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映画『夜明けのすべて』

公開してすぐの休日、ちょっと気になるし朝早起きして観に行こうかなーなんて思っていたはずなのに、朝の準備が進まない。 というか気付けば昼だし、なんだか気持ちが重くて映画館には行けそうにない。 次の日は、もっと気持ちが重かった。 のろのろと準備してもなんだか気持ちがざわついて、上着を着て靴を履いてドアノブに手をかけるまでしてもまた引き返して座り込んでしまう。 正直近所のスーパーに買い物だって行けないくらい。 どんどん深みにはまっている。このままずっと家にいたらやばい。 焦ってな

    • 恋愛なくして生きられないのか

      世の中の創作物は恋愛で溢れている。 音楽も映画もドラマも小説も そして現実社会でも多くの人が日々恋して暮らしている。 そもそも私自身も、両親の恋の果てにこの世に生まれた存在であり、『恋愛』が私を生み出したとも言える。 近年、同性愛(とくに男性同士の恋愛を描くBL)が創作の世界で描かれていることを観ることが多いがそれもそれ、マイノリティと言ったって恋愛はしているわけだ。 世の中、恋愛なくして生きられない 幼い頃の私は、恋愛なんて漫画の、ドラマの、創作の世界の中だけのもの

      • ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル

        先日、帝国劇場にて『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を観劇した。 目的は何と言っても加賀楓さんのミュージカルデビュー作を観たいから! 私自身ミュージカル(ひいては舞台)を観劇するのは初めての経験。ミュージカルって難しそう、ハードルが高い…という気持ちを跳ね除けるほどの加賀楓さんの吸引力のおかげで速攻ゲットしたチケットを手に、遂にここまで来てしまった。 この日に向けて服を買って靴を買って、赤と金のネイルをして、ヘアメイクもいつもより入念に時間をかけた。もうこの時点で楽

        • 日常の続き

          2020年2月16日、私は、米津玄師 2020 TOUR / HYPE の横浜アリーナ公演に行く予定だった。 2020年1月、国内で初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから毎日感染者が増え、そして横浜に寄港したクルーズ船の中で集団感染が起こった。 ライブ会場にいた観客の1人が感染者だと判明すれば大騒ぎになった。 事態は悪い方向へ転がるばかり。 仕事は、休めない。 何ヶ月も前から楽しみにしてたライブも諦めたくない。 けど、やっぱり怖いかもしれない。 私は悩んで悩んで

        映画『夜明けのすべて』

          『コーダ あいのうた』から考える聴者とろう者について

          本作は『エール!』という2014年公開のフランス映画のリメイク作品。 コーダ((CODA / Children of Deaf Adults)耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものこと)である主人公ルビーの物語。 大好きな歌そして夢と、大好きな家族の狭間で揺れながら進むルビーとその家族の姿に胸打たれる。 映画の中で印象的だったシーンは発表会でのルビーとマイルズの歌唱シーンで一切の音が無くなる時間。 その瞬間、作為的に作られた静寂は観ているこちら側を一

          『コーダ あいのうた』から考える聴者とろう者について

          映画『そばかす』

           先日久しぶりに映画館へ行き、映画『そばかす』を観た。  この映画の主人公は恋愛感情を持たない、いわゆるアセクシャルと呼ばれるセクシャリティである。  近年、アセクシャルを題材としたり登場人物の中にアセクシャルを自認しているキャラクターがいるような作品は増えつつある。  異性愛、同性愛に比してどうしても認知度が低く、存在が認識されづらいため作品の中にはどうしても説明的な部分が多くなりがちに感じられるが、この映画「そばかす」では作中に一度も「アセクシャル」という言葉が出て

          映画『そばかす』

          恋がわからなくても

          2022年1月10日からNHKで放送されている『恋せぬふたり』というドラマを観た このドラマで描かれているアセクシャル・アロマンティックの当事者として思ったことを、今の自分の気持ちの整理として書いていきたい。 世の中って恋愛至上主義で、恋愛する以外の選択肢がなくて、生きづらい を痛々しいほどリアルに描いた1話前半  恋愛感情が分からないが故に対同性、異性への対応が変わらない主人公(咲子)が、職場の後輩から一方的に恋愛感情を抱かれ、また両思いだと勘違いされてしまう  

          恋がわからなくても