公共交通機関に見る群集心理の謎(note版)
この有料記事は、2019年に出した電子書籍のnote版です。わたし自身の利用頻度が少ない路面電車、利用経験のないフェリー・モノレールなどについては対象外としました。
電子書籍を出した当時とは、状況が大きく変わりました。今回は文章をいくらか修正して、コラム「オーバーツーリズム」が消えた日を追加しました。
飛行機の○○なんか嫌いだ
車の免許がないわたしにとって、公共交通機関は最もなじみ深いもの。近くの街に出かけるにも、学校や職場に通うのも、だいたいは公共交通機関頼みになる。どんな遠方に行くときでも、選ぶのは飛行機ではなく列車・新幹線。
2018年6月9日、新幹線[のぞみ]の車両内で人が刺され、亡くなった方もでたという大変な事件があり、
「飛行機と違ってボディーチェックをしないのがまずいのでは?」
などと安全性を問われたけれど、それでもわたしは新幹線や船を選ぶと断言できる。
こう書くと「こいつは飛行機嫌いなのか?」と思われそうだが、むしろ滑走路を走り出したときの「これから空へ飛ぶんだ」というあの感じ、機内の独特な空気は好きだった。
数年前になる。時間に相当な余裕をもって空港入りしたのだが、先の話に出てきた「ボディーチェック」でとんでもない目に遭った。もちろん、手荷物は専用の容器に入れて、金属系のものを身につけないようにしていたというのに、何度通過しようとしても警告音が鳴る。そのたびに
「ちょっとこちらへ……」
と言われる。あとから来た人にもだいぶ抜かされる。通り過ぎる人々を目で追いながら、時間もなくなってくる中、不安といらだちが強まる。
――これ以上何を脱げばいいんだ?あれもこれも外して、もう何もないぞ??まさかジーパンのボタンか?下着のホック?そんなもの、この場で脱げって言うの?!
「これ以上、何を取ればいいんでしょうねえ!?」
数回繰り返したあと、ついに怒り心頭に発す。挙げ句の果てには、ゆったりラクラク落ちついた気持ちで搭乗するつもりだったのが、
「こちらです、急いでください」
などと言われるハメに。あのときばかりは本当に不愉快この上なかった。上は薄手のセーターで飾りもついていない。金属アレルギーで、指輪やブレス・ピアス・イヤリング・ネックレスはもちろん、腕時計さえ滅多につけないから、まるで理由がわからなかった。以前数回搭乗したときは、音など鳴ったことすらなかったのに。
結論、お互いにそういう面倒かつ不愉快な気分になるのであれば、今後飛行機などという手続きのやたら面倒なものに乗るのはやめよう。そう誓った次第である。
* *
★こうやって書きましたけど、ここまでチェックをやり直すのは滅多にないでしょうから、わたしの場合はレアケースだろうとは思っていますよ。ただ、そういう経験から「飛行機」という移動手段を避けてしまうのです。
★記事タイトルを「公共交通機関」としたのは、車内での事柄だけではなく、駅構内・ホームといった施設内における利用者たちの群衆・集団行動心理などを自分なりに分析し、その見解を綴ろうと思ったためです。
★ひととおりお読みくださった後で「こういう考え方もあるんだな」という程度に捉えていただければ幸いです。
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