未来へつなぐ教育

我々「未来へつなぐ神奈川」では「教育」をテーマにした題して「未来へつなぐ教育」としてイベントを企画しました。イベントの中で使用した資料、チラシなどについて公開します。また、イベントの中で伝えきれなかったサイト、書籍より特に重要と思われるものを併せて掲載します。


「未来へつなぐ教育」におけるイベント3企画のチラシ

未来へつなぐ教育 」第一弾
11月23日(木祝)18:15開場 あーすぷらざ映像ホール
上映会『サティシュの学校 みんな、特別なアーティスト』

お申し込みは以下のメール、電話(チラシに記載)で予約願います。
メール
MiraietsunaguKanagawa@outlook.com

「未来へつなぐ教育」第二弾 【定員20名】
12/19(火)13:15開場 あーすぷらざ1F中会議室
お話会『北欧の教育 幸せな社会のつくりかた』

お申し込みは以下のpeatix、もしくはメール、電話(チラシに記載)で予約願います。
Peatix
https://mitsuka20231219.peatix.com

メール
MiraietsunaguKanagawa@outlook.com

質疑応答ディスカッション

「未来へつなぐ教育 」第三弾
2024年2月3日(土)13:15開場あーすぷらざ映像ホール
上映会『夢みる小学校』

お申し込みは以下のpeatix、もしくはメール、電話(チラシに記載)で予約願います。
Peatix
https://mitsuka20240203.peatix.com

メール

MiraietsunaguKanagawa@outlook.com

関連イベント 北欧で見つけた幸せな社会の作り方
2024年2月19日

教育の歴史

ここでは、教育をより良くしていくための考えるきっかけとして教育の歴史をテーマに考察したものです。

教育に限らず、あらゆることに課題があり変えていかなければならないことは多々ありますが、注意したいのは現状起きてる問題だけに注目してしまうことです。今の私たちが当たり前と考えていることも、昔は概念すらなく、その実現に人生をかけてきた人達がいて今の私たちの生活があることを決して忘れてはならないと思います。また、歴史をたどり現在を見ることにより、今問題があると思うことにも過去の問題を改善するためにそういう形になっており、一定のメリットがあってやっていることがほとんどです。

例えばいじめや不登校などがあり現代の学校教育でのクラス分けや義務教育が問題だと感じることはあるかも知れませんが、クラス分けや担任制がない時は学びの場所に子どもが入りきれなかったり、どこからどこまで勉強したかわからなかったりなど、多くの問題がありました。これを、ランカスターという人が一斉教授法というものを考え、学級制、担任制などを確立していったのです。

また、義務教育というのは教育を受けなければならない義務ではなく、親が子どもに教育を受けさせる義務があるというものなので、子どもが学校に行きたくなければ、行かないことに全く問題はありません。子ども自身が持っているのは教育を受ける権利なので、違う学校に行っても良いし、リアルに会わない通信制の学校でも問題ないと思います。多くの子ども達と少し違う教育を受けているというだけの話です。義務教育がない頃は貧しい家庭の子どもは教育を受けられないことは愚か、幼い頃から労働をさせられていました。中世ヨーロッパでは一日16時間も子どもを働かせていたり、過労が原因で死亡したりもしていました。それが、義務教育の制度により、子どもは働かずに勉強に専念できるようになったのです。工業化社会では学校が将来の工場労働者を作るために利用されたり、国家の生き残りのため戦争に大義を持つための教育のため利用されてきたという歴史はありますが、それは義務教育が問題の本質でないことは明らかです。教育内容の問題なので、内容に恣意性を感じたり不満があるなら、学校を変えれば済むことです。

社会制度を変えるというのは国民の合意を得る必要があり非常に難しいですし、当たり前すぎて感じられない多くのメリットがあるため、制度を変えるとほぼ確実に新な問題が起きると思います。制度から変えなくても親が子どもと話し合って選択肢を変えるだけで問題を回避することは十分可能です。人生をかけて現代教育につなげてきてくれた偉人たちをリスペクトし、その上でどうしても制度を変えなければ問題を回避できない場合には、過去の偉人たちにならい、覚悟を持って変革に取り組むことは、正解・不正解ではなく、誰も口出しできることではないと思います。

以下は「未来へつなぐ教育_note版」の解説となります。
pdfと併せてお読み頂けると幸甚です。

紀元前30〜20世紀。
メソポタミア、エジプト、インダス、中国の世界四大文明が起こった頃です。
この時代は都市国家という小国家が発展・統治というニーズがあり、交易(商売)の記録をするためや、領地管理・税金徴収のため役人が必要となり、読み書き・計算の教育が行われた。

紀元前5世紀〜3世紀。
古代ギリシアの時代です。
ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの哲人が出現し、民主制を機能させる理想的な社会を実現するというニーズがあり、その社会(ポリス)を作り上げるため、政治家や市民の教育が行われた。プラトンやアリストテレスはアカデメイアやリュケイオンと言われる学園を作り、そこで教育をしていた。

西暦4世紀〜5世紀。
この時代の大きな流れとしては、巨大国家であったローマ帝国が衰退したことにより、国家以外の力を持つ存在が生まれてきた。国家以外に権力を創成するというニーズが起こり、それがキリスト教カトリック教会における修道士の教育であったり、鍛冶屋や石工などの技術者ギルド(組合)における後継者教育が行われた。

西暦11世紀〜14世紀。
キリスト教カトリック教会がさらなる権威を持ち、知識人ギルドである大学での後継者教育などが行われた。大学は国家とは関係なく出現した。

西暦15世紀〜16世紀。
宗教改革や地動説など固定観念の転換期が起こった時代です。
この時代は、教育のニーズというより、天動説から地動説への転換、宗教改革のような常識とされてきたものへの疑問から、真実は何か、そもそも誰が何を教育すべきかという転換点に差し掛かった時代と言える。
ヨーロッパでは長らく子どもという概念が存在しなかった。幼子は紐でぐるぐる巻きにされ、壁に吊るしたりなどしていたという記録もある。そもそも、子どもに教育するなどという以前の扱いを受けていた。しかし、エラスムスが世界で初めて子どもの教育が大事と言ったとされており、既存の価値観の転換点が起こった。ルターはカトリック教会を批判し、人民が神と直接つながるため、文字が読める教育の必要性を説いた。コメニウスは、あらゆる人が教育を受ける必要があると訴えた。

西暦17世紀〜18世紀。
フランス革命が起こり、人権の概念が生まれます。
それまでの時代では考えられなかった、全ての人が生まれながらに人権を持つべきだという考えが出て、人権確立のニーズが生まれます。そして、子供という概念すらなかったのに、子どもの教育が大事だという人が現れてきます。

子どもの発見ということで、とうとう子どもって大人と違う、子どもなりの教育が必要だという人が出てきます。ジャン・ジャック・ルソーは人間は神に権利を与えられるわけではなく、生まれながらに人権を持つと言い、著書「エミール」は架空の少年エミールを生まれてから青年になるまで教育するという形で理想の子ども教育を描いた。ペスタロッチは、事業の失敗により生活は困窮していたが、貧民の子どもの教育に並々ならぬ情熱を注ぎ、生涯をかけて取り組んでいく。

西暦19世紀〜20世紀。
国民国家が生まれ、世界大戦の時代が到来します。
国民国家の誕生と産業革命や農業革命により、それまで人口の8割から9割が農業従事者であったものが、農業以外の産業に多くの国民が投入され、急激に国家が強力化していきます。そうすると、他国を圧倒する力を手にした先進国は自分たちの利益のため領土拡大を進め、その反面他国から簡単に侵略されるという危機感を持つようになり、生き残りのため富国強兵を目指していきます。人権が生まれ国家の主体が王様・貴族から国民に変わったことにより、皮肉にも国家の発展も生き残りも国民の責務のように言われ、人権確立として始まった公教育は産業の工場労働者教育や、命をかけて国を守る国民を作るための教育に置き換わっていきます。

そのような時代でも、教育をより良くするために尽力した人たちがいました。
フレーベルは世界で初めての幼稚園を設立し、幼児教育の重要性を説きました。ヘルバルトはペスタロッチが作った学習指導要領を教育学というレベルまで発展させました。ランカスターは学級や担任制を作り、等しく同じ教育が受けられるようにしました。ホレース・マンはアメリカのマサチューセッツ州で世界初となる公教育の開始に尽力しました。

以上、5,000年を駆け足で話しました。

教育の歴史を考えると、次の3つのことが重要だと考えました。

教育するニーズ(理由)が必要なこと、教育コストを負担できること、そして、コストとは関係なく生涯をかけて教育のあるべき姿を追求した人たちの熱い想いがあることです。

古代や中世から考えると、子ども時代に等しく長い期間教育を受けられる現代の公教育は、夢が実現したような状態であると思われます。現代教育の大きな問題の一つは「社会を変革するような強いニーズがない」ということではないでしょうか。この強いニーズは、誰かに正解を教えてもらい生まれるものではなく、我々ひとりひとりが必ず未来のためになると想い考えていくべきことだと思います。

また、教育コストというのは長い時は十数年間子どもは何も生産せず、学ぶだけで良いという長期先行投資のようなもので、余裕がなければこのようなコストを負担できるものではありません。教育コストは強いニーズに伴い社会が負担する機運が生まれるもので、強いニーズがなければ教育コストを大幅に増加しても、教育の質はあまり変わらないようにも思えます。

だからと言って、現状のままで良いというわけでありません。しかし、何かと批判の多い現代の教育である、等しく同じ教育を受けさせるという義務教育、学習指導要領を作り、どのような教師の元でもある程度は教育の質を保ってきたり、同じ年代の子どもをクラス分けして一箇所に集めて教育するなどのことも、人生をかけて教育の充実に取り組んできた偉人たちの功績があってのことです。それを単にダメ出しするのではなく、リスペクトした上で、今の時代にそぐわない部分を変えていくことが私たちにできることではないでしょうか。現代教育の重要な礎を築いたルソーは、教育は自然人(個人)としての教育と社会人としての教育をバランスよく施すことと言いました。現代の教育は経済成長に貢献する国民を育てるという社会人の教育という面が強く強調され、自然人=個人としての幸福追求が疎かになったバランスの悪い状態に、問題の多くが収斂されているように思います。環境破壊など経済成長自体が問題視されている昨今、中世ヨーロッパで起きた宗教改革のように、経済成長を続ければ社会も個人も幸せであり続けられるという固定観念を壊す時なのかも知れないと思います。

是非、皆さんと一緒に教育について考えていきたいと思っていますので、今後の「未来へつなぐ教育」の企画にお越し頂けると嬉しいです。


コテンラジオ

https://coten.co.jp/services/cotenradio/

今回の「教育の歴史」はインターネットラジオであるコテンラジオを参考にさせて頂きました。とても面白くて深く考えさせられるラジオ番組ですので、興味のある方は是非ご覧になってください。

コテンラジオの「教育の歴史」は全再生時間:約7時間18分となります。

1.教育の歴史 ー人間は何のために学ぶのか?ー【COTEN RADIO #197】37分
2.論破おじさん・ソクラテスの遺志を引き継ぎし古代アテネの教育スタイル【COTEN RADIO #198】37分 
3.「よそはよそ!うちはうち!」中世ヨーロッパの日常が生んだ教育の多様性【COTEN RADIO #199】20分 
4.ユニバーシティ?カレッジ?世の中に知識人を輩出する「大学」のルーツ【COTEN RADIO #200】 31分
5.愛が生まれた日 〜中世ヨーロッパの教育によって「発見」された子どもたち〜【COTEN RADIO #201】21分 
6.中国の教育 〜なぜ彼らは儒教OSを選んだのか?〜(前編)【COTEN RADIO #202】29分
7.中国の教育 〜なぜ彼らは儒教OSを選んだのか?〜(後編)【COTEN RADIO #203】25分
8.どうしてこうなったん?島国ニッポンの歴史と教育の変遷【COTEN RADIO #204】39分
9.イスラームの教育 〜生活と宗教が密接する社会が目指した理想郷〜【COTEN RADIO #205】26分
10.宗教改革で社会OSがアプデ!?そもそも論から社会を覆す思想家たちの構想と教育の変化【COTEN RADIO #206】32分
11.変態紳士・ルソー、再び。社会に衝撃を与えた啓蒙主義と教育【COTEN RADIO #207】50分
12.ある教師のエモいい話 〜貧しい子供達を救ったペスタロッチの愛情〜【COTEN RADIO #208】38分
13.近代公教育制度の確立 ー結局、僕たちは何のために学ぶんだろう?ー【COTEN RADIO #209】53分

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