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誰にも見つけられない星になれたら

☆☆☆

3年前の今日、君は星になった。
その日の夜は雲ばっかりで星なんかひとつも見えなかったから大袈裟に安心してしまった


◯◯ちゃんって星好きだよね
私のことを何も知らないアイツが笑って言った。別に特別に好きなわけじゃないし、全然詳しくないし、星座占いも君か私が1位の時しか信じてあげないし。
でもね、嬉しかったの。ありがとね。
ホントは恒星になれないから僻んでるだけで
何か大きいものに縋っていたかっただけ。たまたまそれが光ってたから嬉しかっただけ。キミだって寂しくない時は空なんか見ないでしょ?ん?そんなことない?そっか。いいよ。キミはそのままでいてね。


ねぇ、そっちにはもう慣れた?元気してる?
慣れてないで欲しいんだけどね。
月とか重力がこっちの6分の1だから行くだけでダイエットじゃん。いいなぁ。
私は元気だよ。無駄に脚やせに特化したストレッチは3日坊主になったけど、3年前には切ったばっかだった髪の毛はとっくに肩についてるよ。


来月こっちからは流星群が見れるんだって。
君の方からは何が見えるの?
寂しいからって落ちてこないでね。
実は私まだ死にたくはないんだよね。
あまり生きていたくもないんだけど。


あぁ地球は青かった?
ふーん。じゃあ私はどう?何色にみえた?
ちゃんと地球のブルーに染まれてる?


高いな、高いな
手を伸ばしても届かなくて
高いな、高いな
クラスで1番浮いてるのにね
君に1番近いんだよわたし


今日の星はちゃんと綺麗だったから
また泣いてしまった。
嬉しいな。嬉しいよ。
ずっとずっと光っていてね。
ずっとずっと僻んでいるから。
おかえりってだけ言ってあげるから
ただいまとだけ言ってね。


君が帰ってきたらいつもの場所で
君のワイヤレスじゃなくて
私の有線で私達の好きな曲を聴こうね
その曲は片方からしか
ドラムの音が聴こえなくて
どっちかはちょっとだけ損するんだけど
その分繋がってるからさ
そんなのもういいよね
私の好きなものは全部君が教えてくれたの
君の偏屈な趣味に惚れてるの



「誰にも見つけられない星になれたら」

私の見る空よりもっと上の空を見る君は
口癖のようにそう言って、その度に

「私だけはこっそり見つけてあげるよ」

って言いたかったのに恥ずかしくて
言えなかった。


あ〜明日も晴れたらいいな。

☆☆☆



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