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シングルマザーと習い事と谷川俊太郎

娘の習い事は、結構なお金がかかる。

ユニフォーム、交通費、遠征費用も馬鹿にならない。
さらに親の送迎が前提になっている。
土地柄もあるが、私は小さい頃から習い事には基本的に自分で行っていたものだから、これには唸った。
送迎は夫婦で協力してこなす人が殆ど。

始めてしばらくして、裕福なお家の子が多いのだと気づいた。
時すでに遅し。
やりたいと言うことを、駄目だとは言えなかった。

我が家は、元夫の協力は元々期待できず
(元、だらけ!)。
遠方でも高速道路利用はなるべく避けて、下道メイン。
夕飯はスープジャーに持って行く。
友達との送迎の分担や、お下がりが、有難い。

楽しくも厳しい練習に、誰しも行きたくない時があると聞く。
だけど始めて数年間、娘からは一度も休みたいという言葉は聞かれない。
私が必死に費用をやりくりしているのをよく知っているからか、
やりたくないならやめていいと言っているからか、
単純に友達と一緒にいるのが楽しいのか、
その、全部かもしれない。

なんとかレギュラー入りしたのが嬉しく、黙々と練習に打ち込む。
ずっと前にレギュラー入りしていた同級生に果敢に挑んで、競り勝つ場面も。
笑い合って遊びの延長のような時も、真剣。

最初からこうではなかった。
コーチの話をまるで聞いていない事はたびたび、
高速で行った片道100キロ超の遠征先に、荷物を丸ごと忘れて帰り、帰宅後に車のトランクが空で愕然としたり。


スポーツバッグは、駐車場の隅にポツンと置き忘れれていたそう。
係の方が閉館間際に懐中電灯で探し出してくださって、
翌日に運んでくれる方もいて、事なきを得た。
何人もの方に、夜中に各方面に手配して貰い、平謝りだった。

山中の高速に乗ってから“トイレ行きたい”と言い出し、
40キロ先のサービスエリアまで爆走したりも。
これはちょっと関係ないか。


決して上達が早くはなく
自信がないためか身が入らない様子も見えて、
お金を掛けて惰性で続ける意味はあるのか?
そう思うことが何度もあった。

ひたすら没頭する姿は、嬉しい。
上手くはないけれど、成長している。
帰宅してシャワーを浴びて、ベッドに入ると“気持ち良いー!”と笑って、スッと寝入ってしまう。

満たされた時間はいいなあ。
つまらないことは山ほどある。
でも惑わされずに、惑わされてもまたこうして生きていって、と思う。


精神に不調をきたした夫に買って帰った、谷川さんのノート。
励まされるのは辛かったのか、彼は興味を示さなかった。

少しずつ毎年書いていくノート。
では娘と一緒に書こうと思いながら、書けたのは数年のみ。
本棚に眠っている。
娘は今なら何を書くのかな。




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