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全国ツアーが始まるー地方公演の醍醐味と憂鬱ー

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公演会場に到着し席に着くと、意外と狭いことに気づく。
全国ツアーで使用される会場は、地方によってかなりの差がある。

私の実家がある地方の会場は、それは大変古い建物だ。
もちろん座席もかなりの年季を感じる。
そしてこの座席の致命的なところが前が見にくいことである。



宝塚の劇場は座席の配置に工夫がされていて、よっぽど前のめりの人でもいないかぎり舞台を見渡すことができる。
ただ、地方公演となるとそのような粋な配慮はしていない。
とにかくぎゅうぎゅうに詰まらせた狭い座席に、窮屈に座ることになる。


私が今回手にした座席は「10列目」だった。
10列目といってもピンキリだ。
今回の席はキリとはいわないまでもピンでもない。

上手側(向かって右)ブロックの中央ブロック寄り。
しかも通路側から2番目だった。
ラッキーなことに今回の公演はショーがある。


わかりにくい表現かもしれないが、宝塚の地方公演にとって通路側の席は神席だ。
ショーがある公演の場合は、下級生が通路に降りてくる場合がある。
運が良ければスター級が来る場合もあるのだ。


ネットでは公演が始まると、どの通路に誰が来るか教えてくれる人が出没する。
今回も案の定、観劇前にその情報を手に入れることができた。
残念なことにトップスターの椿がこの通路に訪れることは叶わなかったけれど。


10列目の席は、私がこれまで手にした初の良い席だった。

「とにかく楽しもう」

開演直前のブザーが鳴った。

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