過去の輝き
先日の記事の段階で、村上春樹『騎士団長殺し』1巻はほぼ1日で読み、
翌日、本屋へいそいそと出かけ、
残りの2~4巻を購入。
しかし、残念なことに、あれからまとまった時間がとれず、
隙間時間に、数ページだけ読み進めている。
もはや、
日常のほうがあわただしくドラマティックで、
村上春樹のふしぎな非日常世界のほうが、
静謐に感じられ、
息抜きになっている。
一粒ずつ味わうかのごとく、大切に読む。読書にはまってる時、この作品世界の感覚を、ずっと自分のなかにとっておく感触が、とても好き。
刺激されて、書きたいシチュエーションやアイデア、
言葉も浮かぶけど、
うまく、まとまらず。
とりあえず、羅列でも、走り書きでもいいから、
どこかに書いておこう。
『騎士団長殺し』の主人公が、
奥さんから一方的に離婚を切り出され、
きちんと理由も聞かぬまま受け入れ、
気が動転しながら、
あちらこちらを車で放浪しているとき。
一人になってから、
奥さんと付き合いはじめの頃のことや、
奥さんとの夜の営みを、
なまなまと思い出すあたりが、
心情が伝わってきて、いい描写だなぁと思った。
思い出せるかぎりの良い思い出は、
いつだって輝かしい。
それすら忘れさせてしまうのが、
日常であり、生活であり。
なんだか、
なにもかもが当たり前になってしまい、
そんな輝きすらどんどん色褪せていく様は、
退色していく古い写真のようだ。
日常とは、生活とは、そういうものなのかと、じっと観察している。
この退色していく過去の思い出と、
日々新しく作られていく〈いま〉と〈新しい関係性〉と、
どちらが良いかといえば、甲乙つけがたい。
過去をいとおしむと同時に、
連続するいまこの瞬間を、
愛したいものだ。
さあ、もう少し読み進めよう。
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