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EP:1 かかりもしない魔法をかけ続けた小さなわたし


◆数時間で爆弾が落とされた部屋

たまに、少しだけ?私の過去の話も書こうと思います。

時々、過去の私が出てきて、あの時はこうだったな、って懐かしさ半分、切なさ半分で訴えてくるのです。

だから、せっかくなのでここに、もう過去のことなんだけど、書いておこうって思います。

もしかしたら、この私の過去のことで、勇気を得られる人がいらっしゃるかもしれないし・・・。退屈しのぎに、なんだかドラマを見ているように、読んでくれる人がいるかもしれないし。

てことで、お母さんの記憶から始まります。

私のお母さんというのは、私の一番古い記憶では、お父さんとケンカしていました。

私が多分、3歳くらいだと思います。

私たちは(1歳年上の姉がいます)夜の8時になると、寝なさいと言われ、寝るのが習慣になっていました。

でも、寝ていると、お母さんのヒステリックな泣き叫ぶ声や、皿が割れる音、ドスンドスンという何か重苦しい音、お父さんの怒鳴り声が聞こえてきて、目を覚ましてしまうのでした。

何かが起きている・・・。


布団の中で、心臓はより一層大きく鼓動して、私の心配を音で現わしてくれていました。

3歳程度のわたしに、できるなんてことなにもありません。

気づけば、姉も目を覚まし、先に泣いていました。

二人で手を取り合って、階段の足音がしないように、
そうーっとそうーっと降りて行って、
ほんの少し明かりが漏れているドアのすき間から、様子をうかがいました。


ほんの数時間前まで、笑って囲んでいた食卓の光景が、全く別物で、

まるで爆弾が投げ込まれたかのようなありさまに、ショックを隠せませんでした。

◆小さなレフェリー

私は、一歩も動けなくなりました。

見れば、お父さんの頬には切り傷(おそらく割れたお皿でケガしたのでしょう)があり、恐怖のあまり、姉は耐えられず、泣きながらドアを開けてしまいました。

そのドアが開くと同時に、それがまるで合図のように、恐怖と緊張の糸がプツンと切れた私の目からも涙が溢れてしまいました。

姉は、お母さんが大好きでした。

私はお父さんが大好きでした。

それぞれの大好きな方へ駆け寄り、小さな二人が、レフェリーの様に、そのケンカを止めに入ったのでした。

その後、だいたい、お母さんは家を飛び出し、どこかに行ってしまいました。

お父さんと三人になって、しばらく泣いて、
泣きつかれて眠って、そして朝がやってくるのでした。

◆サイクルが終わった日

朝目が覚めると、だいたいお母さんはいませんでした。

もしかしたら、数日いないことがあったかもしれません。

ある日、お母さんが家にいた!(帰ってきたと思った)時、帰ってきたのではなく、お別れを言いに来ていたのでした。

『あのね、ママはご病気だからしばらく〇〇のおばあちゃんのおうちにいるからね(お母さんの実家)ちゃんと幼稚園行くのよ』と。

私は、あまり状況を理解していなかったからか?
素直に『うん、わかった』と答えて、
でも姉は『〇〇〇も行く~』と言って号泣して、
幼稚園に行こうとしませんでした。

お母さんとお父さんがケンカしていて、

翌日からお母さんがいなくなって、

しばらくして帰ってきたと思ったらお別れを告げられる

というサイクルを何度か経験した後、

私のお母さんは、もう二度と帰ってくることはありませんでした。

またきっと来る、またきっと、今日おうちに帰ったらきっといる・・・。

毎日そう思っていたのに、その日はやってきませんでした。

◆私が爆弾の原因

小さいながらに思っていたことがありました。

お父さんとお母さんのケンカの原因です。

二人以上のお子様を育てたことがある方はわかるかもしれません。
同じ親から生まれても、同じようには育ちません。

片方が育てやすくても片方はとても苦労する部分があったりします。

私もこれに該当し、姉はごはんもよく食べ、運動も活発な一方で
私はというと、食べ物の好き嫌いが激しく、食べられるものが少なく、体は小さく、毎日おねしょをし、本当に育てにくい子供だったと思います。

そして、お母さんは、私を21歳で生みました。

ということは、お母さんだって、まだまだ大人になり切れていない。
それなのに、私みたいな育てにくい子がいて、ストレスもあったでしょう。

ここまでの推測は今だから出来ることではありますが、
当時のまだ3歳程度の私は、私がおねしょをして、おふとんを毎日濡らすからケンカになっているのだ、とか、

夕飯でお母さんが食べなさい!って言ったおかずがどうしても食べられなくて、お父さんが「もう無理して食べなくていいよ」と許してくれたことが、お母さんを怒らせちゃったんだとか、

とにかくケンカの原因は全部、私なのだと思っていました。

◆かかりもしない魔法

お母さんが、完全にお母さんを辞めてしまうまでの間、

ケンカの原因は私にあると悟った私は、

どうしたら、私がごはんがしっかり食べれるようになるのか?や、
どうしたら私がおねしょをせずに朝を迎えられるようになるのか?

考えるようになりました。

その当時に観ていたアニメの影響なのか?

私自身に魔法をかけるという方法で、

『20回噛んだら飲み込める』だとか、

『嫌いな食べ物が口に入った瞬間に好きな食べ物に変わっている』だとか、

『朝目が覚めたら、サラサラのお布団で「ママ~!でてないよ~!」ってお布団を見せている』なんてことが

叶うように、かかりもしない魔法をかけ続けていました。

でも現実は、20回噛んでものみこめないし、

嫌いな食べ物は口に入ると吐きそうだし、

朝目が覚めたらお布団は濡れていて気持ち悪いし、

毎日、なんで・・・なんで・・・って
魔法をかけ切れていない自分を責めて生きていました。

それが、たったの3歳、4歳の子供だったなんで、

今もし目の前に当時の私がいたら

『そんなことしなくても大丈夫だよ!』って抱きしめてあげたい気持ちで一杯です。

EP:2へつづく

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