゃ にんじゃ
やっぱりただ単に、この歳で突然の厨二病に陥っただけなのかもしれない。
理解できない世界だけど、男の子はいつまでも少年なのだ。お爺さんになっても、少年なのだろう。「へーんしん！」と「アンパーンチ！」を覚えた息子を見て、愛しく思った。
昨年の私のクリスマスプレゼントは耕運機にすり替わったことだし、今年の夫へのクリスマスプレゼントは、ドラゴンボールのサントラにしようかな。
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