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【高校生主催イベント】おうち時間で未来を考えよう!『SDGs×コロナ』 第4回「質の高い教育をみんなに」



(編集者:羽柴、伊藤、辻、文珠、小川、小林 )

▼1. SDGsについて


皆さんはSDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉を聞いたことがありますか?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連に加盟している193か国が2016年から2030年の15年間で達成すべき「17のゴールと169のターゲット(具体的目標)」から構成されています。

誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべく設定された、国際社会共通の目標です。


【①採択されるまでの経緯とは?】

2000年に国連のサミットで採択された、「MDGs(ミレニアム開発目標)」が2015年に達成期限を迎えたことを受けて、それに代わる新たな世界の目標として2015年9月に採択されました。

こうしてMDGsの成功を土台としつつ、気候変動や経済的不平等、イノベーション、持続可能な消費、平和と正義などの新たな分野を優先課題として設定された相互接続的な目標がSDGsなのです。


【②大切なのは?】
他人事として捉えるのではなく、私たち一人一人が「未来を担っていく当事者」として来たるべき2030年が良いものとなるよう、一つ一つの課題に着実に向き合っていくことが大切なのではないでしょうか。

本イベントは、新型コロナウィルスの影響で、外出自粛を行う中で、「未来」に目を向け主体的に考えることが必要だという思いから、開催が決定しました。

第4回目となる今回は、17のゴールの内の4つ目、
「質の高い教育をみんなに」に焦点をあて、議論を行いました。


【③ゴールの概要とは?】

「質の高い教育をみんなに」とは、世界中全ての人が公平に質の高い教育が受けられる世の中を目指そうとする目標です。

具体的には、「2030年までにすべての男女が無償で初等・中等教育を修了すること」を第一目標としており、このような計10個のターゲットが詳細に定められています。

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【④ゴールの現状とは?】

 6000万人。

なんと、6000万人が実際に初等教育を受けられずにいます。

子供たちの6人に1人が教育を受けることなく大人になります。


具体的には、南アジアやアフリカでは武力紛争の長期化の影響や、学校が近くにないという理由で学校に通えない子供たちが大勢います。


また、発展途上国や先進国関係なく、経済的な理由でも学校に通えない子供たちも多く存在します。

他にも、「女の子だから」という理由で学習機会が奪われているという現状もあります。距離的理由、経済的理由、治安上の理由、人材不足など、様々な問題が絡み合って全ての子供たちに学習機会の提供ができない。そんな現状が今世界にはあります。


【⑤その影響とは?】

 教育が受けられない場合、貧困から一生抜け出せず、安定的な生活が遅れないという問題が発生します。基礎的な知識や教養を持っていない、文字の読み書きができない等の理由で仕事が得られない、安定した収入が得られない人々は世の中に多く存在します。

慢性的な貧困から抜け出し、安定的な生活を送るためには、教育が必要不可欠なのです。


【⑥どのような取り組みがされているの?】

 「質の高い教育をみんなに」という目標を達成するために、今まで様々な取り組みがなされてきました。

奨学金制度の設置、インターネットの活用による学習機会の提供、地方行政と地域住民が一体となった学校運営の実現など、数多くの成功例が既に存在します。

しかしながら、未だに「質の高い教育」が世界中の子供たちに提供されているとはとても言えません。


昨今のコロナウイルス流行により再び学習格差が広がるなどの新たな問題も発生しているのも現状としてあります。なんとかして2030年までにこの目標を達成するためにも、この先も持続的、継続的な取り組みが必要されています。


▼2. 基調講演


【ゲスト】門川良平さん

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【①教育現場では今】

教育現場ではオンライン化に対する致命的な遅れがでていると言えます。

緊急事態になったとき、事実上休校になった時に子どもたちに教育を提供する手段があまりにもないことが浮彫になったことが問題です。


【②世界の、そして私たちの現状】

海外でもメソッドが確立されていることは少ないのが現状です。

全世界的にオンラインツールを活用した学びが深堀できていません。小学校教員の経験から、今の教育現場ではオンライン化は相当難しいと言えるでしょう。


【③従来の対策の影響とは?】

学校や企業ではインターネットを使う上で外とのアクセスを制限し、イントラネット化(組織の中のみの情報共有)しているという状況があります。これは過去の情報漏洩の反省を活かし、セキュリティを高めた結果ですが、外部との繋がりを殆ど断ってしまいます。 


【④私たちがすべきこととは?】

どのくらいこの状況が続くか検討する必要があります。

最近9月入学や夏休み有無の議論が多く交わされていますが、これは本質とは外れていると言えると思います。

まずはオンラインを活かした学びの設計を考えていかないといけない。

今回はコロナウイルス感染拡大で教育現場が混乱に陥っているけれど、次は大型台風などの気候変動が起こるかもしれません。

このような非常事態は3年ごとに起こってもおかしくなく、その度に教育がとまってしまうことは避けなければなりません。


【⑤教育のオンライン化のメリットとは?】

一方で、オンライン化に注目が集まることで今まで学校で学ぶことができなかった不登校の生徒や、長期入院の子への教育サービスがどんどん開発されていきます。どんな状況でも学びの場を提供することができるようになるのではないでしょうか。


具体的な例として、私はクラスジャパン小中学園に携わっています。

N高は義務教育がないため自由度が高いが、小中学校は義務教育上規制が厳しいのが現状です。


小中学校であってもICTを活用した学びをしていると確認できる場合を出席扱いとなる制度が12年前からあります。

しかし、実質にこの制度を使っている人は数十人にとどまっています。ブラストではオンライン担任がコーチングしながら日々の学習を進めます。

レポーティングを保護者に渡し、学校に提出することで学校は出席扱いしてくれるというリモートスチューデントが可能な仕組みが確立されているのです。

今後このような活動に注目が集まるというメリットは十分考えられるでしょう。


【⑤最後に】

この事態を高校生として迎えられたことは財産になりえます。

生徒としてどうだったかを考えながら今後の活動をするべきだと考えます。


▼3. ディスカッション

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論点①「先進国と途上国の教育格差の改善に私たちができることは何だろうか?」


・自分の知っていることを紙に書いて途上国の子供たちに贈ろう
 →教育を提供する以前の問題を解決する必要がある
・最低限の教育環境を整える
 →鉛筆などの勉強具の寄付
・同じ教育内容を与える=教育格差の解消ではない
 →地域や文化に合わせた教育を行うことが格差を埋める最適な方法
・「共に学びあい、高めあう」という教育スタンス
 →国同士での上下関係を気にしない
・現地で学校の先生を育成する
 →国の中で教育制度を確立できる
・SDGsに対する根本的な理解を広める必要がある
 →寄付やボランティア活動の活発化
・相対的貧困国:SNSを使った情報の流通を活発化にする
 絶対的貧困国:そもそもの現状について私たちが知る必要がある
・寄付は持続的な解決には至らない
 →企業などにアイデアを提供する
・発展途上国のコミュニティのおける優秀な人材に教育者になってもらう制度の導入


論点②「コロナの影響によりウェブ授業が推奨されている現状、どのような問題が生じるか?どのように改善していくか?」


・子供と大人が一緒に学べる環境を作る
・ウェブが使える家庭と使えない家庭で格差が生じる
・学校に行く意義自体が失われる
 →虐待などを受けている子供たちにとって心が安らぐ場所
・分野によってオンラインでできないものもある ex)芸術系
・工夫次第で教育の質を高められる
 →オンラインを生かした海外大学の授業受講
・不登校児童、入院している子供たちにも平等な学習の機会が与えられる
 →オンラインによる教育格差の解消
・気軽に休むことが出来てしまう
 →モチベーションの維持のためには能動的教育を導入
・教育者の網羅性に欠ける


▼4. 門川さんによるフィードバック


皆さんの考えの深い意見を聞けておもしろかったです。
その中で伝えたいことがあります。

やはり先進国、途上国で考えたときに寄付、支援だけでは持続可能ではありません。
地域や国で持続可能な社会を作る必要があります。

いい例として、みんなの学校プロジェクトというものが参考になるんじゃないかなと思っています。

それは日本でいうコミュニティースクールというものになるのですが、この体制のいいところは子供たちのために地域住民でお金を集めるいわゆるクラウドファンディングのようなところです。


日本も150年前は学校制度はなかったです。日本の学制が敷かれるのは1872年なのだが京都市内で誕生しているのですが、それを作ったのは竈門金というシステムでした。

各家庭にあるかまどの数に応じてお金を出し合って学校を作ろう、というシステムでまさにクラウドファンディングなんです。

学校を初めに作ったのも行政ではなく、民間ということです。京都では今もコミュニティースクールが盛んです。


また、新しい学校の形の話も上がりましたが、オンラインだけ、またはオフラインだけは違います。


オンラインの中でオフラインをどう活かすか、オフラインの中でオンラインをどう活かすかこれが重要になってきます。


オンラインで管理しようとすると破綻します。先生は、サポーターでありファシリテーターでなければなりません。

今後このような学びの場を活かしていくことが需要です、本日は貴重なお時間ありがとうございました。


▼5. まとめ

このワークショップでの議論や気づきは以下の通りです。
 
【①教育格差の現状】

コロナの影響によりオンライン教育が推進されている現在、オンラインでの授業が成り立っている学校とそうでない学校での学習進行度に差が出ています。

また、PCやWi-Fi環境のない家庭はそのような授業に対応することができないなどのこれまで以上に教育的格差が拡大してしまう可能性があります。
 
 

【②教育格差への対応】

この事態を機に日本でもオンライン授業への土壌を作ることができれば不登校や
学校に行きたくてもいけないような子供達にも質の高い教育を提供することができます。

そして、今ある教育格差の是正につながります。
 

そのため、今後はオンラインとオフラインを掛け合わせることでいかに双方の長所を残し短所を補い合えるかが重要になってくる。

第二弾告知


ご参加いただいた皆様、ここまでお読みくださった皆様、有難うございます。


ぜひ私たちと一緒に、おうち時間に未来を考えませんか?