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最強脳|アンデシュ・ハンセン


「一流の頭脳」のジュニア版だそうで、たいそう読みやすいです。

集中力を上げる

運動をするたびに、運動後1時間から数時間、集中力が続きます。それを習慣にすると、集中できる時間が長くなり、脳がすぐに他のことを考えてしまうことが減ります。掃除は運動になるだけではなく、家がきれいになるためストレスも減るでしょう。

ADHD

昔は生き延びるためにさまざまなタイプの人が必要でしたし、今でもそうです。みんな同じでない方が人類全体にとって良いことなのです。
ADHDが進化の過程で残った理由は、ドーパミンを受け取るのが苦手なせいです。普通の人より多くの刺激が必要になり、刺激を求めてすぐに行動に移すのです。ADHDの人は集中しにくいけれど、たった5分激しい運動をしただけで、普通の人と集中力の差がなくなるという研究結果もあります。

スマホについて考えてみる

脳がくれるごほうび

良いことをしたら脳はごほうびをくれます。それがドーパミンです(他にもセロトニンやノルアドレナリンエンドルフィンなどもあります。)しかし、それは今の生活のために作られたものではないので、ろくなことをしていないのにごほうびをもらえてしまうことがあります。
お菓子とジュースがその例です。体によくないのに強い欲求を起こさせます。それと同じようなシステムがスマホです。

衝動を抑える前頭葉

私たちの脳は生きている間ずっと成長を続けます。前頭葉が完成するのは、なんと25歳になってからなのです。前頭葉は衝動を抑えたりするブレーキをかける脳の部位です。脳の他の部位はもっと早い段階で完成します。例えばドーパミンのシステムなどは子供の頃にはすでに機能しています。つまり、10代の子供の脳はごほうびに非常に弱いということになります。それを聞いて心配になりませんか?ブレーキはまだ作っている最中なのに、衝動は機能しているのです。実はそれが子供や若者が、ごほうびをたくさんくれるスマホの餌食になってしまう理由なのです。

着信音の落とし穴


より多くのドーパミンが出るのは、実際に何かを手に入れた時ではなく、もうすぐ手に入るかもと思った時なのです。だから着信音や通知が鳴ると、スマホを見ずにはいられないのです。今度こそ、とても大事なメッセージが来たかもしれない。メッセージを読んでいる時よりも、通知が届いた時の方がドーパミンがたくさんでているそうです。ドーパミンが出るのは私たちに良いことをさせるためなので、やった後よりもやろうとする時に出した方が効果的なのです。

時間の使い方を取り戻す

今の大人が子供だった頃に比べて、子供が遊ぶ時間は減っています。一方でスマホやタブレットパソコンやテレビといったスクリーンの前で過ごす時間はとてつもなく増えています。理由のひとつに、今の子供達はすぐにご褒美をもらうことに慣れてしまっているという点があります。バイオリンやフィギアスケートが上手くなるには何年もかかります。そうやって上手くなってやっと楽しくなる。そこでごほうびをもらえるわけです。そしてさらに上手くなりたいという気持ちになる、その繰り返しで上達していくのです。ところが今の子供達は、スマホの無意味なゲームに時間を使いがちです。ゲームならすぐにごほうびがもらえるからです。

もっと運動の話

スウェーデンのブンケフローという街の小学校で、週2回ではなく毎日体育の授業をすることにしました。その結果、週2回のクラスと比較して、国語の成績も上がったのです。しかも効果が長く続いたようです。同じような研究結果は世界中で報告されています。脳が運動によって強くなるということを証明する研究は多数あるのです。

訳者あとがき

私が住んでいるスウェーデンでは、生徒の学力を上げるために積極的に運動を取り入れるようになりました。授業中に集中力が切れてウロウロする生徒がいると先生は「静かに座って集中しなさい」というのではなく「外に出て、運動場を一周走ってきなさい」とアドバイスするのです。ちょうどその頃、アンデシュ・ハンセンさんが「一流の頭脳」という本を書いてスウェーデンでベストセラーになったのです。「一流の頭脳」は運動をすることで集中力、記憶力、発想力がアップし、ストレスにも強くなるという内容で、スウェーデンで60万部を超える大ベストセラーになりました。なお、スウェーデンの人口は約1000万人、日本の13分の1です。「一流の頭脳」は19カ国で翻訳されました。その三年後、「スマホ脳」が出ました。スマホがいかに精神を蝕み、集中力や記憶力を低下させているかという内容で、日本でも50万部を超える「超」ベストセラーになりました。
まわりから一方的にああしろ、こうしろと言われるより、自分自身でその重要性に気づいて欲しいという思いから、「一流の頭脳」のジュニア版である本書が誕生しました。スウェーデンではこの本がNPOを通じて希望した学校に無料で届けられ、これまでに11万6千人もの生徒が受け取っています。
(訳者の久山葉子さんはスウェーデン大使館勤務を経て現在スウェーデン在住です。)









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