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ドラマで勉強「虎に翼(第23週・第112話まで)」

昭和35年2月。
「原爆裁判」が始まりました。

準備手続きに4年、合計27回。

いよいよ裁判という所で雲野先生は亡くなってしまい、意思を引き継いだのがよねさん、轟、そして竹中記者。

竹中さんは何歳設定なのだろう?
あの老けっぷりは何かあったのだろうか?

「老ける」「老いる」がテーマと言われています。
寅子はどうやら更年期障害っぽいし、百合さんは老年性痴呆症になった模様。

そうそう、ふた昔くらい前の女性の一生的な本では「45歳くらいから更年期による自身の体の不調に加え、親の介護が始まる。旦那も家族にも気がついて貰えず、女性は精神的にも不安定になっていく。だから周囲に理解してもらうこと、助けを求めることが大事である。」みたいな感じです。

なので寅子の状況はその通り。
幸い、航一さんは気がついた人で良かった。

個人的には今週は「時間」がテーマかと思われます。

原爆裁判はこれから結審まで4年弱。
原告側は裁判が始まるまで、そして判決が出るまで。
きっと時間が止まっている。
もっと言えば、原爆を落とされた日から止まっている。

優未が高校生になり、のどかが銀行員になり、朋一が長崎で判事になり。
直人は弁護士修習中で、直治はミュージシャンの仕事が増えている。

猪爪家も星家も佐田家も、健全に時間が過ぎている。
寅子が更年期になり、百合さんが老年性痴呆になったのも、時間が経ったからだ。

被爆者も当然老いているわけだけど、「なぜ、こんな目にあったのか」「私たちは見捨てられたのか」
そんな問い、疑問、訴えを抱えながら生きているのは時間が止まっているようなものだ。

国側の弁護士は「早く終わらせたい」が滲み出ている。
「ったく、面倒な訴えをしやがって。もう戦争は終わったし、時代は変わったんだよ」と思っているに違いない。
他人事だし、弁護士に選ばれてしまった自分は運が悪いと思っているのかも。

原爆に限らず、戦争も、大空襲を生き延びた人と、幸いにも攻撃地ではなかった人。戦争の捉え方、戦後の生き方は全く違うだろう。

3.11の震災の1年後、青森の知人を訪ねて復興の様子を聞いた。
同じ青森でも山側の人、海側の人。
その中で災害に遭った人、遭わなかった人。
1年経って、全く普通に暮らしている人、まだまだ復興途中の人。
意識が違い過ぎて同じ青森の中でも揉め事があると聞いた。

当事者意識など誰も持てない。
当事者じゃないと分からない。

なのでこうして原爆について書くことも少し躊躇われる。

そもそも戦争したことがダメだし、日本は補償請求を放棄しているし。
この裁判の落とし所は難しい。
国全体が恨みを持ち、萎れたままでも前に進めない。

起きてしまったことは取り返せないし、原爆による傷は大き過ぎて取り除くことは出来ないけれど。
よねさんの言う通り「意義のある裁判」。原告側が自分に起きたことに意味づけが出来る裁判。

人間、何かあった時、意味を見つけると落ち着く。
本当は偶然だったとしても、必然であったと思えると多少は受け入れられる。
受け入れられると少しだけ前を向ける。

この裁判で止まった時間が少しでも動き始めるといいな。
残酷だけど、人は振り返り、反省して「同じ過ちはしてはいけない」と考えられる。

「二度と戦争はしてはいけない」と皆々が誓わないといけないのだ。
始めた人は巻き込まれた人を顧みてくれないのだから。

そして雲野先生が言っていたように風化させてはいけない、忘れてはいけない、ちゃんと振り返って、知って、この先の決断をしていかなければならない。
傍聴席に誰も座っていないことが意外。すでに風化が始まっているということ。だから竹中記者に記録と拡散をお願いしたんですね。


タロットはヴィスコンティ版の9番・隠者。

現在のタロットの多くはランタン(ランプ)を持った老人で描かれています。
名前の通り人から離れ、孤独と向き合う人。
老人ですからこれまでの人生を振り返ること。

ヴィスコンティ版は「過去の時間」「これからの時間」を表すように砂時計が描かれています。

時間は永遠と続くけど、人にとっては有限。
これまでを振り返り、残った時間をどう使うのか。
それを誰かと一緒ではなく、誰かの意見を聞くこともなく。
一人で考え、答えを出すカードです。


先週の最終話だったと思いますが。

親の言葉は重いな、と思いました。

直道が「お母さんを頼んだぞ」と言って出生し、直人も直治もその
言いつけを守ってお母さんを守ってきた。

朋一ものどかも、お母さんの「お父さんを甘えさせて」があったから航一と寅子を受け入れようとしてきた。

優未に至っては、記憶にはないお父さんの手紙で「愛されている」実感を得て、強くなっていった。

重圧になることもあるし、勇気になることもある。
例え亡くなってしまっても、言葉は受け取った人の中で生きているんですね。
なので、会話とか伝えておくことは大事なんだな。

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