読書メモ|燕は戻ってこない|桐野 夏生
女性の貧困、代理母、家族、人間の心、いろいろ考えさせてくれる小説です。
女性の貧困について
私自身「どんな仕事をしたら家族を養えるのか」とずっと考えてきたし、今も考えてる。正直、お給料なんてそれほど変わらないと思うけれど、実家の援助のあるなし、扶養家族のあるなし、など置かれた状況で暮らしぶりはずいぶん変わってくるから、本人の責任でもないんですよね。ろくに働いたことないのにいい暮らししてる女性もたくさんいて、逆もまた然り。
代理母の値段
代理母の価格が1,000万円なのだけど、これってたった数年の年収で決して高いと思えない。でも、払う方は「高い」と感じて権利を主張する。予想外の双子で帝王切開になるのだけど報酬は変わらない。人によるのかもしれないけれど、出産って本当に母体がボロボロになるから、稼ぐ力のない女性の職業の選択肢として代理母というものがあるならば、5人産んだら一生年金(最低限でいいので)がもらえるとかでないと割に合わないと、私は思う。
代理母を依頼する夫婦の夫とその母親の会話にゾッとした。
(桐野さんこういうの上手ですよね)
双子の妊娠、帝王切開の傷跡、肉割れ、キャリアの中断、など考えると1,000万は安いと思うのだけど、感謝すらされないどころか蔑まれるんだからやりきれない。
でもでも、主人公の最後の決断がよかった!
小説8050でも、終わりかたが上手と思ったけれど、これも良かった〜。
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