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『寂しい』が言えない理由


『あなたとの会話が途絶えちゃうと寂しいな。また連絡頂戴。』

これまでこの類の言葉をず~っと言えなかった女性が、ようやく伝えることができたと報告してくれた。ちなみに、とても魅力的な40代の女性。

そんなことがなんで言えないの?と不思議な人もいるだろう。でも彼女にとってはどうしても言えない言葉だった。

これまで彼女が言えない理由として挙げていたのは

*付き合っていない人にそんな事を言える立場にない

*付き合った男性ですら私の気持ちを気にかけて連絡してくれたことがない

*『重たい』とか『面倒くさい』と思われるのがオチ

*『俺に惚れてんな?』と勘ぐられて好きな気持ちを利用されるのが嫌

というもの。

確かに、『会話が途絶えると寂しい』という気持ちは『私にとってあなたとのコミュニケーションはとても大事です』と言っているようなもの。
だからこそ、まだ恋愛関係に発展するかどうかわからない状況で相手に素直な気持ちを伝えるのは、まるで『好き』と告白しているかのように思えて、躊躇するのかもしれない。


その上『寂しい』気持ちを『重たい』と捉えられる可能性を考えると、怖くて言えない、というのもよくわかる。
特に恋愛感情を持った相手には、『好かれたい』『評価されたい』という想いが強くなるものだ。
そんな中で、自分の気持ちを素直に言える人と言えない人の大きな違いは何なのか。


         

 素直に言える人は、『連絡が途絶えると寂しい 』などの自分の感情を肯定的に受け入れることができている。
『好きな人と話せる時間はとても幸せなのだから、連絡が途絶えると寂しいのは自然なことだよね』という感じに。


それに反して素直に言えない人は、自分のそれらの感情を肯定的に受け入れることができていない。だから、相手も肯定してくれるとは思えない。

その上、素直に言えない人ほど、恋愛相手への承認欲求も強くなる。
それにより、常に自分が相手にとって評価に値する存在であろうとしてしまう。


だからこそ、自分が肯定できない感情や、相手に評価されない態度は表現するべきではないわけだ。コミュニケーションにおいての目的はただ一つ、相手から必要とされることなのだから。


だが皮肉なことに、素直な気持ちを表現せず、相手に評価され得る自分であろうとすればするほど、恋愛は苦しくなってしまうのだ。


なぜなら、素直な気持ちを表現できないと、相手から『愛された』と感じる体験はできない。『愛された』と感じられなければ、恋愛での幸福感を得られるはずもない。



              
冒頭に登場した女性も、例にもれず、恋愛対象から愛されようといつも努力してきた。相手の性格を推察しては、理想的な行動を心掛け、相手が満足することを第一に考えた。
それなのに、付き合った相手は皆、彼女の感情を察することもなく、しだいに支配的で横柄になっていく。

そんな相手への怒りと悲しみが限界を超えたとき、いつも彼女から別れを告げていた。

彼女は女性として愛される人生を得るには、相手にとって理想的であることが最優先だと信じて疑わなかった。その努力をしても、全くうまくいかない自分の状況に、『私は愛されない運命なのかも…』とか『私はオトコを見る目がないのだ』と思い込み、恋愛にすっかり自信を失い、男性不信にもなっていた。


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そんな長年の悩みを克服したい彼女が、まず一番理解する必要があったのは、好かれるための努力をやめることだった。


恋愛相手の評価に、自己価値を依存していたことも自覚し、相手がどんなに素敵な人であっても、自然体の自分でうまくいかないのなら、相性が合わないというだけのことだ、と肝に銘じた。

また、自分が努力してきた恋愛スタイルでは、本当に自分が望むものは得られないのは当然のことだったのだ、と心から納得し、今までの恋愛相手を恨む気持ちや、根拠のない自己否定も手放した。

それから間もなくして、気になる男性に出逢った。
過去の自分の心の動きを理解したにも関わらず、以前と同じ気持ちが湧いたのだが、
『本当の私でないと恋愛する意味がない』と、その都度自分に言い聞かせながら、できるだけ素直な自分の言葉でコミュニケーションを心掛けた。

その甲斐あってか、その男性に対して過去の恋愛相手には感じたことのないような信頼感が湧き始めていた。
そんなとき、突然LINEの返信が途絶えてしまったのだ。

『私が送った内容が何か気に障ったのだろうか?』

『本当は私とのやりとりが嫌だったのかもしれない』

そんな怖れが湧いたが、
『私は何も悪いことしてないんだから大丈夫!』と、心をなだめた。

そして、思い切って素直な気持ちを表現した。それが、

『あなたとの会話が途絶えちゃうと寂しいな。また連絡頂戴。』の言葉。

その返信はというと…

『ごめん!忙しくなって返信し忘れてた。これからは寂しい思いさせないように気をつけるね。』

この返信を受け取った彼女は

『LINEのやり取りでこんなに嬉しいって感じたの初めてかも…』と話していた。


愛される自信がない女性は相手にとっての『いい女』になろうと自分を偽ってしまう。
ただ、それでは永遠に愛される自信は得られない。
相手を好きになったなら、素直な気持ちでコミュニケーションすること。
これは『愛される』上では欠かせない。

とは言え、そこにはとても勇気がいるのも事実。
でもそれによって味わえる幸福感を知らないまま生きるのは

宝の持ち腐れ…になるんじゃない?

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