努力できない理由
自分が自分のことを虐めずに、「ありのままの自分」を受け入れるということが大切なのは間違いない。何の条件もなく、ただ存在しているだけの自分を大切に思う技術は、幸せに生きるための秘訣かもしれない。
この技術があれば、他人から評価されようが、批判されようが、さほど気にならなくなる。だから、失敗を恐れなくなるし、何事にも挑戦することができるようになる。つまり、失うことが怖くないという無敵モードに入ることができる。
例えるなら、自分が自分を受け入れた時点で1台目の車が手に入ったようなもの。他人からの評価については、2台目の車のようなもので、あった方が楽しいかもしれないけど、別に無くても移動手段には困らない。
一方で、自分のことを条件付きで見ている時は、「ありのままの自分」「息をしているだけの自分」を大切に思っていない。「優しいこと」「我慢をすること」「優秀なこと」などといった制約を守るために鞭を打って虐めている。そんな時は、1台の車も持っていない状態。
だから、何とか車(生きていくための移動手段)が欲しいから、2台目の車(他人からの評価)を貰おうと必死に顔色を伺ったり、必死に無理をしてハードワークをしたりする。しかし、2台目の車が貰えないと、それこそ生きていけないという恐怖感があるので、疲労感は倍増する。その疲労感は、1日早く寝たくらいでは解消されないので、やがてキャパシティを超え、身体か心のどちらか、もしくはその両方を壊してしまうことにもなりかねない。
もしくは、恐怖感が大きすぎて、2台目の車を貰うための努力がなかなかできない、足踏みをしてしまうというケースもある。勉強しなければならないのに、怖くてできない、叶えたい夢があるのに、努力することができない。そんな時は、きっと、その目標が自分の生死を左右してしまうくらい重いことだという認識だから、恐怖感が大きくなり、条件反射的に避けてしまっている。大きな石が飛んできたら無意識に避けたり目をつぶってしまう。バンジージャンプは怖くて足がすくむ。ふわふわの毛糸の玉だったら、目をつぶらなくても手で払える。ちょっとした足踏み台だったら、簡単に足を踏み出せる。
つまり、「生きているだけの自分を認める」という、自分の生を無条件で許すことができていないと、それを他の物事、他人からの評価などに求めてしまう。だけど、それは結果によっては、自分の存在価値を失ってしまうということにもなりかねないから、結局のところ脅威に感じてしまい、他人から評価を獲得するための努力ができなくなってしまう。また、もし仮に無理に努力をしたとしても、他人よりも疲労感が溜まりやすくなってしまうので、まるで重りを付けたままマラソン大会に出ているかのような、不利な状態になってしまう。
また、最悪なのは、「ありのままの自分」を他者に受け入れてもらおう、という考え方をして、それを受け入れてくれない社会を憎むことだ。そういう考え方をしていると、現実世界を生きることが難しくなってしまう。会社や学校に限らず、家族の間であっても、100%ありのままの状態が周囲に受け入れられるなんて幻想は捨てた方がいい。なぜなら、その逆に、他人が100%好き勝手している様を、受け入れることができる人間なんていないから。(少なくとも私はそうだ。)
特に学校や会社などの「社会」では、誰かの役に立つことが求められる。より成果を出した人が成功するし、評価をされる。それは当たり前の話だ。ただし、それは、単に「2台目の車」なんだから、そんなに怖がらなくてもいい。それがあっても無くても、自分の生存が脅かされることはない。それさえ分かっていれば、そういった現実社会(会社や学校など)で努力することが苦痛ではなくなる。
つまり、自分で自分のことを認められる人ほど、他者からの評価に脅威を感じないので、臆せずに努力をすることができる。一方で、自分が生きていることに条件を設けて、自分をいじめている人ほど、他者からの評価の重要度が増すので、それを失うことが脅威になってしまう。結果的に、無意識にそれを避けようとしてしまうので、努力することができなくなってしまうし、仮に努力できたとしても、普通の人よりも疲労感が倍になってしまうので、いずれキャパシティを超えてしまう。
本当に、「無条件の愛」は大切だ。子どもの頃にそれを獲得しているかどうかは大人になってからも影響する。お手伝いをした時だけではなく、良い成績を取った時だけではなく、普通に生きているというだけで、たくさん褒めてあげることが、本当に大切なんだと思う。愛情不足のまま大人になったアダルトチルドレンの方々も、子どもに戻ることはできないし、それを他人に強制はできないから、今度はそれを自分自身で自分にしてあげて欲しい。自分も同じくアダルトチルドレンの傾向があるので、意識的に自分を褒めている。その積み重ねが、自分を作ると信じている。
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