思い出の映画で自己紹介
あちこちで書いていることなのですが、私は好きなものをピックアップするのがとても苦手です。
いくつかに絞って決められないのです。
『仮面ライダーダブル』に出て来たエターナルの言葉を借りれば「ありすぎて答えきれんわ!」というところでしょうか。
少し前に山根さんがされていた企画にも、そんな理由から参加できず。
今からでも考えてみようかな・・・
雑誌やネットでみる対談やインタビューなどでは、インタビュアーが必ずと言っていいほど「好きな本は?」「好きな映画は?」と質問しているのに遭遇します。たいてい、有名人の方々はよどみなくお答えになっています。
相手の好きなものに対する強烈な好奇心、というのは小学生くらいから湧き上がってくるものなのか、かつて小学生とおつきあいしていたころは(交際と言う意味ではなく、そういうお仕事をしていた頃)必ず「好きな食べ物」について質問されていました。
ですので私のプロフィールには、私に「好きなものは何かと聞かないで」、と書いています。仮面ライダーダブルに出て来たアクセルの言葉を借りるなら「俺に質問するな」と言っているようなものですが、そんな不遜な態度ではきっとみんな離れて行ってしまうでしょう。
先日も「これまでどんな本を読んで来たんですか」という質問を受け、ろくろく答えられなかったという失態を犯したばかり。
こんな自分では良くない。
もっと、心を開いて、オープンにしなければ。
優柔不断は百害あって一利なし。
半世紀を生きて、最近少しずつ大人になってきたようで、ようやく、そんなことを考えるようになってきました。
そんなとき、山根さんにインスパイアされたとおっしゃるテルテルてる子さんがこんな企画をされていることを知りました。
フォローさせていただいている、あの人もこの人も、記事を書いていらっしゃいます。そこで、ついに一大決心をして、参加させていただくことにしました。テルテルてる子さん、はじめまして。よろしくお願いします。
まず「好きな映画」というカテゴリではなく「思い出の」ということなので、そこらへんから絞り込むことにします。
『タワーリング・インフェルノ』からのポール・ニューマン
私が初めて「映画って、面白いものなんだな」と思ったのは、小学生の頃に日曜洋画劇場を見た時でした。特に『タワーリング・インフェルノ』を観た時に、映画そのものに対して「面白い」と強烈に感じたことを覚えています。
それまでにも『キングコング』や『E.T』などの「映画」を観たことがありましたが、「映画」というのは、役者がいて、監督がいて、大道具や小道具があって、特撮やアクションなど特殊効果をいれて撮影され完成するすごい「作品」なんだと思ったのはこの映画が初めてでした。
日曜洋画劇場は、淀川長治さんが解説をしていました。淀川さんの解説があったから、そういうことに徐々に気づいていったのだろうと思います。でもその時までは、淀川さんが解説するのをぼんやり眺めているだけで、「解説って必要なのかなあ?」くらいに思っていました。
ところがこの映画を観たあのときは、「どんなにスティーブ・マックィーンとポール・ニューマンがいい役者か」という淀川さんの解説がくっきりと私の心に刻み付けられ、彼らがでている他の映画も見たい、と思ったのです。
私自身が少しずつ大人になっていた時期だったのでしょう。それ以来、日曜洋画劇場はできるだけ観るようになりましたし、レンタルビデオを借りられる年齢になってからは最初にポール・ニューマンの映画を選びました。残念ながらスティーブ・マックィーンはその映画(タワーリング・インフェルノ)が映画に出ていた最後の頃で、それより前の映画はレンタルにもあまりありませんでした。
『スティング』からロバート・レッドフォードを知り、そこからロバート・レッドフォードの映画も観て・・・と、そこからは芋づる式です。
私はパニック映画は好きではないのですが、この映画だけはずいぶん何回も観ました。テレビ放映そのものも、そうとう回数あったのではないかと思います。
実は同じくらい印象深い映画がジャッキー・チェンの『酔拳』なのですが、こちらはお正月の定番だったころがあります。深夜でも必ず見ました。
今は『酔拳2』は配信やレンタルで観られるのですが、『酔拳』は観ることができません。きっと大人の事情があるのでしょう――断然『酔拳』のほうが面白かったと思います。
当時は映画はテレビで見るのが当たり前、CMが挟まれるのが当たり前、吹き替え版が当たり前の世界で生きていたので、そんなものなんだと思っていましたが、レンタルビデオ全盛期になると、日本語字幕で観るようになりましたし、映画館にもよく行くようになりました。ようやく「最初から最後までつながってる映画」を観られるようになったわけです。
『眺めのいい部屋』からのダニエル・デイ・ルイス
高校生の頃はずいぶん映画館で映画を観ました。映画館の会員になると高校生割引があったので、700円くらいで沢山、映画を観たものです。
名画のリバイバルもありましたし、企画ものの上映の時もある、単館映画館によく通いました。
高校生の時の思い出は『眺めのいい部屋』です。
正直、映画そのもののことはよく覚えていません。ただ、この映画で初めてダニエル・デイ・ルイスを知りました。わたしはあまりひとめ惚れしないのですが、このときは完全に「ひとめ惚れ」だったと思います。
私はどうも、いわゆる「メンクイ」ではなさそうです。クセのある、超個性的な人にロックオンするタイプのよう。ウィレム・デフォーとかサミュエル・L・ジャクソンなどはガッツリタイプです。唯一の例外はリバー・フェニックス(例外じゃないのか?彼はイケメン枠ですよね?)。早逝はショックでした。初めてリバーを知った『スタンド・バイ・ミー』もこの映画館で観ました。最近は弟のホアキン・フェニックスが年を取ってきていい役者になってきたように思います。クセツヨ感が出てきていい感じです。
この『眺めのいい部屋』でダニエルは美青年の役でしたが、出てきた瞬間からヤバい感じがしました。その後の経歴で、彼のクセツヨなヤバさは証明済みかと思います。ダニエルとのこの出会いがのち『存在の耐えられない軽さ』でミラン・クンデラに出会わせてくれます。映画から小説にハマったパターンその2です(その1は『アラビアのロレンス』。これも同じ映画館で観ましたが今回は泣く泣く割愛)。
『ベティ・ブルー』からのフランス系映画
最後の映画は、これもその映画館で初めて観たと思います。
『ベティ・ブルー』。
この映画は一時期好きすぎて、部屋にパンフレットも飾っていましたし、サントラも買いました。サントラを買った映画はこの映画くらいです。
原題が『37.2』というのですが、女性が最も妊娠しやすい体温のことだそうです。クセツヨマニアの私としては、まずは主演のベアトリス・ダルにノックアウトでした。そしてこの映画で描かれる男と女の分かり合えなさと狂気に満ちた囚われ具合がまた実に最高でした。何度見てもたまらない魅力のある映画です。
昔は映画と言えばハリウッド、と言う感じで、米国製全盛期の時期がありました。どうしても宣伝の派手なハリウッド映画ばかり観ることも多かったのですが、そんな中、密かに私に向かってフランス映画の風を吹かせてくれたのが、この映画。
リュック・ベッソンはハリウッドにも進出しましたが、『グラン・ブルー』でジャン・レノと出会いました。グラン・ブルーのジャン・レノは本当に素敵でした。『レオン』でナタリー・ポートマンと出会い、『フィフス・エレメント』でミラ・ジョヴォビッチと出会い、とこれまたクセツヨ芋づる式です。ベッソン監督は女性に対して芋づる式だったのかいろいろとありましたね。
こうしてみると、私は監督からというより俳優からの芋づる式のタイプだったのがよくわかりました。書いてみないとわからないことでした。
映画は、まさしく出会いだなと思います。
というわけで、3つの映画といいつつ、それに絡めてだいぶいろんな映画を出してしまった気がします。
私を構成する重大な要素である『スター・ウォーズ』のことも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のことも書いてないのに、果たして自己紹介になっているのでしょうか。
わかりませんが、好きな映画となったらこの何倍か語らなければならなくなりそうなので、この辺で。
映画って、本当にいいものですね。(by水野春郎さん)
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・(by淀川長治さん)
――あれ?小森のおばちゃまってどんなんだっけ・・・というか、わたしがまさに「おばちゃま」になっちゃいましたよ。いつの間にか。
映画については、こちらで少し書いてます。
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