見出し画像

【奇跡のりんごづくりに挑む…】絵本「りんごのおじさん」

今週紹介するのは「りんごのおじさん」。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出ていた、りんご農家の木村秋則さんのお話で、木村さんが9年もの歳月をかけて不可能と言われた無農薬・無肥料でのりんご栽培を成功させるまでの道のりが描かれています。
このお話は「奇跡のリンゴ」という書籍にもなっていて、「りんごのおじさん」はその絵本版なのですが、絵本とはいえ、32ページの中に木村さんのりんご栽培への情熱、努力、苦労、苦悩、そして喜び…がギュッと詰まっています。文からも絵からもおじさんのあたたかい人柄が表現されていて、読みながら、おじさんのりんご作りを応援したくなります。そして、最後にりんごが実ったときは、おじさんと一緒にやったぁと喜んでしまうはずです。

私は実話をもとにしたノンフィクション系絵本が好きで、noteでも紹介する割合が多くなっています。小学生高学年になると、学校で「伝記を読もう!」と言われたりするようですが、伝記って字が多いし、元々知っている人とか自分の興味のある分野の著名人の話じゃないと読む気がしないんですよね。私は子どもの頃、化学や医学には興味があったので「キュリー夫人」「野口英世」などは読んだのですが、戦国武将や政治家などの伝記はほとんど読んだことがありません。でも伝記って、偉人の生きていた時代背景を知ったり、その偉人に関連する学問(政治家なら政治、科学者だったら研究内容など)を学ぶことができたりもするので、ためになりますよね。

ノンフィクション系の絵本は、歴史的人物のお話は少ないので伝記とはちょっと違うかもしれませんが、実際にあったことが書かれているという点では伝記と同じです。でも、絵本なので、絵もあるし、興味がない人のお話でも10分もあれば読めてしまうものがほとんどです。しかも、その10分で物語としての楽しさも味わえ、伝記同様に登場人物を取り巻く環境、土地柄についてや、お話によっては環境問題、格差の問題などについて知ることもできます。伝記にはなかなか手が伸びないお子さんには特におすすめです。大人が読んでも、知らないことを知ることができて面白いですよ。

「りんごのおじさん」の場合は、おじさんの山あり谷ありのりんごづくりの物語としても素敵なのですが、それだけでなく、無農薬・無肥料のりんご栽培の難しさや食の安全についても考えさせられます。おじさんの奥さんは農薬散布によって体調を壊してしまうのですが、りんごに限らず日本の農作物に使われている農薬はかなり多いと聞くので、無農薬でないものはちゃんと皮をむいて食べないといけないのかな、でも栄養価的にはよく洗って皮付きの方がいいのかな、など物語の内容から少し飛んで、色んなことを思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?