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せいかつの軌跡(8)

にわとり

久しぶりに鶏小屋を掃除した。
齋藤家は鶏六羽と共に暮らしている。
普段は月に一、二回は掃除をするのだけど、暑いのを理由にここ二ヶ月放置して、結構な臭気を放っていた。
とりたち、ごめん。

スコップで小屋の床に敷いた籾殻と竹炭を掻き出す。
それらを一輪車でコンポストまで運び入れ、新しいものに入れ替えた。

籾殻はお米の貯蔵施設から無料でもらえるし、竹炭は夫が裏山を整備した際に切った竹を燃やしたもの。
とりたちのエサは、近所の農家さんから頂けるくず米やうちで出た野菜くず、卵の殻など。
生きるために必要なものはほぼ0円で、とても美味しい卵を提供してくれる彼女たちには感謝しかない。(近所の農家さんも)

毎日一、二時間は彼女たちを小屋から出して、庭で放鳥することにしている。
自力で虫を食べてもらって、カルシウムを補給するためだ。
カルシウムが欠乏すると卵の殻が薄くなり、明らかに元気が無くなる。

またトリ社会には厳しい序列があるようで、狭いスペースに閉じ込めたままにしておくとイジメが起きる。
(昨年の冬、一番序列の低い子が他の子たちにつつかれて死にかけた。)
適度な距離感を保つためにも、毎日の放鳥は必須だと思う。

私は元々、人間以外の動物が苦手なほうだった。
けれど日々餌やりなどしているうちに、今では家族の誰よりも彼女たちに懐かれている人間になったような気がしている。
鶏って、なんかかわいい。

そして、思っていたより賢い。
手を叩いたり小屋の壁を叩くと小屋に入ってくれるし、抱っこしようとすると止まって抱っこされやすい姿勢をとってくれる。
何となく、こちらの意図を理解してくれている感じがあるのだ。
やっぱり、鶏ってかわいい。

かわいいから、そのうち屠殺の方法を学んで実行することは、私の夢のひとつだ。
卵を産まなくなった彼女たちを食肉にすることは、命を大切にする手段だと思う。

自分の手で絞めた鶏を、ちゃんと食べられるのか?
その時、どんな気持ちになるんだろうか?
そもそも屠殺を最後までやり遂げられるのか?
あまり自信が無いけれど、、一度やって確かめてみたい。
できれば、こども達も一緒に。

【今日のうた】
うまれたよ今日の手はそっとまあるい
よろこび包みあげるおはよう

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