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リーダーシップは「幸せに生きるための力」

リーダーシップとは

経営学においては、リーダーシップとは、組織の目標を設定し、メンバーを動かし、目標を達成する力を意味します。

リーダーシップはよく山登りに例えられます。リーダーは山頂(目標)に向かってメンバーを率いて山道(業務)を進みます。山頂は美しい景色の見える素晴らしい場所でなければメンバーはついてきてくれません。険しい山道を進むために、「歩け、歩け!」「休むな!」と鞭を打つのではなく、頑張ろうと思える声がけや、岩を登る手助けが必要です。優れたリーダーは、魅力的な目標を掲げ、メンバーのやる気を引き出し大きな力を発揮させるコミュニケーションや仕組み作りを行います。

理念とエンパワメント

組織にとって一番大きな目標は「理念」です。現パナソニックグループの創業者 松下幸之助氏が「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」と掲げたように、組織が大切にする価値観、組織の存在意義や使命を言葉にしたものです。理念は組織のメンバーの日々の行動指針、判断基準となるため、メンバーにとって「こうありたい」「成し遂げたい」と感じられるものである必要があります。同時に、顧客や取引先といった全てのステークホルダーにとって「応援したい」「支えていきたい」と感じてもらえることも重要です。優れたリーダーは、メンバー、顧客、社会にとって魅力的な理念を掲げます。

人を動かす手法の一つに「エンパワメント」があります。エンパワメントとは、人の自発性を促し、目標達成を支援することです。具体的には、①目的、目標を共有する ②相手を知る ③適切な仕事を与える ④動機付ける ⑤進捗確認と支援を行う、のステップを行います。私はこの中でも特に「相手を知る」ことが大切だと考えています。相手の「大切にしていることは何か?」「得意なことは何か?」を十分に理解することで、「進んで取り組むピッタリな仕事」「やる気を引き出す動機付けの方法」「行き詰まった時に必要な支援の内容」が分かります。相手のことをよく知るためには、相手を大切に思い、成長や目標達成を一緒に喜ぶことのできる開かれた心が必要です。メンバーは一人一人、違った価値観や得意不得意を持っているため、全てのメンバーを理解するのはとても時間がかかりますが、優れたリーダーは様々な価値観を受け入れ、根気よくこのステップを行い、メンバーが気持ちよく働ける環境を作ります。

子ども達にリーダーシップを

リーダーシップはリーダーだけでなく、すべてのメンバーが身につけたい力です。組織のトップリーダーである社長やCEO、校長、院長といった役職を持つ人にはもちろん、組織の中にある小さな部署のリーダーにも必要ですし、肩書きを持たないメンバーが日々の業務においてリーダーシップを発揮している組織は、とても強い組織に違いありません。

そして私は、子ども達にリーダーシップの大切さを伝える教室を行っています。子ども達が学校や地域において仲間と過ごす時間にリーダーシップを発揮して欲しいのももちろんですが、リーダーシップを「幸せに生きるための力」として身につけて欲しいと考えています。幸せに生きるためには、「自分はどうあると幸せか」を知っていて、そうなるためには何を学び、どのような行動をとる必要があるかを主体的に考え、実践できることが大切だと考えているからです。

自分自身を一つの組織、自分自身をメンバーとして考えます。「自分はどのように生きたいか」「自分は何をしていると幸せか」という「ありたい姿」が自分という人間の理念になります。子ども達にとってずっと先の「大人になった自分の姿」は、遠い未来で具体的に想像することが難しいため、大人の自分になるまでのある時点の途中の姿を「ビジョン」と呼んでいます。「10歳の時にはどうなっていたいか?」「高校に入学する時にはどうなっていたいか?」をそれぞれ具体的なビジョンとして描いてもらっています。そしてその理念、ビジョンを目指して生きる上で、自分という人間は今「どんなことが好きか?」「どんなことができて、どんなことができないのか?」を理解して、理念に近づくために必要なことを考え、実践し、前に進むために自分自身を応援するという、自分自身に対するエンパワメントの大切さを伝えています。

人生という山登りです。「自分はこうありたい」という山頂(理念)と途中の道しるべ(ビジョン)を目指し、今いる場所からどうやってたどり着くか計画し、実際に歩いてほしいと思っています。(エンパワメント)

なお、途中で行き先(理念)が変わることは大賛成と伝えています。無限の可能性を秘めた子ども達の長い人生では、自分にとって大切なことが変わることはあって当たり前です。「幸せに生きるための力」としてのリーダーシップを身につけた子ども達は、目標が変わった時もすぐに次の目標に向かって楽しく力強く歩き始められるはずです。


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